【出奔】と【逐電】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「出奔」(読み方:しゅっぽん)と「逐電」(読み方:ちくでん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「出奔」と「逐電」という言葉は、どちらも「逃げ出して行方をくらますこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




出奔と逐電の違い

出奔と逐電の意味の違い

出奔と逐電の違いを分かりやすく言うと、出奔よりも逐電の方が、すばやく逃げ出すさまを表すという違いです。

出奔と逐電の使い方の違い

一つ目の出奔を使った分かりやすい例としては、「居づらくなった彼は東京に出奔したらしい」「置手紙を残して娘が出奔してしまった」「家臣が主君を見限って出奔する」「いっそのこと出奔して人生をやり直したい」などがあります。

二つ目の逐電を使った分かりやすい例としては、「居場所がつかめないが逐電したのだろうか」「逐電した兄の行方がわかりません」「英語教室の経営者が逐電したようだ」「家族を置き去りにして逐電してしまった」などがあります。

出奔と逐電の使い分け方

出奔と逐電という言葉は、どちらも今までいた場所から逃げ出して行方をくらますことを表しますが、意味や使い方には大きく二つの違いがあります。

一つ目は、逐電には「敏速に行動すること」の意味があることです。出奔と逐電は、不都合な状況から逃げ出すことを表しますが、逐電には素早く逃げるニュアンスがありますが、出奔という言葉にはそのようなスピード感はありません。

二つ目は、出奔には、江戸時代における武士の失踪の意味があることです。徒歩で戦う徒士 (かち) 以上の武士に対して使用される言葉であり、戦乱や犯罪などを理由に無断で姿を消して行方不明の状態になることを表しました。

これらが、出奔と逐電という言葉の明確な違いになります。二つの言葉は同義語ですが、違いを意識して使い分けるようにしましょう。

出奔と逐電の英語表記の違い

出奔も逐電も英語にすると「running away」「absconding」「flight」となり、例えば上記の「東京に出奔」を英語にすると「ran away to Tokyo」となります。

出奔の意味

出奔とは

出奔とは、逃げだして行方をくらますことを意味しています。

その他にも、「江戸時代、徒士 (かち) 以上の武士の失踪」の意味も持っています。

出奔の読み方

出奔の読み方は「しゅっぽん」です。誤って「しゅっぽう」「でほう」などと読まないようにしましょう。

表現方法は「出奔する」「出奔した」

「出奔する」「出奔した」などが、出奔を使った一般的な言い回しです。

出奔の使い方

「不名誉な噂に耐えられず出奔する」「保護施設を出奔し所在不明となっている」「私は出奔することにした」「英語の先生は家族を捨てて出奔したそうだ」などの文中で使われている出奔は、「逃げだして行方をくらますこと」の意味で使われています。

一方、「家康の元を出奔し秀吉の家臣になった武将がいました」「御家断絶を覚悟で出奔しました」「武士の出奔は珍しくありません」などの文中で使われている出奔は、「江戸時代、武士の失踪」の意味で使われています。

出奔の「奔」は訓読みで「はしる」と読み、勢いよく駆けることや走って逃げることを表します。内から外へでることを表す「出」と組み合わさり、出奔とは、いるべき場所から去って行方をくらますことを意味します。江戸時代における武士の失踪の意味でも用いられる言葉です。

「出奔届」の意味

出奔を用いた日本語には「出奔届」(読み方:しゅっぽんとどけ)があります。出奔届とは、出奔者があるときに、その旨を届け出ることや、その届け書を意味します。

出奔の対義語

出奔の対義語・反対語としては、隠れていたものが姿をあらわすことを意味する「出現」などがあります。

出奔の類語

出奔の類語・類義語としては、帰らないことを前提にひそかに家をぬけ出ることを意味する「家出」、ひそかに逃げることを意味する「駆け落ち」、急に姿を隠すことを意味する「どろん」、犯罪者などが遠くの土地へ逃げることを意味する「高跳び」などがあります。

逐電の意味

逐電とは

逐電とは、敏速に行動すること、特に、すばやく逃げて行方をくらますことを意味しています。

逐電の読み方

逐電の読み方は「ちくでん」の他に、「ちくてん」とも読みますが、「ちくでん」と読むことが一般的です。同じ読み方をする熟語に「蓄電」や「竹田」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。

