似た意味を持つ「コネ」と「ツテ」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「コネ」と「ツテ」という言葉は、「人とのつながり」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
コネとツテの違い
コネとツテの意味の違い
コネとツテの違いを分かりやすく言うと、コネは自ら作るつながりを表現する時に使い、ツテは元から存在したつながりを表現する時に使うという違いです。
コネとツテの使い方の違い
一つ目のコネを使った分かりやすい例としては、「コネを作るためにも色々な場所に顔を出しておきたい」「自分のコネを考えればまずは人脈づくりに注力した方がいいだろう」「噂の新人はコネ入社したと言われている」などがあります。
二つ目のツテを使った分かりやすい例としては、「ツテがあったから就職できたと言わせない仕事ぶりを見せつける他ない」「ツテを頼ってばかりでは自分のためにならない」「母親からの伝言を弟に伝えるツテがない」などがあります。
コネとツテの使い分け方
コネとツテは、どちらも人とのつながりを表す言葉ですが、使い方やニュアンスが若干異なります。
コネは、関係やつながりを意味しますが、特に自分の目標や目的のためになるような人間関係を指すことが多い言葉です。語源となる英語の「connection」には取引先や得意先という意味もあります。
一方のツテは、物事を上手く進めていきたい時に頼りにできそうな人物や関係を意味します。その他にも、離れた場所にいる人に連絡を取る方法を表す言葉としても使われています。
上記例文の「コネを作る」という表現を「ツテを作る」とすることはできず、「ツテを辿る」という表現を「コネを辿る」とすることはできません。
つまり、コネは自主的に作り上げた関係を表すのに対して、ツテは元々の持っていた人脈を表すという違いがあります。そのため、自身の利益を優先するように捉えられるツテという言葉に、コネよりもネガティブなニュアンスを覚える人は少なくありません。
コネとツテの英語表記の違い
コネを英語にすると「connection」となり、例えば上記の「自分のコネ」を英語にすると「my connection」となります。一方のツテも英語にすると「connection」となり、例えば上記の「ツテがある」を英語にすると「have connections」となります。
コネの意味
コネとは
コネとは、関係やつながりを意味しています。
特に、物事を良いように運ぶために協力してくれるような親しい関係を指す言葉として使われています。
表現方法は「コネを使う」「親のコネ」「コネで入社」「コネを作る」
「コネを使う」「親のコネ」「コネで入社」「コネを作る」などが、コネを使った一般的な言い回しです。
コネの使い方
コネを使った分かりやすい例としては、「上司はコネ入社をしたと聞いていたが申し分ないほどの優秀さだった」「親のコネで受験をパスするなんていくらお金を支払うのだろうか」「コネがある人だけが仕事に就くことができるのはおかしい」などがあります。
その他にも、「コネ採用をズルいと考える人も多いのだろうか」「OBやOGとつながりを持つことはコネを作ることに当たるのだろうか」「コネという言葉はネガティブだが人脈という言い方であればポジティブに捉えられる」などがあります。
コネは「コネクション」の省略語
コネは「コネクション」の略語で、英語では「connection」と表記され、「連結」「関係」「間柄」といった意味を持つ言葉です。日本語でも同じように使われていますが、連結を意味する場合、施設やシステムを指すことがほとんどでコネと省略されません。
「コネ入社」「コネ採用」は「縁故採用」よりも否定的に見られる
1870年頃より前は縁故採用でほとんどの新入社員の採用を決めており、縁故がなければ大手企業への就職は不可能とされていました。そのため、企業側から出された条件と言えど不公平と考えられることもありました。
上記例文の「コネ入社」「コネ採用」は、企業側ではなく、入社希望側が社内の人とのつながりを利用して就職が決まるものと区別されることから、縁故採用よりも否定的に見られることが多い採用方法です。
コネの類語
コネの類語・類義語としては、人と人との特別な関わり合いを意味する「縁故」、依頼や交渉などの手がかりとなるものを意味する「手蔓」、主義主張や利害が一致するような人と人との繋がりを意味する「人脈」などがあります。
ツテの意味
ツテとは
ツテとは、自分の望みを叶えるための手がかりや人物とのつながりを意味しています。
その他にも、離れている人に言葉などを伝える方法を意味する言葉としても使われています。
ツテの使い方
「知り合いのツテがあって仕事を見つけることができた」「ツテを辿ってようやく過去問を入手した」「ツテを頼らずとも自分の力でやっていけると言ってもらえた」などの文中で使われているツテは、「物事を上手くやるための手がかり」の意味で使われています。
一方、「携帯の電源が切れているため連絡をするツテがなくなってしまった」「昔はどのようなツテで遠方の人と意思疎通を図っていたのだろう」などの文中で使われているツテは、「遠くの人に伝える手段」の意味で使われています。
ツテは、ひらがなで表記されることもありますが、視認性の問題からか「ツテがある」などのようにカタカナ表記が用いられます。漢字では「伝」「伝手」と表記される言葉ですが、常用漢字表には載っていません。
漢字表記の場合、「でん」「てんじゅ」と読むこともあります。「でん」は方法という意味も持ちますが、言い伝えや伝記を指すこともあり、「てんじゅ」は三味線などの楽器の弦の張りを調節するための棒を指す言葉となるため意味が大きく異なる場合があります。
表現方法は「ツテがある」「ツテがない」「ツテを辿る」「ツテを頼る」
上記例文のように、「ツテがある」「ツテがない」「ツテを辿る」「ツテを頼る」などの表現で使われることが多く、元々の人脈を自身の望みを叶えるための手がかりとすることから、ネガティブな意味で使われることはなく、「コネ」とは区別して使われています。
「ツテが回る」は誤り
また、「ツテが回る」という言葉が使われることもありますが、よくないことをしたり無理を通せば後々その始末をしなければならなくなることを意味する「ツケが回る」の誤用です。
ツテの類語
ツテの類語・類義語としては、人間関係や物事との関わり合いを意味する「ゆかり」、何らかの縁によるつながりや親しい付き合いを意味する「よしみ」、関係があることを意味する「縁由」(読み方:えんゆう)などがあります。
コネの例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事を良いように運ぶために協力してくれるような親しい関係を意味する時などが挙げられます。
例文1の「リファラル採用」とは、企業に勤めている社員などを通して求職者とのつながりを持ち、面接などを経て採用に至る方式を指す言葉で、コネ採用に似ている方法です。
例文3の「コネをつける」とは、コネを作っている状態を表現する言葉です。
ツテの例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分の望みを叶えるための手がかりや人物とのつながりを意味する時などが挙げられます。
例文5のように、離れている人に言葉などを伝える方法を意味する言葉としても使われています。
コネとツテは、どちらも「人とのつながり」を表します。どちらを使うか迷った場合は、自ら作るつながりを表す場合は「コネ」を、元から存在したつながりを表す場合は「ツテ」を使うと覚えておけば間違いありません。