似た意味を持つ「錯綜」(読み方:さくそう)と「交錯」(読み方:こうさく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「錯綜」と「交錯」という言葉は、どちらも「複雑に入りまじるさま」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
錯綜と交錯の違い
錯綜と交錯の意味の違い
錯綜と交錯の違いを分かりやすく言うと、交錯よりも錯綜の方が、複雑である度合いが大きいという違いです。
錯綜と交錯の使い方の違い
一つ目の錯綜を使った分かりやすい例としては、「情報が錯綜するとデマやフェイクが拡散しやすくなる」「LGBTの法案をめぐって情報が錯綜している」「自分の中で色々な考えが錯綜する」などがあります。
二つ目の交錯を使った分かりやすい例としては、「これは夢と現実の交錯を描いた物語です」「寒流と暖流が交錯する海域です」「希望と不安の気持ちが交錯する」「プレーヤー同士が交錯し、ぶつかりあった」などがあります。
錯綜と交錯の使い分け方
錯綜と交錯という言葉は、どちらも「いろいろなものが複雑に入り乱れること、異なる物が一か所に集まること」を表します。二つの言葉は同義語ですが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
錯綜とは、物事が複雑に入り組んで、混乱した状態を意味します。本来であれば統一性や規則性を持つべきものが、それらを失って矛盾をきたしている様子を表します。「情報が錯綜する」「考えが錯綜する」のように、形のないものに用いられることが多くあります。
交錯とは、複数の物事が複雑に入り組むことを意味します。「寒流と暖流が交錯する」のように、物理的に入り混じることを表す一方、「気持ちが交錯する」のように精神的なものが入り混じっている様子も表します。
つまり、二つの言葉の違いは複雑さの度合いになります。混乱するほどに入り組んでいる様子を表す錯綜は、交錯よりも複雑化している様子を表現します。
錯綜と交錯の英語表記の違い
錯綜を英語にすると「complication」「plexus」「involution」となり、例えば上記の「情報が錯綜している」を英語にすると「Information gets complicated」となります。
一方、交錯を英語にすると「mixture」「blending」「crossing」となり、例えば上記の「夢と現実の交錯」を英語にすると「a mixture of dream and reality」となります。
錯綜の意味
錯綜とは
錯綜とは、物事が複雑に入り組んでいること、入り交じって混乱することを意味しています。
錯綜の読み方
錯綜の読み方は「さくそう」です。誤って「しゃくそう」「そそう」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「情報が錯綜」「気持ちが錯綜する」「業務が錯綜」
「情報が錯綜」「気持ちが錯綜する」「業務が錯綜」などが、錯綜を使った一般的な言い回しです。
錯綜の使い方
錯綜を使った分かりやすい例としては、「さまざまな情報が全国規模で錯綜中です」「情報が錯綜してしまい申し訳ございません」「作業動線の錯綜を解消する」「ビジネスの世界は利害関係の錯綜ばかりです」などがあります。
その他にも、「錯綜作業が減少し安全性が向上しました」「工事が錯綜するとリスクが高まります」「英語教育に関する情報は錯綜しています」「金融会合を控え日米の思惑が錯綜する」「姉妹それぞれの気持ちが錯綜する」などがあります。
錯綜の「錯」は訓読みで「まじる」と読み、乱れて入りくむことを表し、「綜」は「まじえる」と読み、入りこませることや組み合わせることを表します。錯綜とは、複雑に入り組んでいて、統一性を失い矛盾などをきたすことを意味します。
「錯綜作業」の意味
上記の例文にある「錯綜作業」とは、複雑に入り組み混乱をきたすような作業を意味します。「複雑な作業」とも言い換えられ、対する言葉には「単純作業」があります。
錯綜の対義語
錯綜の対義語・反対語としては、秩序正しく整っているさまを意味する「整然」、乱れた状態にあるものを整えてきちんとすることを意味する「整理」などがあります。
錯綜の類語
錯綜の類語・類義語としては、まとまりがなく入りまじっていることを意味する「錯雑」、物事が入り乱れて秩序をなくすことを意味する「混乱」、入り乱れてごちゃごちゃになることを意味する「錯乱」などがあります。
交錯の意味
交錯とは
交錯とは、いくつかのものが入りまじることを意味しています。
交錯の読み方
交錯の読み方は「こうさく」です。同じ読み方をする熟語に「工作」や「耕作」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。
表現方法は「想いが交錯する」「気持ちが交錯する」「意見が交錯する」
「想いが交錯する」「気持ちが交錯する」「意見が交錯する」などが、交錯を使った一般的な言い回しです。
交錯の使い方
交錯を使った分かりやすい例としては、「付き合い始めた二人の想いは交錯していた」「株式市場は売り買いが交錯する展開となっている」「交錯輸送は交通渋滞の原因の一つです」「野球の試合では外野手同士の交錯プレイが多い」などがあります。
その他にも、「スクランブル交差点では多くの人が交錯する」「因縁が交錯し思いがぶつかる議論となった」「この英語教室には様々なニーズが交錯している」「交錯木理を持つ板材は扱いに注意してください」などがあります。
交錯の「交」は「まじわる」と読み、互いに混じり合うことや入り乱れることを表します。乱れて入りくむことを表す「錯」と結び付き、交錯とは、複数の物が入り組むこと、一か所に複数のものが集って入りまじることを意味します。
「交錯木理」の意味
交錯を用いた日本語には「交錯木理」(読み方:こうさくもくり)があります。交錯木理とは、木材細胞の走向が生長層によって異なっている木目のことで、ラワン類など熱帯産の木材によく見られます。
「時代交錯」は誤用
交錯を用いた誤った表現には「時代交錯」があります。正しくは「時代錯誤」であり、言動や考え方が現代に適合しておらず、時代遅れであることを意味します。
交錯の対義語
交錯の対義語・反対語としては、どこまで延長しても交わらないことを意味する「平行」などがあります。
交錯の類語
交錯の類語・類義語としては、異なった性質のものがまじり合うことを意味する「混合」、異なるものが入りまじることを意味する「混交」、いろいろな種類の物が整理されない状態で入りまじっていることを意味する「雑多」などがあります。
錯綜の例文
この言葉がよく使われる場面としては、入りまじってどれがどうなっているかわからなくなることを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3にあるように、錯綜という言葉は、情報が入り混じっていることを表現する際に使用されることが多くあります。
交錯の例文
この言葉がよく使われる場面としては、複数の物が複雑に入り組むことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、交錯の慣用的な言い回しには「思いが交錯する」「想いが交錯する」「感情が交錯する」「情報が交錯する」などがあります。
錯綜と交錯という言葉は、どちらも「複雑に入りまじっているさま」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、より複雑化している様子を表現したい時は「錯綜」を使うようにしましょう。