似た意味を持つ「職務怠慢」(読み方:しょくむたいまん)と「職務放棄」(読み方:しょくむほうき)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「職務怠慢」と「職務放棄」という言葉は、どちらも「業務遂行が不適切であること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
職務怠慢と職務放棄の違い
職務怠慢と職務放棄の意味の違い
職務怠慢と職務放棄の違いを分かりやすく言うと、職務怠慢とは真面目に仕事に取り組まないさまを表し、職務放棄とは全く仕事に取り組まないさまを表すという違いです。
職務怠慢と職務放棄の使い方の違い
一つ目の職務怠慢を使った分かりやすい例としては、「彼の勤務態度は意図的な職務怠慢だと判断された」「勤務中に長時間スマホを見る行為は職務怠慢だろう」「職務怠慢の問題社員を解雇することにした」などがあります。
二つ目の職務放棄を使った分かりやすい例としては、「職務放棄をした従業員の処分を検討中です」「職務放棄はどんな罪になりますか」「職務放棄する同僚は給料ドロボーである」「職務放棄の職員を懲戒処分にした」などがあります。
職務怠慢と職務放棄の使い分け方
職務怠慢と職務放棄という言葉は、どちらも労働者の業務遂行が不適切であることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
職務怠慢とは、自分が受け持っている仕事の務めをおろそかにすることを意味します。自分の仕事をしているものの十分ではなく、手抜き仕事をしていたり不真面目な態度で行っていたりすることを表す言葉です。
職務放棄とは、自分が受け持っている仕事を放り出していることを意味します。無責任に仕事を放っておいたり、やるべき仕事から逃げ出している状態です。自分の職務に着手しようとしない姿勢を指す言葉です。
つまり、職務怠慢とは真面目に仕事に取り組まないさまであることに対し、職務放棄とは全く仕事に取り組まないさまを意味します。二つの言葉を比べると、職務怠慢よりも職務放棄の方が、悪質でネガティブなイメージを伴う言葉だと言えるでしょう。
職務怠慢と職務放棄の英語表記の違い
職務怠慢を英語にすると「dereliction of duty」「neglect of duty」「failure in duty」となり、例えば上記の「意図的な職務怠慢」を英語にすると「willful neglect of duty」となります。
一方、職務放棄を英語にすると「job abandonment」「abandonment of office」となり、例えば上記の「職務放棄をした従業員」を英語にすると「employee who have abandoned his duties」となります。
職務怠慢の意味
職務怠慢とは
職務怠慢とは、自分が受け持っている仕事をおろそかにすることを意味しています。
職務怠慢の読み方
職務怠慢の読み方は「しょくむたいまん」です。誤って「しょくむだいまん」「しょくむだいぱん」などと読まないようにしましょう。
職務怠慢の使い方
職務怠慢を使った分かりやすい例としては、「職務怠慢が慢性化している社員がいます」「パワハラ上司に職務怠慢と言われた」「職務怠慢する社員と面談を行う」「職務怠慢で公務員が懲戒免職になることはありますか」などがあります。
その他にも、「遅刻は職務怠慢になりますか」「外国では職務怠慢は法的な罪になります」「職務怠慢の行為を繰り返す社員をクビにする」「いい加減な授業をする英語教師の職務怠慢さに呆れています」などがあります。
職務怠慢は「職務」と「怠慢」から成る言葉です。「職務」はその人が担当している仕事や役目を表し、「怠慢」は怠けて仕事やつとめをおろそかにすることを表します。職務怠慢とは、労働者が職業上の勤めを履行しないことを意味します。「職務懈怠」(読み方:しょくむけだい)とも言います。
職務怠慢の具体的な例としては、理由のない遅刻や早退、頻繁な職場離脱、業務命令違反などが挙げられます。また、勤務中に私用のメールやSNSをしたり、会社のパソコンで業務とは関係ない動画を観たり、あるいは仕事の手抜きなども職務怠慢と言るでしょう。
職務怠慢の対義語
職務怠慢の対義語・反対語としては、仕事や勉強などに一生懸命に励むことを意味する「勤勉」などがあります。
職務怠慢の類語
職務怠慢の類語・類義語としては、労働の遂行が不適切なことを意味する「職務懈怠」(読み方:しょくむけだい)、労働者が約束した仕事をしないことを意味する「職責不履行」などがあります。
職務放棄の意味
職務放棄とは
職務放棄とは、自分が受け持っている仕事をかえりみないこと、放り出すことを意味しています。
職務放棄の読み方
職務放棄の読み方は「しょくむほうき」です。誤って「しょくむほうす」などと読まないようにしましょう。
職務放棄の使い方
職務放棄を使った分かりやすい例としては、「仕事を振らないのは上司としての職務放棄ではないか」「英語の先生は職務放棄している」「公務員の職務放棄を訴えたい」「職務放棄を理由に解雇することはできますか」などがあります。
その他にも、「職務放棄で罪に問われることはありますか」「職務放棄は重い処分が下されるだろう」「課長が職務放棄して家に帰るなんて信じられません」「社員の職務放棄について法律事務所に相談する」などがあります。
職務放棄の「放棄」は、捨て去ること、投げ捨ててかえりみないことを表します。各人が担う任務を表す「職務」と結びつき、職務放棄とは、仕事をせず放棄していること、自分が受け持っている任務を放り出すことを意味します。
職務放棄がニュースとなった具体例としては、国会議員が国会を欠席し続ける、社会保険庁が国民年金保険料の払い込みを不正に免除する、ゴルフのキャディがプレイヤーと口論となり途中からゴルフバッグを担ぐことを放棄したなどがあります。
職務放棄の対義語
職務放棄の対義語・反対語としては、仕事や学業などにまじめに励むことを意味する「精勤」などがあります。
職務放棄の類語
職務放棄の類語・類義語としては、契約によって約束した義務を果たさないことを意味する「債務不履行」、自らに対する責任を避けようとする言動や行為のことを意味する「責任放棄」などがあります。
職務怠慢の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分の職務を怠ることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、職務怠慢という言葉は、ビジネスシーンで用いられることがほとんどです。
職務放棄の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分の仕事を投げ捨てて顧みないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、職務放棄という言葉は、おもにビジネスシーンで用いられています。
職務怠慢と職務放棄という言葉は、どちらも「労働者の業務遂行が不適切であること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、手を抜いて仕事をすることを表現したい時は「職務怠慢」を、仕事をしないことを表現したい時は「職務放棄」を使うようにしましょう。