【温厚】と【温和】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「温厚」(読み方:おんこう)と「温和」(読み方:おんわ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「温厚」と「温和」という言葉は、穏やかで落ち着いている様子を表すという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




温厚と温和の違い

温厚と温和の意味の違い

温厚と温和の違いを分かりやすく言うと、温厚は人の性格や様子のみに対して使い、温和は人の性格以外に対しても使うという違いです。

温厚と温和の使い方の違い

一つ目の温厚を使った分かりやすい例としては、「気になる女性の好きなタイプは温厚な人らしい話を耳にした」「温厚なリーダーは実力も兼ね備えている」「普段こそ温厚だが心の底から怒りを感じた場合にはすぐ手が出る」などがあります。

二つ目の温和を使った分かりやすい例としては、「その地域はこの時期温和な気候で有名だが自然災害も発生することが多い」「温厚な顔立ちの男を眺めていても全く飽きが来ない」「彼の話し方が温厚そうでどこか安心した」などがあります。

温厚と温和の使い分け方

温厚の厚という漢字は、心遣いが丁寧で親切な様子を意味します。古代中国時代に編纂された『易経』に「温厚篤実」という言葉が使われたことが由来となって、この言葉は今日でも同じような意味でビジネスシーンから日常生活まで幅広く使われています。

一方、温和という言葉は「穏和」という表記ができることからも分かるように、人間の性格や様子にだけでなく、物事に対しても使うことができ、特に過ごしやすい気温かつ風が弱い晴天の日のような天候に関する文章で多く使われています。

温厚と温和の英語表記の違い

温厚を英語にすると「gentle」となり、例えば上記の「温厚な人」を英語にすると「a gentle person」となります。

一方、温和を英語にした場合も「gentle」となりますが、気候に対して使う場合は「mild」となり、例えば上記の「温和な気候」を英語にすると「a mild climate」となります。

温厚の意味

温厚とは

温厚とは、穏やかで人当たりが良く、真面目な様子を意味しています。

温厚の読み方

温厚は「おんこう」という読み方をしますが、「おんあつ」や「うんこう」、「うんあつ」といった別の読み方をすることはできません。

表現方法は「温厚で優しい」「温厚な人」「温厚な性格」

「温厚で優しい」「温厚な人」「温厚な性格」などが、温厚を使った一般的な言い回しです。

温厚の使い方

温厚を使った分かりやすい例としては、「温厚篤実な彼は息子として誇らしい」「温厚そうな営業マンに騙されて壺を買う人は本当にいるのだろうか」「誰にでも温厚質実と言われるような紳士的な子どもになってほしい」などがあります。

その他にも、「夢の神がたとえ温厚であろうとも夢と現の境界が失われると死を意味するのではないかと思っている」「温厚な国民性が他国の人たちにとって評価が高い」「温厚な顔立ちのご老人はお菓子を分けてくれた」などがあります。

四字熟語「温厚篤実」の意味

上記例文の「温厚篤実」は、心が温かく穏やかで真面目な性格を意味する四字熟語で、古代中国の書物である『易経』に記載があったこともあり、今日では温厚のみでも多く使われるようになりました。

また、「温厚篤実」は「篤実温厚」という表現をすることもでき、「温厚質実」「温柔敦厚」「温良篤厚」などの四字熟語が類義語にあたる表現で、意味や使い方も全て同じです。

温厚の類語

温厚の類語・類義語としては、考え方や言動などが穏やかではなくしっかりしている様子を意味する「穏健」、性質や態度が柔らかい様子を意味する「柔和」、穏やかで素直なことを意味する「温良」などがあります。

温厚の対義語

温厚の対義語・反対語としては、意地が悪くそうに見える様子を意味する「陰険」、残忍でとても乱暴な性格を意味する「凶暴」、荒々しく乱暴である様子を意味する「獰猛」があります。

温和の意味

温和とは

温和とは、大人しく、穏やかで優しい様子を意味しています。

温和の読み方

温和は「おんわ」という読み方をしますが、同じ読み方で「穏和」という表記をすることもできます。ただし、温和は天候に関する話をする時に使うことができる一方で、穏和は使うことができないため「穏和な気候」とはならず、「温和な気候」という表記をします。

また、送り仮名を伴って「温和しい」という表現もありますが、これは「おんわしい」ではなく「おとなしい」という読み方をします。「大人しい」という表記する場合と同じ意味や使い方をするものの、「温和しい」という表記はあまり使われていません。

表現方法は「温和な性格」「温和な人柄」「温和な雰囲気」

「温和な性格」「温和な人柄」「温和な雰囲気」などが、温和を使った一般的な言い回しです。

温和の使い方

温和を使った分かりやすい例としては、「温和で明るい性格である彼はクラスの人気者である」「私の気の済むまで温和な態度で話を聞いてくれた」「子どもに話し掛ける彼女の口調は温和なものだった」「会長は温和な人柄で知られている」などがあります。

