似た意味を持つ「勘定」(読み方:かんじょう)と「会計」(読み方:かいけい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「勘定」と「会計」という言葉は、どちらも「代金の支払い」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
勘定と会計の違い
勘定と会計の意味の違い
勘定と会計の違いを分かりやすく言うと、勘定とはお金を数えることを表し、会計とはお金を管理することを表すという違いです。
勘定と会計の使い方の違い
一つ目の勘定を使った分かりやすい例としては、「先にお勘定を済ませておきました」「金勘定が苦手です」「勘定科目内訳明細書とは何ですか」「勘定系システムの開発に着手する」「NISA口座の勘定廃止通知書を請求する」などがあります。
二つ目の会計を使った分かりやすい例としては、「お会計をお願いします」「母は会計事務所に勤めています」「公認会計士の年収は高い」「公認会計士試験は誰でも受験できます」「4種類の会計基準から選択する」などがあります。
勘定と会計の使い分け方
勘定と会計という言葉は、どちらも代金を支払うことを表します。飲食店などで支払い金額を計算して提示してもらうために、「お会計をお願いします」あるいは「お勘定をお願いします」などと言います。この二つのフレーズは同じことを意味するので、どちらを使っても問題ありません。
また、二つの言葉は同じ意味を持つ一方で、それぞれ別の意味も持っています。
勘定とは、「金勘定が苦手」のような使い方で、お金を数えるという意味を持っています。また、簿記の用語として使用され、「勘定科目」とは取引の内容をわかりやすく分類するために使われる簿記の科目を意味します。
会計とは、お金を管理するという意味を持ちます。「会計事務所」とは、法人や個人の税務相談、各種税務申告業務、記帳代行といった税務や会計に関するサービスを取り扱うところです。
このように二つの言葉は別の意味を持っているため、使い分けが求められるケースがあることを覚えておきましょう。
勘定と会計の英語表記の違い
勘定も会計も英語にすると「account」「bill」「check」となり、例えば上記の「勘定を済ます」を英語にすると「settle one’s account」となります。
勘定の意味
勘定とは
勘定とは、物の数量、または金銭を数えることを意味しています。
その他にも、「代金を支払うこと、その代金」「先々生じるかもしれない事態などを、あらかじめ見積もっておくこと」「いろいろ考え合わせて出た結論」「簿記で、資産の増減や費用の発生を記録するために設ける形式」の意味も持っています。
勘定の読み方
勘定の読み方は「かんじょう」です。誤って「かんてい」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「勘定する」「勘定に入れる」「勘定科目」
「勘定する」「勘定に入れる」「勘定科目」などが、勘定を使った一般的な言い回しです。
勘定の使い方
「勘定を間違えてしまった」「帳簿の勘定が合わない」などの文中で使われている勘定は「金銭を数えること」の意味で、「勘定をツケにしてもらう」「50ドルの勘定を支払う」などの文中で使われている勘定は「代金を支払うこと、その代金」の意味で使われています。
一方、「最悪の事態を勘定に入れる」「自分を勘定に入れない」の文中で使われている勘定は「あらかじめ見積もっておくこと」の意味で、「仕訳をする際は勘定科目と金額を記入します」「損益計算書の勘定科目一覧はこちらです」の文中で使われている勘定は「簿記の形式」の意味で使われています。
勘定とは、上記の例文にあるように複数の意味を持っているので、文脈により意味を捉える必要があります。勘定の「勘」はつき合わせて調べること、「定」は物事を決めて変えないことを表す漢字です。
「損得勘定」の意味
勘定を用いた日本語には「損得勘定」があります。損得勘定とは、自分にとって得なのか損なのかを天秤にかけて、物事を打算的に判断することを意味します。「損得勘定で動く」「損得勘定をする」などと表現します。
勘定の類語
勘定の類語・類義語としては、物の数量をはかり数えることを意味する「計算」、金額や数量などを計算して決めることを意味する「算定」、計算して数値を出すことを意味する「算出」、物事の起こる前にその事を見通すことを意味する「予見」などがあります。
会計の意味
会計とは
会計とは、代金の支払い、勘定を意味しています。
その他にも、「金銭の収支や不動産の増減など財産の変動、または損益の発生を貨幣単位によって記録・計算・整理し、管理および報告する行為」の意味も持っています。
表現方法は「会計を締める」「会計を持つ」「会計が合わない」
「会計を締める」「会計を持つ」「会計が合わない」などが、会計を使った一般的な言い回しです。
会計の使い方
「食事が済んだので会計を頼みました」「お会計お願いしますと英語で言いました」「スマホ一つで会計ができます」「お会計金額を入力する」などの文中で使われている会計は、「代金の支払い、勘定」の意味で使われています。
一方、「会計年度任用職員は一般職の地方公務員です」「クラウド会計ソフトを利用しています」「会計士と税理士はどちらが難しいですか」「会計検査院への就職を希望しています」の文中で使われている会計は、「財産の変動や損益の発生を貨幣単位によって管理すること」の意味で使われています。
会計とは、代金の支払い、あるいは金銭や物品の出入りを取り扱って管理することを意味します。日常生活からビジネスの場まで幅広いシーンで使用されている言葉です。企業の会計は財務会計と管理会計に区分されており、それぞれ社外向けと社内向けの経営報告を目的としています。
会計の語源
会計という言葉の語源は、「計は会なり」というフレーズであり、「会」は増大すること、「計」は真実を正しく言うことを表します。会計とは、真実を正しく言えばビジネスは増大する、ということを表現した言葉なのです。
「会計年度任用職員」の意味
会計を用いた日本語には「会計年度任用職員」があります。会計年度任用職員とは、業務繁忙期や職員に欠員が生じたときなどに、職員の補助として一会計年度内を任期として任用される非常勤の公務員のことです。以前は、「臨時職員」「非常勤職員」と呼ばれていました。
会計の類語
会計の類語・類義語としては、会計や給与に関する事務を意味する「経理」、金銭や物品を出し入れすることを意味する「出納」、資産や負債の増減などを一定の形式によって帳簿に記録することを意味する「簿記」などがあります。
勘定の例文
この言葉がよく使われる場面としては、金銭や物の数量を数えること、代金を支払うこと、いろいろ考え合わせて判断を下すこと、簿記用語を表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「どんぶり勘定」とは、細かく計算などをしないで、おおまかに金の出し入れをすることです。昔、職人などが、丼の中に金を入れておいて、無造作に出し入れして使ったことに由来します。
会計の例文
この言葉がよく使われる場面としては、代金の支払いや勘定、金銭や物品の出入りを取り扱って管理することを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「公認会計士」とは、会計の専門家であり、企業の監査と会計を専門分野とする国家資格を持つ職種です。例文4の「管理会計」とは、自社の経営に活かすことを目的として作成する、社内向けの会計です。
勘定と会計という言葉は、どちらも「代金を支払うこと」を表します。さらに「勘定」にはお金を数えることの意味があり、「会計」にはお金を管理するという意味があることを覚えておきましょう。