似た意味を持つ「実費」(読み方:じっぴ)と「自費」(読み方:じひ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「実費」と「自費」という言葉は、費用を表すという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
実費と自費の違い
実費と自費の意味の違い
実費と自費の違いを分かりやすく言うと、実費は実際に掛かった費用を表現する時に使い、自費は自分で支払った費用を表現する時に使うという違いです。
実費と自費の使い方の違い
一つ目の実費を使った分かりやすい例としては、「実費を支払うよう言われるとは思っていなかった」「実費の一部を負担してもらえるようだ」「学校から実費徴収を行う旨の手紙が届いた」などがあります。
二つ目の自費を使った分かりやすい例としては、「すべて自費で行うには額が大きすぎる」「自費で購入した物品は領収書があれば後で支払うと言ってもらえた」「自費制作に費やした額も時間も考えたくはない」などがあります。
実費と自費の使い分け方
実費も自費も費用を表す言葉ですが、どういう費用なのかが大きく異なります。
実費は、実際に掛かった費用を意味するため支払う対象は明記されていませんが、多くの場合は自分で支払うことになる旨を相手に知らせる時に使われています。
一方の自費は、自分で支払うことを意味するため、企業の金銭であったり自分以外の金銭を使って支払いをする場合には使うことができません。
つまり、実費は誰が支払うかの指定がされていない費用を指し、自費は自分個人が負担する費用を指すという明確な違いがあります。読み方が似ており、実費という言葉であっても最終的に当人が支払うことが多いことから混同されているため注意が必要です。
実費と自費の英語表記の違い
実費を英語にすると「actual expense」「actual cost」となり、例えば上記の「実費を支払う」を英語にすると「allow you the actual expenses」となります。
一方、自費を英語にすると「own expense」となり、例えば上記の「すべて自費で行う」を英語にすると「do this all at one’s own expense」となります。
実費の意味
実費とは
実費とは、実際に必要になった費用を意味しています。
実費の読み方
実費は「じっぴ」という読み方をしますが、「じひ」「じつひ」など他の読み方をすることはできません。
表現方法は「実費にて請求」「実費を申し受けます」「実費のみ負担する」
「実費にて請求」「実費を申し受けます」「実費のみ負担する」などが、実費を使った一般的な言い回しです。
実費の使い方
実費を使った分かりやすい例としては、「実費精算をしてもらうためにも必ず領収書を保管しておく」「実費のみ負担するだけで技術を学ぶことができる」「実費弁済の申し出をするために書類に経費をまとめている」などがあります。
その他にも、「実費徴収分を封筒に入れて子どもの鞄に入れておく」「実費を差し引いてもわずかに収益が残るため次作のために使おうと思っている」「保険が適用されれば実費は数千円で済むだろう」「別途実費送料をご負担頂きます」などがあります。
「実費精算」の意味
上記例文の「実費精算」とは、実際に掛かった交通費や宿泊費などを領収書を参考にして精算を行うことを指す言葉で、この方法は立替払いに当たります。
他にも、商品購入前やサービス利用前に予定される経費を一時的に会社が支払い後に過不足を精算する仮払いという方法もあり、これも実費精算に当たります。
実費の類語
実費の類語・類義語としては、必要に応じて出た費用を意味する「出費」、必要となる費用を意味する「用度」、物事を行うのに必要な費用を意味する「経費」、費やした金銭を意味する「失費」などがあります。
自費の意味
自費とは
自費とは、自分で負担する費用を意味しています。
自費の読み方
自費は「じひ」という読み方をしますが、「じっぴ」などの他の読み方をすることはできません。
自費の使い方
自費を使った分かりやすい例としては、「自費出版はあまり珍しいことではない」「当時は戦争に参加するための防具などは自費で購入していた」「自費診療扱いとなった場合高額な医療費を支払わなければならない」などがあります。
その他にも、「友人はアニメーション映画の自費制作していたところ勧誘を受けて事務所所属が決まったそうだ」「三年間の自費留学で産業発展に関する研究をした」「買い上げた村に様々な施設を自費で建設したような人もいる」などがあります。
「自費診療」の意味
上記例文の「自費診療」とは、保険を適用せずに治療費を全額自己負担する診療方法を指す言葉で、自由診療とも呼ばれています。
高額な治療費を国や自治体に一部負担してもらう「保険診療」で診療を受けている人がほとんどですが、自費診療の方が治療の選択肢が増えるというメリットがあります。
自費の対義語
自費の対義語・反対語としては、政府から支出がされる費用を意味する「官費」、国や公共団体の費用を意味する「公費」があります。
自費の類語
自費の類語・類義語としては、自分の持っている金銭で払うことを意味する「自腹」、個人が負担する費用を意味する「私費」、自分で費用を負担することを意味する「自弁」、自由に使える金銭を意味する「ポケットマネー」などがあります。
実費の例文
この言葉がよく使われる場面としては、実際に必要になった費用などが挙げられます。
例文1の「実費徴収」は、実際に使った日用品や文房具などの必要な費用を指す言葉です。また、これらを補助することを「実費補助」と言います。
自費の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分で負担する費用などが挙げられます。
例文1の「自費生」とは、自分自身で修学するための費用を払っている学生を指す言葉で、「私費生」とも言われています。
実費と自費はどちらも費用を表します。どちらを使うか迷った場合は、実際に必要となった費用を表す場合は「実費」を、自分で支払う費用を表す場合は「自費」を使うと覚えておけば間違いありません。