【重んじる】と【重んずる】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「重んじる」(読み方:おもんじる)と「重んずる」(読み方:おもんずる)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「重んじる」と「重んずる」という言葉は、どちらも価値のあるものとして重くみることを意味するという共通点があり、使う場面は少し違いますが混同して使われる傾向があります。

重んじると重んずるの違い

重んじると重んずるの違いを分かりやすく言うと、辞書に載っている現代風の読み方か、古い読み方かの違いです。「重んじる」と「重んずる」は、どちらも同じ意味を持つ言葉で、現代では「重んじる」の方を一般的な読み方として使用しています。

一つ目の重んじるを使った分かりやすい例としては、「アメリカは多様性を重んじる国」「日本人は伝統と歴史を重んじる国」「独創性を重んじる経営」「自主性を重んじる学校」「人の命を重んじる」などがあります。

二つ目の重んずるを使った分かりやすい例としては、「兄弟の順序を重んずる」「協力を重んずる教育」「礼節を重んずる場所」「精神性を重んずるのが日本文化の真髄」などがあります。

なぜ、重ん「じる」と重ん「ずる」という二種類の語尾が存在するのか。これは、日本語の口語文法と文語文法の決まりによる違いがあるからです。口語文法とは、しゃべり言葉のことで、文語文法とは、文章で書く際の言葉という意味です。

これらの日本語文法には「活用法」という考え方があります。活用法とは、文章の流れによって単語の語尾を違和感のないように変えることを意味します。

まさしく「重んじる」「重んずる」のように、最初の言葉は同じであっても語尾が違う言葉が存在するのは、活用法によって文脈に合うかたちで語尾が変えられているからです。

重んじる、重んずるという言葉は「サ行変格活用」という活用法によって、語尾を変えています。サ行変格活用では、文章の流れによって語尾をサ行の言葉である「さしすせそ」を元にして変えていきます。

「重んじる」「重んずる」という言葉の場合、「重ん」という先頭の言葉はそのままに、語尾を「未然形:じ」「連用形:じ」「終止形:じる・ずる」「連体形:じる・ずる」「仮定形:じれ・ずれ」「命令形:じろ・じよ・ぜよ」という風に変化させます。

語尾の変化の形である未然形や連用形などの名称は、その言葉がどのような文脈で使われているかの形のことを指しています。例えば「未然形」というのは「まだそうなってはいない」という意味を持ち、否定形と一緒に使われます。

つまり、重んじるの未然形の表現は「重んじない」となります。変化しない先頭の「重ん」に未然形の「じ」をつけて、最後に否定形の「ない」を付けた形です。

このように、日本語には、様々な文法上の決まりがあります。「重んじる」「重んずる」というのは、両方ともこの文法で言うところの「終止形」です。

終止形というのは、言い切りの形という意味があります。文章ではなく、ひとつの単語として使う際には終止形を使います。

「重ん」の終止形には「じる」と「ずる」の二種類があります。これが「重んじる」と「重んずる」の違いです。二種類の語尾がある場合、どちらを使っても間違いではありませんが、どちらか一方が、一般的に使われているものであることがほとんどです。

「重ん」の場合、辞書に記載されているのは「重んじる」という言葉です。こちらが、現代では一般的に使用されている言葉であり、「重んずる」というのは古い言い方になります。

しかし、意味に違いはありませんし、どちらも文法的には使えるものですので、個々人の好みや文章の前後の文脈などを考えて、自由に使い分けが出来るものであると言えます。

重んじるの意味

重んじるとは、価値のあるものとして重くみることを意味しています。

重んじるを使った分かりやすい例としては、「効率を非常に重んじております」「兄弟愛を重んじた子育て」「伝統を重んじている印象」「規律を重んじて慎ましく暮らしている」「感動を重んじている演出」などがあります。

重んじるの類義語としては、崇めることを意味する「尊ぶ」、価値を決める事を意味する「評価する」などがあります。

重んじるの対義語としては、物事を軽く見ることを意味する「軽んじる」などがあります。

重んじるの重の字を使った別の言葉としては、尊いものとして大切に扱うことを意味する「尊重」、尊び重んじることを意味する「推重」、大切であることを意味する「重要」、注目して見ることを意味する「重視」などがあります。

重んずるの意味

重んずるとは、重んじるという言葉の少し古い言い方を意味しています。重んずるというのは「重んず」という言葉のサ行変格活用の終止形です。

重んずるを使った分かりやすい例としては、「チャレンジ精神を重んずる」「死を怖るるとは即ち生を重んずる」「義を重んずるの挙動」「利を見て義を重んずる」などがあります。

意味としては、重んじると全く同じものであり、文章の前後の文脈などによって使い分けることが出来るものです。辞書には「重んじる」は載っていても、「重んずる」という言葉は載っていないことが多く、重んずるは現代語よりも少し古い表現です。

しかし、意味は同じであるので、「重んじる」「重んずる」のどちらを使っても間違いではありません。古風な雰囲気を出したい時などには、あえて「重んずる」という言葉を使うのも良いでしょう。

他にも、例えば「重んず」という言葉の命令形を考えてみると、現代風の言い方であれば「重んじろ」となりますが、古風な言い回しになると「重んじよ」または「重んぜよ」となります。

この「重んじよ」「重んぜよ」と同じ雰囲気を持つのが「重んずる」であると考えると、わかりやすいでしょう。

重んじるの例文と使い方

1.この先生は論理構成を重んじられるので、それを意識したレポートを作成してみた。
2.父の名誉を重んじて、この事は誰にも言わないと心に誓った。
3.委員会の決定を重んじて、その方針に沿った政策を行う。
4.美しさを重んじる女性がこの会社では活躍している。
5.スポーツをやっている以上、そのスポーツのルールを重んじることは当たり前のことだ。

この言葉がよく使われる場面としては、価値のあるものとして重くみることを表現で表したい時などが挙げられます。

学校教育や政治を中心に使われ、基本的にプライベートでこの言葉を使う人はいません。

プライベートで使う場合は、少し崩した表現である「大切にしている」や「大事にしている」あたりを使っておけば普通の日常会話の中で使っても違和感はないでしょう。

重んずるの例文と使い方

1.「士の重んずることは節義なり」が私の人生のベースとなっている。
2.マナー教育を重んずる校風の特色が強い学校への入学を希望している。
3.社会に出ていない未成年も社会の一員として重んぜられるべきだと考えている。

この言葉がよく使われる場面としては、重んじるという言葉を少し古風な表現で表したい時などが挙げられます。

上記の例文を見れば分かる通り、「重んずる」を「重んじる」に置き換えても全く文章としての問題はありません。

「重んずる」を使う場合は「重んじる」と「重んずる」の意味を知っている人からすると、古風な人間だなと思われることでしょう。