似た意味を持つ「弊害」(読み方:へいがい)と「障害」(読み方:しょうがい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「弊害」と「障害」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
弊害と障害の違い
弊害と障害の意味の違い
弊害と障害の違いを分かりやすく言うと、弊害とは何かに悪い影響を及ぼすこと、障害とは何かの妨げになることという違いです。
弊害と障害の使い方の違い
一つ目の弊害を使った分かりやすい例としては、「以前からある弊害を払拭する」「チームに大きな弊害を及ぼす」「早期教育に弊害はないのだろうか」「成果を求めすぎると弊害が出る」「ワクチン接種による弊害を確認する」などがあります。
二つ目の障害を使った分かりやすい例としては、「ATMのシステム障害でお金が引き出せない」「障害者手帳の等級が変更になる」「通話が途切れるけど電波障害だろうか」「障害者総合支援法が施行された」などがあります。
弊害と障害の使い分け方
弊害と障害という言葉は、音の響きが似ており、どちらも「害」という共通する漢字があるため、混同して使われることがありますが、意味や使い方は異なります。
弊害とは、害になることや他に悪い影響を与える物事を意味し、上記の「チームに弊害を及ぼす」とは、チームに何か悪い影響を与えてしまうことを表しています。また、「ワクチン接種による弊害」のように、メリットがあるけれど他方では害になるような場合にも用いられる言葉です。
障害とは、あることをするのに妨げとなるものを意味し、上記の「システム障害」とは、情報システムを構成する機材やソフト、通信回線などに問題が発生していることを表します。また、「障害者」のように身体器官に何らかのさわりがあって機能を果たさないことも表します。
つまり、弊害とは何かに悪い影響を及ぼすことを表し、障害とは何かの妨げになることを表す、という違いがあるのです。弊害と障害を比べると、害になることを意味する弊害の方が、悪質なイメージを持つ言葉と言えるでしょう。
弊害と障害の英語表記の違い
弊害を英語にすると「abuse」「ill effect」「harmful influence」となり、例えば上記の「以前からある弊害」を英語にすると「long-continued abuse」となります。
一方、障害を英語にすると「failure」「impairment」「handicap」となり、例えば上記の「システム障害」を英語にすると「system failure」となります。
弊害の意味
弊害とは
弊害とは、害になること、他に悪い影響を与える物事を意味しています。
表現方法は「弊害が生じる」「弊害をもたらす」「による弊害」
「弊害が生じる」「弊害をもたらす」「による弊害」などが、弊害を使った一般的な言い回しです。
弊害の使い方
弊害を使った分かりやすい例としては、「ずっと同じ姿勢でいると弊害が出る可能性がある」「マスク生活で弊害が生じる」「保険募集の弊害防止措置の見直しを要請します」「大量のアルコール摂取は身体に弊害を及ぼす」などがあります。
その他にも、「大気汚染は人々の健康に弊害をもたらす」「環境破壊による弊害に苦しむことになる」「子どもへの過度の干渉は弊害を伴うよ」「ゲームによる弊害が叫ばれて久しい」「喫煙は周囲の人にも弊害をもたらす」などがあります。
弊害という言葉の「弊」は物が破れてぼろぼろになることや、たるんで生じた害を意味し、「害」は災いや邪魔をするものを意味します。弊害とは、他に悪い影響を与える物事や、害悪となるような事柄を意味する言葉です。
弊害は正しいが併害は誤字
弊害の誤った書き方に「併害」がありますが、「併害」という言葉は存在しないので誤字になります。
弊害の類語
弊害の類語・類義語としては、他に禍を与えるような良くない事を意味する「害悪」、身体・生命・物品を損なうような危険なことを意味する「危害」、健全なものを傷つけ損なうもとになるようなものを意味する「害毒」、差しつかえや差し障りを意味する「支障」などがあります。
障害の意味
障害とは
障害とは、妨げること、あることをするのに妨げとなるものや状況を意味しています。
その他にも、個人的な原因や社会的な環境により、心や身体上の機能が十分に働かず活動に制限があることの意味も持っています。
表現方法は「障害がある」「障害を抱える」「障害を持つ」
「障害がある」「障害を抱える」「障害を持つ」などが、障害を使った一般的な言い回しです。
障害の使い方
「多くの障害を乗り越える」「年功序列が構造改革の障害となる」「テレビの受信障害対策をする」「競馬の障害競走が好きです」などの文中で使われている障害は、「妨げとなるものや状況」の意味で使われています。
一方、「障害者控除の特例を受ける」「障碍者手帳の交付申請をする」「障害者雇用促進法が改正された」「障害年金の金額は障害等級や家族構成などで変わります」などの文中で使われている障害は、「心や身体の機能が十分に働かず活動に制限があること」の意味で使われています。
障害とは、上記の例文のように複数の意味があり、それぞれの意味で使われているので文脈により捉える必要があります。障害という言葉の「障」は訓読みで「さわる」と読み、邪魔をすることや差しさわりを表す漢字です。
障害は常用漢字で「障碍」「障礙」は常用外漢字
障害は「障碍」「障礙」とも書きますが、「碍」「礙」は常用外漢字であり、一般的には障害と表記されています。
「味覚障害」「嗅覚障害」の意味
障害という言葉を用いた日本語には「味覚障害」「嗅覚障害」があります。「味覚障害」は、味がしない、味に過敏になる、舌の片側だけしか味を感じないなどの異常があり、「嗅覚障害」は臭いを正常に感じない、感じにくくなる状態になります。
障害の対義語
障害の対義語・反対語としては、物を前へおし進めることを意味する「推進」、社会や人のために役に立つことを意味する「寄与」、ある物事や社会のために役立つように尽力することを意味する「貢献」、物事が滞らずすらすら運ぶことを意味する「円滑」などがあります。
障害の類語
障害の類語・類義語としては、妨げることや妨げとなるものを意味する「邪魔」、邪魔をすることを意味する「妨害」、妨げることや邪魔することを意味する「阻害」、走路途中に土塁や柵などの障害物を設けて行う競走を意味する「障害競走」などがあります。
弊害の例文
この言葉がよく使われる場面としては、害になること、他に悪い影響を与える物事を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「銀行の保険窓販の弊害防止措置」とは、銀行が融資する立場を利用して保険販売を行うのではないか、との懸念を踏まえて設けられたルールです。例文5にある「弊害をもたらす」とは、好ましくない状態を生じさせることや、悪く作用することを意味します。
障害の例文
この言葉がよく使われる場面としては、妨げること、心や身体上の機能が十分に働かず活動に制限があることを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある障害は、妨げることの意味で使われています。例文2から例文5にある障害は心や身体上の機能が十分に働かず活動に制限があることの意味で使われています。例文1の「電波障害」とは電波の受信に障害が発生したり、電波により電子機器が誤動作することです。
弊害と障害どちらの言葉を使うか迷った場合、他に悪い影響を与える物事を表現したい時は「弊害」を、妨げることや心身の機能が十分に働かず活動に制限を表現したい時は「障害」を使うようにしましょう。