表現方法は「逐電逃亡」「逐電する」

「逐電逃亡」「逐電する」などが、逐電を使った一般的な言い回しです。

逐電を使った分かりやすい例としては、「家庭も仕事も全て投げ捨てて逐電してしまった」「逐電してから三年弱の月日が流れた」「無実の罪を晴らすために逐電者となった」「祖国を捨て他国へと逐電する」などがあります。

その他にも、「会社の金を横領して逐電する」「なぜ彼は逐電したのだろう」「逐電した二人は幸せに暮らしているだろうか」「大切な友人が突然逐電してしまった」「彼女が逐電したのは何故だろう」などがあります。

逐電とは、それまでいた所から逃げ出して行方をくらますことを意味します。家や土地を離れる動機が、社会的不名誉や不義理など、深く複雑であることが多い言葉です。また、古い言い方であり、日常会話で使用されることは少なくなっています。

逐電の語源

逐電の語源は、「稲妻を追いかけること」を意味する漢字に由来します。「逐」は訓読みで「おう」と読み、先に進むものに行き着こうとして急ぐことを表し、「電」は長くのびる稲妻を表します。素早い稲妻を追いかけることから、逐電という言葉が生まれました。

逐電の対義語

逐電の対義語・反対語としては、ある場所に座って動かないでいることを意味する「居座る」などがあります。

逐電の類語

逐電の類語・類義語としては、逃げて身を隠すことを意味する「逃亡」、夜の間にこっそり逃げて姿をくらますことを意味する「夜逃げ」、行方をくらますことを意味する「失踪」、人がいつの間にかその場からいなくなることを意味する「蒸発」などがあります。

出奔の例文

1.家出や出奔等により、年間およそ何万人の方々が行方不明となっているかご存知でしょうか。
2.父は私が生まれる前に失踪し、母も幼い頃に出奔したため、祖父母に育てられました。
3.会社の経営に失敗して多額の負債をつくった私は、大阪を出奔し各地を転々としました。
4.大河ドラマをみて、なぜ石川数正は徳川家康の元を出奔したのかがわかりました。
5.岡山藩は武士の出奔に寛容であったため、脱藩によって一族に処分が下されることはなかった。
6.絶望に打ちひしがれた彼は、家族や友人を置き去りにして東京へと出奔した。そこではもう一度人生をやり直したいという思いで一杯だった。
7.彼女は虐待を受けていたため、自分の身を守るために置手紙を残して出奔してしまった。彼女の行方は今もわからないままだ。
8.主君への忠誠心を失った家臣が、絶望の中で決断し、主君の元を見限って出奔した。それは別人となって生きるに等しいことだった。
9.自分の未来に希望を見出せなくなった。彼は一念発起し、海外に出奔して新たな人生を切り開くことを決めた。
10.このままここで働いていても先が見えているので、いっそのこと出奔して人生をやり直したいなどと思うようになった。

この言葉がよく使われる場面としては、逃げ出して行方をくらますこと、徒士(かち)以上の武士が逃亡して跡をくらますことを表現したい時などが挙げられます。

例文1から例文3にある出奔は、逃げ出して行方をくらますことの意味で用いられています。例文4や例文5の出奔は、武士が逃亡して跡をくらますことの意味で用いられています。

逐電の例文

1.犯人が他の都道府県に逐電するケースが多いため、警察は広域捜査を強化しています。
2.明日は苦手な英語のテストかと思うと、逐電したい気持ちになります。
3.戦争が長引けば、戦意を失って逐電逃亡する兵士が次々と出るでしょう。
4.身に覚えのない罪を着せられて逐電者となった男を描いた時代劇が面白かった。
5.江戸時代の中期から、借金のために逐電する武士が徐々に増えました。
6.民主活動家たちは政府の弾圧から逃れるため、夜の闇に紛れて逐電しようと考えた。
7.絶望的な状況に直面し、彼は家族と別れを告げて逐電する決断を下しました。
8.青年は逐電の理由は一切明かさなかったが、住人たちは彼のことを気遣って理由を聞くことはなかった。
9.会社を立ち上げたメンバーの中には、大切な運営資金を盗んで逐電してしまった者もいました。
10.その映画は、無実の罪を着せられた男が、真犯人の証拠を集めるために逐電者となった話でした。

この言葉がよく使われる場面としては、非常に敏速に行動すること、逃げ去って行方をくらますことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、逐電の慣用的な言い回しには「逐電する」「逐電した」「逐電者」などがあります。

出奔と逐電という言葉は、どちらも「逃げ出して行方をくらますこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、素早く逃げ出すさまを表現したい時は「逐電」を使うようにしましょう。

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