【鳴く】と【啼く】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

同じ「なく」という読み方の「鳴く」と「啼く」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「鳴く」と「啼く」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。




「鳴く」と「啼く」の違い

「鳴く」と「啼く」の意味の違い

「鳴く」と「啼く」の違いを分かりやすく言うと、「鳴く」は公用文で使える、「啼く」は公用文で使えないという違いです。

「鳴く」と「啼く」の使い方の違い

一つ目の「鳴く」を使った分かりやすい例としては、「カエルがやかましく鳴く」「虫が鳴くと春の訪れを感じる」「猫がご飯を求めて鳴く」「朝早くからスズメが鳴いています」「夏になるとセミが一斉に鳴きはじめる」「犬が大きな声で鳴いた」などがあります。

二つ目の「啼く」を使った分かりやすい例としては、「月夜にひとりフクロウが啼いている」「子を失った猫が哀しげに啼いていた」「彼女の心を映すように遠くでカラスが啼いてる」「夜明け前にどこからともなく一羽の鳥が切なげに啼いていた」などがあります。

「鳴く」と「啼く」の使い分け方

「鳴く」と「啼く」はどちらも鳥、虫、獣などが声を出すことを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。

結論から言ってしまうと、「鳴く」は公用文で使えるのに対して、「啼く」は公用文で使えないというのが違いです。

ではなぜ「啼く」が公用文で使えないのかというと、常用漢字表に載っていない読み方だからです。

常用漢字とは、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安として、内閣告示の常用漢字表で示された日本語の漢字のことです。

常用漢字はあくまで漢字使用の目安であって制限ではないので、常用漢字以外は使えないというわけではありません。ただし、公用文や新聞などでは常用漢字を使用するのが好ましいとされています。

あくまで公用文だけなので、カジュアルな場面などにおいてはどちらを使用しても問題ないと覚えておきましょう。

また、「鳴く」が広く一般的に使われているのに対して、「啼く」は詩や小説などの情緒表現として使われることが多いのも違いの一つです。

「鳴く」と「啼く」の英語表記の違い

「鳴く」も「啼く」も英語にすると「bark」「yelp」「meow」「moo」「sing」となり、例えば上記の「犬が大きな声で鳴いた」を英語にすると「The dog barked loudly」となります。

「鳴く」の意味

「鳴く」とは

「鳴く」とは、鳥、虫、獣などが声を出すことを意味しています。

「鳴く」の使い方

「鳴く」を使った分かりやすい例としては、「朝早くから鳥が元気に鳴くので目が覚めました」「子猫がミャーミャーとかわいらしく鳴いています」「夜になるとカエルが一斉に鳴くので困っています」「秋になると虫たちが静かに鳴くので風情を感じさせる」などがあります。

「鳴く」は鳥、虫、獣などが声を出すことを意味する言葉です。また、限定的な場面で使う意味になりますが、麻雀で他の人の捨てた牌を碰や槓する際や左隣の人の捨てた牌を吃する表現として「鳴く」を使うこともあります。

「鳴く」は鳥、虫、獣などが声を出す場合に使う言葉なので、人に対しては使いません。もし、人に対して使いたいのであれば、「泣く」の方を使うようにしましょう。

「鳴く」は公用文でも使える

「鳴く」は常用漢字表に載っている言葉なので、公用文や新聞などの公的な場面でも使うことができます。したがって、類語である「啼く」とどちらを使うか迷った場合は、「鳴く」の方を使っておけば問題ありません。

「鳴く」の類語

「鳴く」の類語・類義語としては、獣などが大声で鳴くことを意味する「吠える」、小鳥がしきりに鳴くことを意味する「囀る」などがあります。

「啼く」の意味

「啼く」とは

「啼く」とは、鳥、虫、獣などが声を出すことを意味しています。

「啼く」の使い方

「啼く」を使った分かりやすい例としては、「子猫が母を求めて細く啼く声が静かな路地に響いていました」「月明かりの下でふくろうが低く啼くのが聞こえた」「鳥籠の中のインコが寂しそうに啼いている」「傷を負った小鳥が弱々しく啼いていた」などがあります。

「啼く」は鳥、虫、獣などが声を出すことを意味する言葉です。

「啼く」は鳥、虫、獣などが声を出す場合に使う言葉なので、人に対しては使いません。もし、人に対して使いたいのであれば、「泣く」の方を使うようにしましょう。

「啼く」の注意点

「啼く」を使う上で注意しなければならないのは、公用文で使えないという点です。なぜなら、「啼く」という読み方が常用漢字表に載っていないからです。

したがって、公用文で使用したいのであれば、常用漢字表に載っている、「鳴く」の方を使うのがいいでしょう。ただし、公用文以外においては好きな方を使っても問題ありません。

また、「啼く」は日常的には使わない表現ですが、詩や小説などで哀愁や詩的な響きを持たせたい場合など、情緒表現として使われることが多いと覚えておきましょう。

「啼く」の類語

「啼く」の類語・類義語としては、馬が声高く鳴くことを意味する「嘶く」があります。

「鳴く」の例文

1.田舎道を車で走っていると、牛が近くの牧場でモーモーと鳴いているのが聞こえてきます。
2.主人が帰ってくる音が聞こえると、愛犬が玄関先に駆けつけて鳴くのが日常です。
3.子猫が寂しそう鳴いていたので、近くに寄って餌をあげることにしました。
4.私が住んでいる場所は森に囲まれているので、雨上がりの夜はカエルの鳴く声がよく聞こえてきます。
5.セミの鳴く声が聞こえると、夏になったことを実感します。

この言葉がよく使われる場面としては、鳥、虫、獣などが声を出すことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「鳴く」は公用文でも使うことができる言葉です。

「啼く」の例文

1.森を歩いていたら、誰かを呼ぶように啼く鹿の声が聞こえてきました。
2.子犬が不安そうに啼く姿を見ると、抱きしめて撫でてあげたくなります。
3.野鳥の啼く声が聞こえると、夜が明けて朝になったことを実感します。
4.彼女がいなくなってからというもの、夜ごとに愛犬が玄関先で啼くようになりました。
5.月明かりのさす林の奥で、一羽の鳥が静かに啼いてるのを目撃しました。

この言葉がよく使われる場面としては、鳥、虫、獣などが声を出すことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「啼く」は公用文では使うことができない言葉です。

「鳴く」と「啼く」はどちらも鳥、虫、獣などが声を出すことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、公用文で使えるのが「鳴く」、公用文で使えないのが「啼く」と覚えておきましょう。

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