似た意味を持つ「有終の美を飾る」(読み方:ゆうしゅうのびをかざる)と「掉尾を飾る」(読み方:ちょうびをかざる)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「有終の美を飾る」と「掉尾を飾る」という言葉は、どちらも物事の最後を立派に締めくくることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「有終の美を飾る」と「掉尾を飾る」の違い
「有終の美を飾る」と「掉尾を飾る」の意味の違い
「有終の美を飾る」と「掉尾を飾る」の違いを分かりやすく言うと、「有終の美を飾る」とは一般的に使われている、「掉尾を飾る」とは一般的に使われていないという違いです。
「有終の美を飾る」と「掉尾を飾る」の使い方の違い
一つ目の「有終の美を飾る」を使った分かりやすい例としては、「今シーズン最後の試合で見事勝利し有終の美を飾る」「皆さんのおかげで有終の美を飾って退職することができました」「彼は最後のプロジェクトで有終の美を飾る」などがあります。
二つ目の「掉尾を飾る」を使った分かりやすい例としては、「今日行われた決勝戦は掉尾を飾る素晴らしい試合でした」「退職する部長に掉尾を飾らせるために、このプロジェクトは何としても成功させたい」「本公演の最終日は掉尾を飾る素晴らしい盛り上がりをみせました」などがあります。
「有終の美を飾る」と「掉尾を飾る」の使い分け方
「有終の美を飾る」と「掉尾を飾る」はどちらも物事の最後を立派に締めくくることを意味しており、大きな違いはありません。あえて違いを挙げるならば、「有終の美を飾る」は一般的に使われているのに対して、「掉尾を飾る」は一般的に使われていないという点です。
また、「有終の美を飾る」と「掉尾を飾る」は基本的に同じ意味を持つ言葉なので、置き換えて使っても問題ありません。
「有終の美を飾る」と「掉尾を飾る」の英語表記の違い
「有終の美を飾る」も「掉尾を飾る」も英語にすると「done to perfection」「succsessful conclus、例えば上記の「彼は最後のプロジェクトで有終の美を飾る」を英語にすると「He brought last project to a succsessful conclusion」となります。
「有終の美を飾る」の意味
「有終の美を飾る」とは
「有終の美を飾る」とは、物事の最後を立派に締めくくることを意味しています。
表現方法は「有終の美を飾ることができました」「有終の美を飾るために」
「有終の美を飾ることができました」「有終の美を飾るために」などが、「有終の美を飾る」を使った一般的な言い回しになります。
「有終の美を飾る」の使い方
「有終の美を飾る」を使った分かりやすい例としては、「引退試合でホームランを打って有終の美を飾ることができました」「大学最後の試合で優勝し有終の美を飾る」「部長はリーダーとして素晴らしい成績を収め、有終の美を飾って退職されました」などがあります。
「有終の美を飾る」は物事をやり通し最後を立派に仕上げることを意味する「有終の美」に、立派やり遂げることによって価値あるものにすることを意味する「飾る」という似た意味を持つ言葉を重ねることで、物事の最後を立派に締めくくることの意味を強調した慣用句です。
「有終の美を飾る」はスポーツ選手や芸能人の引退シーン、会社を退職する時、学校の卒業などで、最後に良い結果を残した場合に使います。そのため、プラスのイメージを伴っている言葉です。
「有終の美を飾る」の由来
「有終の美を飾る」の「有終の美」の由来は、中国最古の詩集『詩経』です。この中に「初め有らざるなし、よく終わりあるはすくなし」という一文があり、意味は「物事には必ず始まりがあるが、終わりを上手く迎えられることは少ない」となります。
そのため、最後までやり遂げるのは難しいので、終わりを上手く迎えることは素晴らしいこととされ、物事の最後を立派に締めくくることを「有終の美」という言うようになりました。
「優秀の美を飾る」は誤り
「有終の美を飾る」を使う上で注意しなければならないのは、「優秀の美を飾る」としてしまうことです。「有終」は終わりを全うすることを意味し、「優秀」は非常に優れていることを意味しています。
「有終の美を飾る」は物事の最後を立派に締めくくることなので、終わりを全うすることを意味する「有終」の方を使うと覚えておきましょう。
「優秀の美を飾る」の類語
「有終の美を飾る」の類語・類義語としては、退き際が潔い良いことを意味する「立つ鳥跡を濁さず」、物事は結末さえよければ過程が不味くても問題にならないことを意味する「終わりよければ全て良し」などがあります。
「掉尾を飾る」の意味
「掉尾を飾る」とは
「掉尾を飾る」とは、物事の最後を立派に締めくくることを意味しています。
「掉尾を飾る」の読み方
「掉尾を飾る」の読み方は「ちょうびをかざる」ですが、「とうびをかざる」と読むことも可能です。
「掉尾を飾る」の使い方
「掉尾を飾る」を使った分かりやすい例としては、「彼は現役最後の試合で完投勝利し、掉尾を飾ることができました」「掉尾を飾るにふさわしい素晴らしい公演でした」「彼は社運をかけたプロジェクトを成功させ、掉尾を飾って社長の座を退きました」などがあります。
「掉尾を飾る」の「掉尾」とは物事が最後になって勢いの盛んになることを意味しており、これに立派やり遂げることによって価値あるものにすることを意味する「飾る」が合わさり、物事の最後を立派に締めくくることの意味で使われるようになりました。
また、よく使われている言葉の「有終の美を飾る」と同じ意味を持つ言葉です。しかし、「掉尾を飾る」の方は一般的には使われていないため、馴染みがない人も多いでしょう。
「掉尾を飾る」は難しい表現であり、上記にも書いた通り一般的にはあまり使われていませんが、文学作品などで使用されることがあります。
「掉尾を飾る」の類語
「掉尾を飾る」の類語・類義語としては、物事を最後までやり遂げることを意味する「成し遂げる」、全てがめでたく収まる結末になることを意味する「大団円」などがあります。
「有終の美を飾る」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事をやり通して最後を立派に仕上げることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「有終の美を飾る」はプラスのイメージで使う言葉です。
「掉尾を飾る」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事の最後を立派に締めくくることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「掉尾を飾る」はプラスのイメージで使う言葉です。
「有終の美を飾る」と「掉尾を飾る」はどちらも物事の最後を立派に締めくくることを表します。どちらの言葉を使か迷った場合、一般的に使われているのが「有終の美を飾る」、一般的に使われていないのが「掉尾を飾る」と覚えておきましょう。