【ニュアンス】と【フィーリング】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「ニュアンス」と「フィーリング」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「ニュアンス」と「フィーリング」という言葉は、「微妙な雰囲気」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




ニュアンスとフィーリングの違い

ニュアンスとフィーリングの意味の違い

ニュアンスとフィーリングの違いを分かりやすく言うと、ニュアンスは表現に隠された雰囲気を表現する時に使い、フィーリングは感じ取れる雰囲気を表現する時に使うという違いです。

ニュアンスとフィーリングの使い方の違い

一つ目のニュアンスを使った分かりやすい例としては、「言葉が持つ微妙なニュアンスを知る努力は必要だ」「ニュアンスが異なるが説明が難しい」「この絵の持つニュアンスを大切にしたい」などがあります。

二つ目のフィーリングを使った分かりやすい例としては、「のびやかなフィーリングを表現する絵画は見ていて気が楽だ」「フィーリングが合わないために遊ぶのを避けている」「恋愛においてフィーリングが大切な時もある」などがあります。

ニュアンスとフィーリングの使い分け方

ニュアンスとフィーリングはどちらも、微妙な雰囲気を表す際に使われる言葉ですが、使い方が大きく異なります。

ニュアンスは、言葉による表現や、絵画や楽曲などの芸術作品に込められた雰囲気や意味合いを表す言葉として使われている言葉です。

一方のフィーリングは、感性や感覚など実際に感じ取れる雰囲気に対して使われる言葉で、交流関係においても使われています。

つまり、ニュアンスは潜在的な雰囲気を表すのに対して、フィーリングは表面的な雰囲気を表す時に使われるという違いがあります。また、他者との関係性における雰囲気や感性を表すフィーリングをニュアンスと置き換えて使うことはできません。

ニュアンスとフィーリングの英語表記の違い

ニュアンスを英語にすると「nuance」となり、例えば上記の「微妙なニュアンス」を英語にすると「the subtle nuance」となります。

一方、フィーリングを英語にすると「feeling」となり、例えば上記の「のびやかなフィーリング」を英語にすると「a relaxed feeling」となります。

ニュアンスの意味

ニュアンスとは

ニュアンスとは、言葉の持つ表面的な意味以外の細かな意味を意味しています。

その他にも、絵画の色彩や曲の音色などの微妙な差異や変化も意味します。

表現方法は「ニュアンスが違う」「ニュアンスが伝わらない」

「ニュアンスが違う」「ニュアンスが伝わらない」「ニュアンスを汲み取る」などが、ニュアンスを使った一般的な言い回しです。

ニュアンスの使い方

「悪口に肯定的なニュアンスは見出せない」「言葉で言い表しづらい複雑なニュアンスを含んでいる」「かつてのスローガンに込められたニュアンスを知る」などの文中で使われているニュアンスは、「潜在的な細かな意味」の意味で使われています。

一方、「同じ曲でも演者が異なればニュアンスも変わる」「電話での彼女の声のニュアンスは直接話すものと異なる」などの文中で使われているニュアンスは、「色や音、表現の微妙な差異や意味合い」の意味で使われています。

ニュアンスは英語で「nuance」と表記され、他のものと比較した際の色の微妙な違いや、意見や意味の違い、また隠された意味や性質を意味する言葉として使われますが、日本語訳も変わらず「ニュアンス」と訳されます。

フランス語の「nuance」が由来となった言葉で、陰影や濃淡、色調などの意味を持ちます。後に英語としても使われ、カタカナ語として日本でも使われるようになりましたが、対応する日本語が存在しないため「ニュアンス」とカタカナのまま使われています。

ニュアンスという言葉を他者に対して使う場合は、目には見えない作者や語り手の意図を表すよりも、「何かが違う」「細かな違いがある」時など曖昧な表現をする際に使われています。

ニュアンスの類語

ニュアンスの類語・類義語としては、言葉の持つ微妙な感じを意味する「語感」、表面に現れない意味を含んで持つことを意味する「含意」、言葉に出さない部分を意味する「言外」、表面だけでは知ることのできない事情を意味する「機微」などがあります。

フィーリングの意味

フィーリングとは

フィーリングとは、感触や感覚を意味しています。

その他にも、芸術作品などから受ける感覚や、他者との交流において感じられる微妙な雰囲気を意味する言葉としても使われています。

表現方法は「フィーリングが合う」「フィーリングが合わない」

「フィーリングが合う」「フィーリングが合わない」「フィーリングで決める」などが、フィーリングを使った一般的な言い回しです。

フィーリングの使い方

「自分のフィーリングを言葉にする」「フィーリング評価が高いため新車種が気になっている」「爽やかなフィーリングを感じさせる歌声に聞き入ってしまった」などの文中で使われているフィーリングは、「感覚や感性」の意味で使われています。

一方、「フィーリングが合うのか初対面でも気兼ねなく話せた」「フィーリングで決めるのは良くない」「彼女はフィーリングで生きている」などの文中で使われているフィーリングは、「何となく受ける感じや雰囲気」の意味で使われています。

