【行脚】と【巡行】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「行脚」(読み方:あんぎゃ)と「巡行」(読み方:じゅんこう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「行脚」と「巡行」という言葉は、どちらも「各地を巡り歩くこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




行脚と巡行の違い

行脚と巡行の意味の違い

行脚と巡行の違いを分かりやすく言うと、行脚とは各地を巡ることのみを表し、巡行とは各地を巡ることだけでなく御輿などがコースを回ることも表すという違いです。

行脚と巡行の使い方の違い

一つ目の行脚を使った分かりやすい例としては、「おわび行脚中に体調を崩してしまった」「この夏は美食行脚の旅に出ます」「行脚層の服装を調べる宿題が出ました」「旅先で行脚するお坊さんに出会いました」などがあります。

二つ目の巡行を使った分かりやすい例としては、「山鉾巡行のルートを確認する」「来週は各地を巡行する予定だ」「神輿巡行は中止となり神事のみになった」「山鉾の代わりに徒歩で巡行することになった」などがあります。

行脚と巡行の使い分け方

行脚と巡行という言葉は、どちらも目的をもって様々な場所を巡り歩くことを意味します。この意味で使用されている「おわび行脚中」「各地を巡行する」の行脚と巡行は、互いに置き換えて使っても意味は通じます。

さらに巡行という言葉は、「祭礼などで、御輿や行列が一定のコースを順に回ること」の意味も持っています。この意味は「行脚」にはないので、「山鉾巡行」「神輿巡行」の巡行は、行脚という言葉に置き換えることはできません。

二つに言葉を比べると、行脚よりも巡行の方が多くの意味を持つため、幅広く使える言葉だと言えるでしょう。

行脚と巡行の英語表記の違い

行脚を英語にすると「pilgrimage」「travelling」となり、例えば上記の「行脚中に」を英語にすると「on a pilgrimage」となります。一方、巡行を英語にすると「parade」「one’s rounds」となり、例えば上記の「山鉾巡行」を英語にすると「parade of decorated floats」となります。

行脚の意味

行脚とは

行脚とは、仏道修行のために、僧侶が諸国を歩き回ることを意味しています。

その他にも、「ある目的で諸地方を巡り歩くこと」の意味も持っています。

行脚の読み方

行脚中には「あんぎゃ」です。誤って「ぎょうきゃく」「こうきゃく」などと読まないようにしましょう。

表現方法は「お詫び行脚」「お礼行脚」「諸国行脚」

「お詫び行脚」「お礼行脚」「諸国行脚」などが、行脚を使った一般的な言い回しです。

行脚の使い方

「お坊さんは修行のために行脚する」「歌を詠みながら歩き回る行脚僧がいました」「仏像を背負い全国を行脚する」などの文中で使われている行脚は、「僧侶が諸国を歩き回ること」の意味で使われています。

一方、「いつか全国の史跡を行脚したいです」「英語の先生は夏休みに四国を行脚するらしい」「ビジネスを立ち上げるために日本各地を行脚する」などの文中で使われている行脚は、「ある目的で諸地方を巡り歩くこと」の意味で使われています。

行脚とは、もともと仏教用語で、僧侶が修行や布教のためにいろいろな地方を歴訪することを意味します。この意味が転じ、ある目的をもって各地を巡り歩くこと、徒歩で諸国を旅する人を指す言葉になりました。

四字熟語「雲水行脚」の意味

行脚を用いた四字熟語には「雲水行脚」(読み方:うんすいあんぎゃ)があります。雲水行脚とは、僧が全国各地をめぐりながら修行することを意味します。また、一般人が行き先を定めず思うままに旅することです。

行脚の対義語

行脚の対義語・反対語としては、ある期間そこにとどまることを意味する「滞在」、ある場所に座って動かないでいることを意味する「居座る」などがあります。

行脚の類語

行脚の類語・類義語としては、各地を見て回ることを意味する「巡覧」、あちこちを遊覧して回ることを意味する「回遊」、各地を旅行してまわることを意味する「周遊」、気の向くままに各地を回って旅することを意味する「漫遊」などがあります。

巡行の意味

巡行とは

巡行とは、各地を巡り歩くことを意味しています。

その他にも、「祭礼などのとき、御輿や行列が一定のコースを順に回ること、お練り」の意味も持っています。

巡行の読み方

巡行の読み方は「じゅんこう」です。誤って「じゅんぎょう」「じゅんあん」などと読まないようにしましょう。

表現方法は「神興巡行」「山車巡行」「巡行運転」

「神興巡行」「山車巡行」「巡行運転」などが、巡行を使った一般的な言い回しです。

巡行の使い方

「夏休みは日本各地を巡行する予定です」「査察のために関東県内を巡行する」「天下を巡行して見聞を広める」などの文中で使われている巡行は、「各地を巡り歩くこと」の意味で使われています。