一方、「引っ越し先は温和で暮らしやすい気候のようだ」「一年を通して比較的温和で過ごしやすい天気の地域もある」「温和さに恵まれる日々が続く」などの文中で使われている温和は、「気候が暖かく穏やかで厳しい変化がない様子」の意味で使われています。

温和という言葉を人に対して使う場合も物に対して使う場合も「穏やかな様子」を意味することには変わらず、どちらの意味でも日常生活だけでなくビジネスシーンやメディアなどで使われています。

温和の類語

温和の類語・類義語としては、大人しく素直なことを意味する「温順」、心静かに落ち着いている様子を意味する「安穏」、気候が暖かい様子を意味する「温暖」、春の気持ちのいい陽気を意味する「春暖」などがあります。

温和の対義語

温和の対義語・反対語としては、性格や動作が荒々しく乱暴なことを意味する「粗暴」、思いやりがなく惨い様子を意味する「冷酷」、荒々しい振る舞いや扱い方が雑である様子を意味する「乱暴」があります。

温厚の例文

1.温厚質実な彼は、仮に味方がミスをして劣勢となろうとも、周囲の皆に声を掛けて士気を挙げることに成功していた。
2.男性は温厚淡泊なくらいが交際をしていくうえでは付き合いやすいのではないかと思っていたが、実際結婚した相手は淡泊な人ではない。
3.誰が相手でも温厚に接することが出来る人の周りでは波風が立たないために、人間関係も基本的には穏やかであるように思う。
4.父は温厚で忍耐力もあるため、怒りっぽい母との相性はすこぶる良いのだろうが、たまに可哀想に思えてくる。
5.兄の温厚な表情を見なくなってからしばらく経つが、それほど受験勉強のために時間や労力を割いているのだと思うと報われてほしいと感じる。
6.温厚で聞き上手な彼の元には男女問わず多くの人が集まってくる。少し妬けてしまうが、私は彼が本音や弱みを見せてくれるような人になりたいと思っている。
7.その友達は学生の頃はとても温厚な性格だったのに、どうしてあんなに冷淡な人間になってしまったのだろう。
8.私の部下は温厚篤実かつ度胸もあるので、たとえ難しい仕事を任せても、期待以上の結果を残してくれる。
9.あんな温厚な奴が公衆の面前で感情を露わにするとはよほどのことがあったに違いないだろう。
10.この国の人たちはシャイだが温厚な国民性なので、今まで暮らしていて怖い目に遭ったことがありませんでした。

この言葉がよく使われる場面としては、穏やかで人当たりが良く、真面目な様子を意味する時などが挙げられます。

例文2の「温厚淡泊」とは、穏やかで情に厚く、さっぱりとしていて飾り気がないことを意味する四字熟語です。

温和の例文

1.夢の神がたとえ温和であろうとも夢と現の境界が失われると死を意味するのではないかと思っている。
2.温和な気候についつい眠気を催し始めたため、一度立ち上がってお手洗いまで遠回りしながら向かい、化粧室を出る前に顔を洗ってこの後の仕事に備えた。
3.ホラー小説や映画などを読んで気が付いたが、ノベライズされた作品に関しては少しばかり温和な表現になっている気がする。
4.上司は温和で親しみやすいことから部下の信頼も非常に厚いが、中間管理職として想像しているよりも多くの人とコミュニケーションを取っているため、疲労で倒れないか心配である。
5.暴力などとはかけ離れた温和さを持ち合わせている飼い犬は、かつて狩猟のために駆け回っていたとは思えないほどである。
6.いつもミーティングは、意見がまとまらず最後のほうはヒートアップしてしまうが、今日は終始温和な雰囲気で進んだ。
7.私の住んでいる地域は温和な気候で有名ですが、かねてより巨大地震や巨大噴火が襲ってくると言われています。
8.息子は小学校時代までは温和で明るい性格だったが、中学に入るといじめに遭い、性格が180度変わってしまったのだ。
9.いつもなら温和な笑顔を見せている彼でも、自らの恋愛の話題には目が泳いで動揺しているように見えた。
10.男はたしかに武道を嗜んでいるし強面ではあるが、性格は温和で誰からも慕われている。君が言うような悪い奴ではない。

この言葉がよく使われる場面としては、大人しく、穏やかで優しい様子を意味する時などが挙げられます。

例文2と例文3のように、人に対して使うだけでなく気候や芸術作品などの物に対しても使われています。

温厚と温和どちらを使うか迷った場合は、人の性格や様子のみに対して使う場合には「温厚」を、人の性格以外に対しても使う場合は「温和」を使うと覚えておけば間違いありません。

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