【俗人】と【俗物】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「俗人」(読み方:ぞくじん)と「俗物」(読み方:ぞくぶつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「俗人」と「俗物」という言葉は、どちらも「名誉や利益に固執する人」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




俗人と俗物の違い

俗人と俗物の意味の違い

俗人と俗物の違いを分かりやすく言うと、俗人とは名誉や利益に固執する人だけでなく世間一般の人も表し、俗物とは名誉や利益に固執する人のみを表すという違いです。

俗人と俗物の使い方の違い

一つ目の俗人を使った分かりやすい例としては、「私のような俗人には芸術の価値がわかりません」「高尚な議論は俗人に理解されにくい」「聖職者をやめ俗人となることを決心する」「俗人として信仰を保ち続ける」などがあります。

二つ目の俗物を使った分かりやすい例としては、「彼の俗物根性にうんざりしています」「部長は俗物的な考え方をする人です」「俗物根性丸出しでカネに執着する」「政治家のコメントに俗物性が見え隠れする」などがあります。

俗人と俗物の使い分け方

俗人と俗物という言葉は、どちらも「世間的な名誉や利益に心を奪われ、風流を理解できない人」という共通の意味を持っています。この意味で使用されている「私のような俗人」「俗物的な考え方」の俗人と俗物は、互いに置き換えて使っても意味は通じます。

さらに俗人という言葉は、「僧に対して、世間一般の人や世俗の人」の意味も持っています。この意味は「俗物」にはないので、「聖職者をやめ俗人となる」「俗人として信仰を保ち続ける」の俗人は、俗物という言葉に置き換えることはできません。

つまり、俗物よりも俗人の方が多くの意味を持ち、幅広く使えることができます。また、俗人はごく普通の見栄もある人間を指しますが、俗物は軽蔑の気持ちを込めて使うことが多い言葉です。これらが、俗人と俗物の明確な違いになります。

俗人と俗物の英語表記の違い

俗人を英語にすると「layman」「worldly person」となり、例えば上記の「私のような俗人」を英語にすると「a layman like me」となります。一方、俗物を英語にすると「vulgar person」「philistine」となり、例えば上記の「俗物根性」を英語にすると「philistinism」となります。

俗人の意味

俗人とは

俗人とは、世俗の名利などにとらわれている人、風流を解さない教養の低い人を意味しています。

その他にも、「僧に対して、世間一般の人や世俗の人」の意味も持っています。

俗人の読み方

俗人の読み方は「ぞくじん」です。同じ読み方をする熟語に「属人」や「俗塵」がありますが、意味が異なるので書き間違いに注意しましょう。

俗人の使い方

「妻は俗人的な要求ばかりしてくる」「世にはびこる俗人による悪行が後を絶たない」「俗人は高尚なことに関心を示さないものです」などの文中で使われている俗人は、「世俗の名利などにとらわれている人」の意味で使われています。

一方、「僧侶か俗人か属性を明確にする」「出家した者が再び俗人に戻る」「僧侶の服装を俗人と同じようにしていく」などの文中で使われている俗人は、「僧に対して世間一般の人」の意味で使われています。

俗人の「俗」は訓読みで「なわらし」「いやしい」と読み、世間のしきたりや品位に欠けていて下品なことを表します。俗人とは、利益や評判しか考えないようなくだらない人物や、風雅の心がわからない人を意味します。また、僧侶などの聖職者に対して、世間一般の人の意味で用いられる言葉です。

「芝の増上寺の上棟式には大僧小僧に大僧正、俗人も続々加わり上々だった」は早口言葉

俗人を用いた早口言葉には、「芝の増上寺の上棟式には大僧小僧に大僧正、俗人も続々加わり上々だった」があります。ここで使用されている「俗人」は、僧に対する世間一般の人を意味します。

「俗人的な仕事」は誤用

俗人を用いた誤った表現には「俗人的な仕事」があります。正しくは「属人的な仕事」であり、業務が担当のものではなく、特定の人にしか分からなくなっている状態の仕事を表します。

俗人の対義語

俗人の対義語・反対語としては、風雅を解する人や風流な人を意味する「雅人」などがあります。

俗人の類語

俗人の類語・類義語としては、仏の道を悟らないことや煩悩にとらわれている人を意味する「凡俗」、取るに足りない種々雑多な人々を意味する「有象無象」、軽薄な流行に左右されやすい人を意味する「ミーハー」などがあります。

俗物の意味

俗物とは

俗物とは、世間的な名誉や利益などに心を奪われている、つまらない人物、俗人を意味しています。

俗物の使い方

俗物を使った分かりやすい例としては、「俗物的な人の価値観に付いて行けません」「彼の俗物根性を軽蔑している」「俗物が多い世間に嫌気がさす」「俗物の間に伍することも潔しとしなかった」などがあります。

