似た意味を持つ「窮鼠猫を噛む」(読み方:きゅうそねこをかむ)と「イタチの最後っ屁」(読み方:いたちのさいごっぺ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「窮鼠猫を噛む」と「イタチの最後っ屁」という言葉は、どちらも最後に反撃をすることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「窮鼠猫を噛む」と「イタチの最後っ屁」の違い
「窮鼠猫を噛む」と「イタチの最後っ屁」の意味の違い
「窮鼠猫を噛む」と「イタチの最後っ屁」の違いを分かりやすく言うと、「窮鼠猫を噛む」はプラスのイメージで使うことが多い、「イタチの最後っ屁」はマイナスのイメージで使うことが多いという違いです。
「窮鼠猫を噛む」と「イタチの最後っ屁」の使い方の違い
一つ目の「窮鼠猫を噛む」を使った分かりやすい例としては、「彼を追い詰めすぎるといつか窮鼠猫を噛むことになるよ」「いじめられっ子が反撃するのは窮鼠猫を噛むと言えるだろ」「窮鼠猫を噛むという言葉があるので油断しないようにしよう」などがあります。
二つ目の「イタチの最後っ屁」を使った分かりやすい例としては、「楽な試合だと思っていたがイタチの最後っ屁で1点入れられてしまいました」「大量の魚を捕まえたのにイタチの最後っ屁で網が切れてしまいたくさん海に逃げられました」などがあります。
「窮鼠猫を噛む」と「イタチの最後っ屁」の使い分け方
「窮鼠猫を噛む」と「イタチの最後っ屁」はどちらも最後に反撃をすることを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「窮鼠猫を噛む」は追い詰められた鼠が猫に噛みつくことが転じて、弱い者も追いつめられると強い者に反撃することを意味しています。そのため、弱いものが強いものに必死に反撃すれば打ち勝つことができるというプラスのイメージで使うことが多い言葉です。
一方、「イタチの最後っ屁」はイタチが窮したときに悪臭を放って敵をひるませることが転じて、困ったときに非常手段に訴えることの意味で使われています。そのため、醜態をあらわにするというニュアンスになっており、マイナスのイメージで使うことが多いと覚えておきましょう。
「窮鼠猫を噛む」と「イタチの最後っ屁」の英語表記の違い
「窮鼠猫を噛む」を英語にすると「despair gives courage to a coward」「a cornered rat will bite a cat」と表記することができます。一方、「イタチの最後っ屁」を英語にすると「parting shot」と表記することができます。
「窮鼠猫を噛む」の意味
「窮鼠猫を噛む」とは
「窮鼠猫を噛む」とは、弱い者も追いつめられると強い者に反撃することを意味しています。
「窮鼠猫を噛む」の読み方
「窮鼠猫を噛む」の読み方は「きゅうそねこをかむ」です。誤って「きゅうねずみねこをかむ」などと読まないようにしましょう。
「窮鼠猫を噛む」の使い方
「窮鼠猫を噛む」を使った分かりやすい例としては、「これだけ馬鹿にされても彼には窮鼠猫を噛む勇気はないだろう」「窮鼠猫を噛むということもあるから気をつけよう」「窮鼠猫を噛むという言葉があるように弱者が追い詰められた時の反撃は怖いものがある」などがあります。
「窮鼠猫を噛む」は弱い者も追いつめられると強い者に反撃することを意味することわざです。ことわざとは、古くから言い伝えられてきた教訓または風刺の意味を含んだ短い言葉のことを意味しています。
「窮鼠猫を噛む」は、弱いものが強いものに必死に反撃すれば打ち勝つことができるというプラスのイメージで使うことが多いのが特徴です。
また、相手が弱い立場だと油断しがちですが、弱い立場の人も追い詰められて逃げ場がなくなると思わぬ反撃をしてくることもあります。そのため、最後まで気を抜かないようにしようという注意喚起の言葉で使われることもあると覚えておきましょう。
「窮鼠猫を噛む」の由来
「窮鼠猫を噛む」の由来は古代中国の書物『塩鉄論』です。『塩鉄論』の中に、追いつめられた鼠は天敵である猫にも立ち向かって噛みつくという意味で、「窮鼠猫を噛む」という記載がありました。
また、政治を行う側が民衆を追いつめるような政策をすると、民衆が立ち向かって来る可能性があるのでよくないというニュアンスで使われてたとも言われています。
これらが転じて、弱い者も追いつめられると強い者に反撃することを「窮鼠猫を噛む」と言うようになったのです。
「窮鼠猫を噛む」の類語
「窮鼠猫を噛む」の類語・類義語としては、切迫した状況に置かれると普段には想像できないような力を無意識に出すことを意味する「火事場の馬鹿力」、一歩も引けないような絶体絶命の状況の中で全力を尽くすことを意味する「背水の陣」などがあります。
「イタチの最後っ屁」の意味
「イタチの最後っ屁」とは
「イタチの最後っ屁」とは、困った時に非常手段に訴えることを意味しています。
「イタチの最後っ屁」の漢字表記
「イタチの最後っ屁」を漢字にすると、「鼬の最後っ屁」と表記することができます。
「イタチの最後っ屁」の使い方
「イタチの最後っ屁」を使った分かりやすい例としては、「イタチの最後っ屁でいいから何か案はないかと上司に言われました」「イタチの最後っ屁のような形で会社を辞めることになりました」「イタチの最後っ屁でこんな手段をしてくるとは思いませんでした」などがあります。
「イタチの最後っ屁」は困った時に非常手段に訴えることを意味することわざです。ただし、非常手段と言っても、とっておきの手段ではなく、切羽詰まった時や苦し紛れに行う嫌がらせという意味合いが大きいです。
そのため、醜態をあらわにするというマイナスのイメージで使うことが多い言葉になります。
「イタチの最後っ屁」の由来
「イタチの最後っ屁」の由来はその名の通りイタチの生体です。イタチは見た目は非常に可愛い動物ですが、雑食性で肉食の傾向が強く性格は凶暴です。自分から人に攻撃してくることはありませんが、触ると噛まれたり引っ掻かれたりする恐れがあるので注意しましょう。
そして、イタチは追い詰められたり、身の危険を感じると悪臭を放ってその隙に敵から逃げるという手段を取ります。この行動が転じて、困った時に非常手段に訴えることを「イタチの最後っ屁」と言うようになりました。
「イタチの最後っ屁」の類語
「イタチの最後っ屁」の類語・類義語としては、苦しまぎれに考え出した手立てのことを意味する「苦肉の策」、してもしかたのないことを最後に試みることを意味する「最後の悪あがき」などがあります。
「窮鼠猫を噛む」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、弱い者も追いつめられると強い者に反撃することを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「窮鼠猫を噛む」はどちらかというとプラスのイメージで使われている言葉です。
「イタチの最後っ屁」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、困った時に非常手段に訴えることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「イタチの最後っ屁」はどちらかというとマイナスのイメージで使われている言葉です。
「窮鼠猫を噛む」と「イタチの最後っ屁」はどちらも最後に反撃をすることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、プラスのイメージで使うことが多いのが「窮鼠猫を噛む」、マイナスのイメージで使うことが多いのが「イタチの最後っ屁」と覚えておきましょう。