一方、「子供神輿が町内を巡行する」「山鉾巡行はは祇園祭の最大の見どころです」「英語で山鉾巡行を説明しました」などの文中で使われている巡行は、「御輿や行列が一定のコースを順に回ること」の意味で使われています。

巡行の「巡」は訓読みで「めぐる」と読み、各地を順次に移動することを表し、「行」は移動することや目的地へ向かって進むことを表す漢字です。巡行とは、あちらこちらを巡り歩くことを意味します。また、祭礼の行列などが行進することも意味する言葉です。

「巡行開帳」の意味

巡行を用いた日本語には「巡行開帳」(読み方:じゅんこうかいちょう)があります。巡行開帳とは、諸所を巡行して秘仏を開帳することを意味し、「出開帳」(読み方:でかいちょう)とも言います。

巡行を用いた誤った表現には「巡行スピード」があります。正しくは「巡航スピード」であり、船舶や航空機がなるべく少ない燃料消費で長時間航行できる効率のよい速度のことです。

巡行の対義語

巡行の対義語・反対語としては、その場にとどまって進まないことを意味する「逗留」、旅先でしばらくとどまっていることを意味する「滞留」などがあります。

巡行の類語

巡行の類語・類義語としては、ある目的のために各地を順次に移動することを意味する「巡回」、諸所を巡り歩くことを意味する「巡歴」、広く各地を巡り歩くことを意味する「巡歴」などがあります。

行脚の例文

1.なぜ昔話に出てくる行脚僧は、深くて大きな笠を被っているのでしょうか。
2.全国を行脚しながら遍歴を重ねることは、意義のあるお金と時間の使い方だと思いませんか。
3.大概はやぶ蛇になるだろうから、お詫び行脚には行かない方がいいだろう。
4.武士であり歌人でもあった西行は、諸国行脚しながら和歌を詠んだと言われています。
5.私は全国各地を行脚する仕事に就いているので、大手のビジネスホテルチェーンは全て制覇しました。
6.ラーメンが大好きな友人はその土地のおいしいラーメンを食べるために全国を行脚している。
7.新しい社長は、現場の従業員の状況を知るために全国行脚し、各地の支店をお忍びで訪れました。
8.彼女は大事な仕事で大きなミスをしてしまい、今週中は、お詫び行脚の日々を送っていました。
9.男はもし晴れて出家することができたなら、そのまま諸国行脚に出かけようと考えていたのです。
10.祖父はかねてから松尾芭蕉が行脚したルートをそのまま旅してみることが夢で、今回その夢が叶うことになったのです。

この言葉がよく使われる場面としては、仏教僧が諸国を遍歴すること、方々を旅行することを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、行脚の慣用的な言い回し、慣用的な表現には「行脚僧」「行脚する」「お詫び行脚」などがあります。「お詫び行脚」(読み方:おわびあんぎゃ)とは、お詫びの目的で、あちこちを巡ることを意味します。

巡行の例文

1.この夏は、天照大御神の鎮座の地を求めて諸国を巡行する予定です。
2.今年は3年ぶりの本格的な神輿巡行となるので、地元の人々は気合が入っているようです。
3.三大祭りの山車巡行は、想像以上のド迫力で忘れられない思い出になりました。
4.祇園祭の山鉾巡行について、日程や見どころなどをインターネットで情報収集しました。
5.山鉾巡行の予定時間を地図に書き入れ、一目でわかるようにしました。
6.近所にある大國魂神社最大の祭り「くらやみ祭」は、勇壮な神輿渡御や山車の巡行など迫力ある祭りだ。
7.明日はまだお祭りではないが、神輿の巡行ルートを確認して、最適な撮影スポットを見つけたいと思っています。
8.神輿巡行の際には、地元の人々が華やかな衣装を身にまとい、歓声を上げながら行列に参加しています。
9.山鉾巡行の町中でのパフォーマンスや踊りの披露によって、地元の人々や観光客が一体となって祭りを楽しむことができます。
10.彼は仏教に興味を持ち、夏休みに全国の寺院を巡行していました。その過程で多くの人と出会い、人生の教えを学んでいきました。

この言葉がよく使われる場面としては、目的をもって方々を巡り歩くこと、お練りを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、巡行の慣用的な言い回しには「巡行する」「神輿巡行」「山車巡行」「山鉾巡行」などがあります。「神輿巡行」(読み方:みこしじゅんこう)とは、神輿を担いでまちを練り歩くことを意味します。

行脚と巡行という言葉は、どちらも「各地を巡り歩くこと」を表します。さらに「巡行」という言葉には、 「祭礼の御輿や行列がコースを順に回ること」の意味も持っていることを覚えておきましょう。

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