その他にも、「俗物とはどんな人のことですか」「虚栄と俗物根性の塊のような人だな」「あの英語教師は俗物的言動が多い」「山月記の俗物性について論じる」「そのような俗物根性は嫌いです」などがあります。

俗物とは、いかにも俗人らしい人物のことであり、名利にばかりとらわれている、くだらない人物を意味します。金銭や世間の名声を大事にして、芸術や恋愛の情趣を解さない人のことであり、マイナスイメージで使用されることが多い言葉です。

「俗物根性」の意味

俗物を用いた日本語には、「俗物根性」があります。俗物根性とは、利益や名誉など世俗的な価値ばかりを追い求める性格や気質を意味する四字熟語です。「スノビズム」とも言い、見栄っ張りや拝金主義などを軽蔑するニュアンスを伴う表現です。

「俗物の間に伍する」は有名なフレーズ

俗物を用いた有名なフレーズには「俗物の間に伍する」(読み方:ぞくぶつのあいだにごする)があります。これは、中島敦の短編小説「山月記」に出てくる表現で、俗物的なつまらない人間と同列に並ぶことを意味しています。

俗物の対義語

俗物の対義語・反対語としては、風流を好む人や優雅な趣味の豊かな人を意味する「粋人」などがあります。

俗物の類語

俗物の類語・類義語としては、知識が乏しく教養の低い人たちを意味する「俗輩」、煩悩ぼんのうにとらわれている人を意味する「凡夫」、品性が下劣であることや下品である人を意味する「下衆」などがあります。

俗人の例文

1.真の文化人の考え方は、私のような俗人には理解しがたいものがあります。
2.政界は、名声と金儲けの好きな俗人ばかりの集まりだと思いませんか。
3.私は俗人ですから立派な生き方はできませんが、人に対して恥ずかしくない人生を送りたいです。
4.早口言葉の「芝の増上寺の上棟式には大僧小僧に大僧正、俗人も続々加わり上々だった」を上手に言えますか。
5.僧侶が戒律を破ったりして、処罰として強制的に俗人に戻ることもあります。
6.娘は藝大に行ったのですが私たち夫婦は俗人で芸術のことはさっぱりわからないんですよ。
7.俗人の私には、高尚な思想は到底理解できないのだろうか。それでも、私は信仰心を捨てずに、俗人としてできる限りの道を歩んでいきたい。
8.俗人の視点から見ると、富と名声は生活の質を向上させるための手段に過ぎないと考えます。
9.俗人の立場からすると、宗教的な信念は個人の選択であり、他人に強制するべきではありません。
10.上司や同僚の駆け引きや派閥争いに巻き込まれ、心が疲れていく。俗人の私には、出世競争を勝ち抜くことはできないのだろうか。

この言葉がよく使われる場面としては、世俗の営利栄誉にはしって風流や学問を解しない人、僧に対して世間一般の人を表現したい時などが挙げられます。

例文1から例文3の俗人は、利益や評判しか考えずに風流や学問を解しない人の意味で用いられています。例文4や例文5の俗人は、僧侶に対する世俗の人を意味します。

俗物の例文

1.クラシック音楽を嗜む先輩は近寄りがたい存在でしたが、話してみると意外と俗物的な人でした。
2.ゴシップ好きの友人は、俗物根性丸出しのワイドショーばかり見ている。
3.世間で暮らしていく限り、どんな人間も俗物であることに抗うことはできないだろう。
4.英語を身に付けようと思ったのは、就職に有利という俗物的な理由からでした。
5.旧家に生れた母は、貧しくても俗物の間に伍することはありませんでした。
6.母は以前は花や本が好きな風流な人だったが、今は荒っぽい口をきく俗物っぽい人に変わってしまって心配している。
7.母親は俗物根性丸出しといった感じで、その芸術的意義よりも、いくら儲かったのかということにしか興味がありません。
8.彼は周りの俗物的な価値観に振り回されず、自分の心の声に耳を傾け、それに従って行動している。
9.私は俗物的なライフスタイルに疑問を持ち、より持続可能な生活を目指して行動を起こし始めた。
10.俗物のように富を蓄えることに興味がない彼は、知識と経験を積むことに生きがいを感じていた。

この言葉がよく使われる場面としては、世俗の物や人、無学な人や無風流な人、金銭や世間の名声を第一として芸術や恋愛の情趣を解さない人を表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、俗物の慣用的な言い回し、慣用的な表現には「俗物的」「俗物根性」「俗物の間に伍する」などがあります。例文1や例文4にある「俗物的」とは、風流を解さず、物欲や名誉などの世俗的な欲望から離れることのできない様子を意味します。

俗人と俗物という言葉は、どちらも「世間的な名声や利益に固執し、風流を理解できない人」を表します。さらに「俗人」という言葉には、「僧に対して、一般の人」の意味もあることを覚えておきましょう。

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