フィーリングは「feeling」と表記され、本来は感覚や感触、印象、予感などを意味する言葉として使われていますが、日本でカタカナ語として使う場合には、何となく受ける感覚という意味で使われることがほとんどです。

そのため、上記例文の「フィーリングが合う」「フィーリングで決める」「フィーリングで生きる」などの表現は日本語的な表現であり、英語の「feeling」を使ってこれらの表現をすることはできません。

「フィーリング評価」の意味

また、上記例文の「フィーリング評価」とは、運転者の感性や感覚で自動車の評価をする方法を意味する自動車用語です。「操作フィーリング」や「走行フィーリング」などの表現もされるなど、自動車の使用感に関してフィーリングという言葉は多く使われています。

フィーリングの類語

フィーリングの類語・類義語としては、物事を心に深く感じ取る力を意味する「感性」、刺激や印象を感じ取ることができる働きを意味する「感受性」、美しさを感じる気持ちを意味する「美感」、物事に反応する心の働きを意味する「神経」などがあります。

ニュアンスの例文

1.感情を表す言葉が多い日本語は、意味は似ているのにニュアンスが異なることもあり、それを具体的に分からずとも感覚で使っている。
2.日本人にはぱっと見理解できないが、英語には否定的なニュアンスが含まれる表現もあるため、知らないで使うと後々後悔する可能性がある。
3.先輩がニュアンスが伝わらないとメールの相手にやきもきしていたが、覗いて見てみれば単に先輩の言葉が足りていないだけなのではないかと感じた。
4.微妙なニュアンスを調べるために類語辞典は非常に便利で、表現に幅が出ると多くの人が重宝しているだろう。
5.声音などのニュアンスで相手の感情の機微を察するのは難しいが、自分の子どもの機嫌に関しては手に取るように分かる。
6.外国語を日本語に訳す時、堅苦しい文章よりも日常会話の方が、ちょっとしたニュアンスの違いを訳すのが難しい。
7.新商品紹介の記事をデスクに見てもらったら、ちょっとニュアンスが違うんだよなあと言われその後も横文字のふわっとした指示が続き、どう直せばいいのかわからなくなってしまった。
8.色を反転させるだけで、伝えたいメッセージのニュアンスが異なってくると思うので、ここはどちらがいいか慎重に決めましょう。
9.記事やコラムを表に出す前には、何度も何度も練り直して、微妙にニュアンスを変えたりして、やっと納得がいくようなものが出来る。
10.いくら日本語が話せる外国人社員であっても、日本語特有の微妙なニュアンスは分からないようなので、わかりやすく伝えるようにしている。

この言葉がよく使われる場面としては、言葉の持つ表面的な意味以外の細かな意味などが挙げられます。

例文1の「ニュアンスが異なる」という表現は、「頭痛が痛い」などの重複表現と同じように考えられることがありますが、ニュアンスという言葉には「微妙な意味合い」という意味もあるため、この表現は誤りではありません。

また、例文5のニュアンスは、色や音の微妙な差異を表す言葉として使われています。

フィーリングの例文

1.走行フィーリングに違和感がないために、高い評価を得ている話を聞いて、車を買い替えることを検討し始めた。
2.厳かなフィーリングを受けた曲を歌い上げたアーティストは、実生活では非常にお茶目だという話を聞いて和んでしまった。
3.どうしてその答えを選んだのかと聞かれてフィーリングとしか言えなかったが、実際その選択肢を選んで正解だった。
4.フィーリングがここまで合う相手もなかなか居らず、何を言いたいのかが分かってしまったり、発言が内容もタイミングも合致することが多い。
5.年を取るにつれてフィーリングで生きていけるのであれば是非そうしたいという気持ちが強くなっており、自身の幅を広げて仕事に生かすことも必要だと思い始めた。
6.彼女とは不思議とフィーリングが合って、いつか恋人になる気がしていたが、気が合い過ぎて友達より先に進めないわ。
7.息子は何を聞いてもわかんない、理由を聞いてもなんとなくと答えるフィーリングタイプの人間で、ロジカルタイプの私とは会話が嚙み合わず正直イライラしてしまう。
8.彼女はフィーリングだけで生きているようなところがあるので、こちらがいくら理屈を説明しても理解してくれません。
9.競馬の知識もなく名前に惹かれて買った馬が、大穴だった経験があるからといって、フィーリングだけで選ぶようになると大損するだろう。
10.彼と演技するのは初めてだったが、フィーリングが合うのか初対面でもすぐに打ち解けることができたので、撮影も順調に進んでいる。

この言葉がよく使われる場面としては、感触や感覚などが挙げられます。

今日では、例文3、4、5のように「何となく受ける感じや雰囲気」の意味で使われることがほとんどです。

ニュアンスとフィーリングは、どちらも「微妙な雰囲気」を表します。どちらを使うか迷った場合は、潜在的な雰囲気を表す場合は「ニュアンス」を、表面的な雰囲気を表す場合は「フィーリング」を使うと覚えておけば間違いありません。

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