【観察】と【観測】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「観察」(読み方:かんさつ)と「観測」(読み方:かんそく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「観察」と「観測」という言葉は、どちらも「物事をよく見ること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




観察と観測の違い

観察と観測の意味の違い

観察と観測の違いを分かりやすく言うと、観察とは物事を注意深く見ること、観測とは自然現象を観察して測定するこという違いです。

観察と観測の使い方の違い

一つ目の観察を使った分かりやすい例としては、「彼は見かけによらず観察力がある人だ」「研究初期の観察者たちの記録を確認する」「鋭い観察眼を持つ人はコミュニケーション能力が高い」「罪を犯した少年は保護観察処分となりました」などがあります。

二つ目の観測を使った分かりやすい例としては、「降水量を観測する観測所は全国に約1,300か所あります」「観測井戸を設置して地下水をモニタリングする」「気象観測データはCSV形式で公開しています」「希望的観測でビジネスは成功しません」などがあります。

観察と観測の使い分け方

観察と観測という言葉は、どちらも事物や現象を客観的によく見る行為を表しますが、意味や使い方には違いがあります。

観察とは、事物や現象を注意深く把握することを意味し、ありのままを客観的に詳しく見ようとする行為です。「観察眼」は、物事をよく観察できる見識や能力のことであり、見たことから多くのことを見抜いたり少しの変化も見逃さない態度を「観察眼が鋭い」と言います。

観測とは、「降水量を観測する」のような使い方で、主に天然の対象を観察し測定すること、自然界の状態や推移変化を数値に表わすことを意味します。また、「希望的観測」のような使い方で、 物事を注意深く見て成り行きを予測することの意味もある言葉です。

つまり、観察とは物事を注意深く詳しく見ることであり、観測とは自然現象の変化を観察して測ることを表現することが多い言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

観察と観測の英語表記の違い

観察も観測も英語にすると観察を英語にすると「observation」「survey」となり、例えば上記の「観察力」を英語にすると「faculty of observation」となります。

観察の意味

観察とは

観察とは、事の状態や変化を客観的に注意深く見ることを意味しています。

その他にも、「仏語、智慧によって対象を正しく見極めること」の意味も持っています。

観察の使い方

「英語教室に通う子どもたちの様子を注意深く観察する」「鋭い観察眼はビジネスを成功に導きます」「介入研究と観察研究には明確な違いがあります」などの文中で使われている観察は、「事の状態や変化を客観的に注意深く見ること」の意味で使われています。

一方、「心身を観察する瞑想を大事にしています」「観察していくと智慧が現れるようになります」「日々の修行の中心は念住の観察です」などの文中で使われている観察は、「仏語、智慧によって対象を正しく見極めること」の意味で使われています。

観察とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ちますが、一般的には「事の状態や変化を客観的に注意深く見ること」の意味で用いられています。観察の「観」は物事を念入りに見ること、「察」は調べて明らかにすることを表す漢字です。

観察の語源

観察という言葉の語源は、仏教に由来します。仏教において、観察は「かんざつ」とも読み、澄みきった智慧の働きによって現象や姿あるいは性質などを正しく見抜くことを意味します。転じて、物事をよく見て客観的な知識を得ることの意味で使われるようになりました。

観察の対義語

観察の対義語・反対語としては、考えられていることが正しいかどうかなどを実際に試してみることを意味する「実験」などがあります。

観察の類語

観察の類語・類義語としては、くわしく観察あるいは考察することを意味する「精察」、見物することを意味する「観覧」、見て知ることを意味する「看取」、観察することや見張ることを意味する「ウオッチング」などがあります。

観測の意味

観測とは

観測とは、自然現象を精密に観察・測定し、その変化や推移を調べることを意味しています。

その他にも、「物事を注意深く見て、変化や成り行きを予測すること」の意味も持っています。

観測の使い方

「観測者が観測記録を付ける」「観測可能な宇宙はどれぐらいの広さですか」「標準的な量子力学に観測問題は存在しません」などの文中で使われている観測は、「自然現象を精密に観察・測定し、その変化や推移を調べること」の意味で使われています。

一方、「職場で観測気球を上げて同僚の反応を見る」「大事な判断で希望的観測は避けるべきです」などの文中で使われている観測は、「物事を注意深く見て、変化や成り行きを予測すること」の意味で使われています。

観測とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で使用されているため、文脈により意味を捉える必要があります。観測の「測」は訓読みで「はかる」と読み、 深さや長さなどをはかること、物事の状況や結果を予測し判断することを表します。

表現方法は「観測気球」

観測を用いた日本語には「観測気球」があります。観測気球とは、大気の状態を調べるために打ち上げる気球です。「観測気球を上げて反応を見る」のような使い方で、比喩的に、世論や周囲の反応などをさぐるために流す情報や声明なども意味する言葉です。

観測の対義語

観測の対義語・反対語としては、物事の成り行きを前もって見当をつけることを意味する「予想」などがあります。

観測の類語

観測の類語・類義語としては、実際に測ることや実地の測量を意味する「実測」、ある量の大きさを計器や装置を用いて測ることを意味する「測定」、広狭や高低などをはかることを意味する「測量」、事の結果を前もって推し量ることを意味する「予測」などがあります。

観察の例文

1.人間観察が趣味である人は、他人に対して興味があるだけでなく考察することが好きなのだろう。
2.イマージョン教育に取り組む公立中学校で、英語の授業を観察しました。
3.漢字の形の微妙な違いを発見することで、観察力を養うことができます。
4.近代看護の母と称されるナイチンゲールは、「看護は観察から始まり観察で終わる」と考えていました。
5.仏教世界において、観察することは現象と真理を自分の心で見つめる作業になります。

この言葉がよく使われる場面としては、物事をよく見て推察すること、智慧によって対象となるものを正しく見極めることを表現したい時などが挙げられます。

例文3にある「観察力」とは、物事の状況を客観的に認識して分析し、さまざまな情報や気付きを得ることができる能力を意味します。

観測の例文

1.全国で震度3以上を観測した地震の回数は、ここ一ヶ月で23回ありました。
2.天体観測する際に、太陽を天体望遠鏡や双眼鏡で見てはいけません。
3.量子力学の理論である「この世は観測されるまで存在しない」という概念がどうしても理解できません。
4.帰国子女である友人は、英語力さえあれば将来は何とかなるという希望的観測を持っているようだ。
5.労働市場の冷え込みを背景に、日銀は再び利下げを行うとの観測も浮上してます。

この言葉がよく使われる場面としては、器械などを用いて自然界の状態や推移変化を観察し数値に表わすこと、物事の状況を注意深く見て推測したり将来を予測したりすることを表現したい時などが挙げられます。

例文4にある「希望的観測」とは、自分に都合のよいように、希望を交えて事の成り行きを推し量ることを意味します。

観察と観測という言葉は、どちらも「物事をよく見る行為」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、物事を注意深く客観的に見ることを表現したい時は「観察」を、観察して測定することや物事の将来を推し量ることを表現したい時は「観測」を使うようにしましょう。

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