同じ「とりおこなう」という読み方の「取り行う」と「執り行う」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「取り行う」と「執り行う」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
「取り行う」と「執り行う」の違い
「取り行う」は「執り行う」の間違い
「取り行う」と「執り行う」の違いを分かりやすく言うと、「取り行う」とは「執り行う」の間違った使い方、「執り行う」とは行事や式典などを改まって行うことです。
「取り行う」は誤字
一般的には「取り行う」という言葉は存在しません。読み方が同じなことから、「執り行う」のことを間違えて「取り行う」を使っている人がほとんどです。
「執り行う」は正しい日本語
正しい言葉である「執り行う」を使った分かりやすい例としては、「ただいまより卒業式を執り行います」「今から落成式を執り行う」「法廷で裁判を執り行う」「来月結婚式を執り行う予定です」などがあります。
「執り行う」という言葉はあっても、「取り行う」という言葉は存在しません。同時に「執り行う」という単語の意味について「行事や式典などを改まって行うこと」と覚えておきましょう。
「執り行う」の英語表記
「執り行う」を英語にすると「hold」「conduct」「perform」となり、例えば上記の「結婚式を執り行う」を英語にすると「perform a marriage ceremony」となります。
「取り行う」の意味
「取り行う」とは
「取り行う」とは、「執り行う」の間違った使われ方です。
「取り行う」という言葉は存在せず、間違った言葉として広まっています。読み方が同じなため、「執り行う」と混同してしまう人が多いようですが、間違った言葉なので使わないように気を付けましょう。
「取り行う」と間違えやすい理由
「取り行う」と「執り行う」を間違ってしまう理由としては、どちらも同じ「とりおこなう」と読むので混同してしまっていることが原因です。正しい日本語は「執り行う」と覚えてきましょう。
ではなぜ「取り」の漢字を使ってしまうのかというと、「とり」を漢字にした場合、「執り」という表現は日常的にあまり使われていないのに対して、「取り」は日常的に使われているのが原因になります。
「取り」は取ることを意味しているのに対して、「執り」はうまく動かして事を行うことを意味しています。したがって、行事や式典などを改まって行うことを意味する「とり行う」は、「執り」を使うのが正しい日本語です。
間違った言葉である「取り行う」の「取り」を使った例文としては、「部長が乾杯の音頭を取りました」「こんな簡単な問題に手間を取りすぎてしまった」「借金取りがインターホンを押したので裏口から逃げた」などがあります。
「執り行う」の意味
「執り行う」とは
「執り行う」とは、行事や式典などを改まって行うことを意味しています。
「執り行う」の読み方
「執り行う」の読み方は「とりおこなう」です。誤って「しつりおこなう」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「挙式を執り行う」「会議を執り行う」「神事を執り行う」
「挙式を執り行う」「会議を執り行う」「神事を執り行う」などが、「執り行う」を使った一般的な言い回しになります。
「執り行う」の使い方
「執り行う」を使った分かりやすい例としては、「来年の春結婚式を執り行う予定なのでぜひご出席ください」「我が軍には戦場へ向かう際に執り行う儀式があります」「ただいまより閉会式を執り行います」があります。
「執り行う」は、うまく動かして事を行うことを意味する「執り」に、実施することを意味する「行なう」が合わさり、行事や式典などを改まって行うことを意味する動詞です。動詞とは事物の動作、作用、状態、存在などを表す言葉のことを意味しています。
「執り行う」は冠婚葬祭や入学式、卒業式などかしこまった大きなイベントで使うのが特徴になります。そのため、友人同士のパーティーや誕生日会などの身内で行なう小さなイベントに使うのは適していません。
小さなイベントの場合はかしこまらずに、「行ないます」や「始めます」などのように、ストレートな言葉を使えばいいでしょう。
「執り行う」の類語
「執り行う」の類語・類義語としては、実際に行うことを意味する「執行」、儀式や行事などを執り行うことを意味する「挙行」、集会や催し物を開き行うことを意味する「開催」、実際に行うことを意味する「実行」などがあります。
「取り行う」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、「執り行う」という言葉を間違えて「取り行う」と表現している時などが挙げられます。
「取り行う」という言葉は辞書にも載っていませんし、広く使われている言葉ではなく、「執り行う」を間違えて使っている可能性が高いです。
「取り行う」という言葉の意味を理解した上で、あえて使っている場合以外は、「取り行う」ではなく、「執り行う」と表現するのが正しい使い方になります。
「執り行う」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、行事や式典などを改まって行うことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「執り行う」はかしこまった場面で使う丁寧な言葉です。
「取り行う」と「執り行う」どちらを使うか迷った場合は、「取り行う」は辞書にない言葉なので、辞書に載っている言葉の「執り行う」を使うようにしましょう。