似た意味を持つ「スケープゴート」と「サクリファイス」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「スケープゴート」と「サクリファイス」という言葉は、「いけにえ」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
スケープゴートとサクリファイスの違い
スケープゴートとサクリファイスの意味の違い
スケープゴートとサクリファイスの違いを分かりやすく言うと、スケープゴートは責任を転嫁された犠牲を表現する時に使い、サクリファイスは尊い犠牲を表現する時に使うという違いです。
スケープゴートとサクリファイスの使い方の違い
一つ目のスケープゴートを使った分かりやすい例としては、「冤罪だと分かった今誰かがスケープゴートを作り上げたことになる」「スケープゴートとして扱われるようになってから出勤したくなくなった」などがあります。
二つ目のサクリファイスを使った分かりやすい例としては、「サクリファイスヒットがなければ敗退していたかもしれない」「相手にとってのサクリファイスを取ってしまったが故に自分の思う盤面にならなかった」などがあります。
スケープゴートとサクリファイスの使い分け方
スケープゴートとサクリファイスはどちらも、いけにえや犠牲を意味する言葉ですが、使い方が若干異なります。
スケープゴートは、他者の罪の身代わりとなって犠牲となった人を指す言葉であり、純粋な利益のための犠牲とは大きく異なります。また、他者によって仕立て上げられたという特徴もあります。
一方のサクリファイスは、重大なことのために犠牲となる人を指す言葉であり、神に対する捧げものなど尊い犠牲に対して使われています。
つまり、スケープゴートは責任を転嫁された犠牲となった人を、サクリファイスは何かのために犠牲となる人を指すという違いがあります。また、後者は前者と異なり、自ら犠牲となる人を指すことが多くあります。
スケープゴートとサクリファイスの英語表記の違い
スケープゴートを英語にすると「scapegoat」となり、例えば上記の「スケープゴートにされた」を英語にすると「been treated as the scapegoat」となります。
一方、サクリファイスを英語にすると「sacrifice」となり、例えば上記の「サクリファイスヒット」を英語にすると「sacrifice hit」となります。
スケープゴートの意味
スケープゴートとは
スケープゴートとは、他者の罪の身代わりとなる人を意味しています。
スケープゴートの使い方
スケープゴートを使った分かりやすい例としては、「かつて第二次世界大戦でもスケープゴートにされた人々がいる」「スケープゴートを作り出してまで非難から逃れる態度が気に入らない」「スケープゴートになんてなるものか」などがあります。
その他にも、「ジャンヌ=ダルクは歴史上のスケープゴートとして有名だ」「スケープゴートは純粋な犠牲とは若干異なる」「スケープゴートがいなくなった場合別の人に矛先が向けられてしまうと恐れている」などがあります。
スケープゴートは英語で「scapegoat」と表記され、「贖罪のヤギ」「他人の罪を負わされる人」といった意味を持ちます。ヘブライ聖書にて登場する、人々の苦難や罪を負わせて荒野に放されたヤギに由来した言葉です。
現在では、他の対象に不満などを転嫁された人や団体を指す言葉として使われ、心理学用語では「投影」と呼ばれる心の働きを表します。
また、政策などに反したり不利益をもたらすような集団であったり、社会的地位の低い人々をスケープゴートとして扱うことで政治家たちが支持を得るといった方法など、政治的にスケープゴートが作り上げられていた事案もあります。
スケープゴートの対義語
スケープゴートの対義語・反対語としては、議論や非難などから上手く逃れることを意味する「矛先をかわす」、無実の罪を背負わせることを意味する「濡れ衣を着せる」があります。
スケープゴートの類語
スケープゴートの類語・類義語としては、本人と偽って別人を使うことを意味する「替え玉」、本人に代わって償うことを意味する「代償」、簡単に人の犠牲になるものを意味する「好餌」(読み方:こうじ)などがあります。
サクリファイスの意味
サクリファイスとは
サクリファイスとは、犠牲やいけにえを意味しています。
サクリファイスの使い方
サクリファイスを使った分かりやすい例としては、「サクリファイスヒットで進塁させたことで相手を追い込むことに成功したと言える」「サクリファイスをすることで今後が楽になる盤面になった」「サクリファイスはゲームの技名で見た」などがあります。
その他にも、「にわかのためセルフサクリファイスというカードを知らない」「友人のためのサクリファイスは聖書に愛と捉えられている」「サクリファイスと名のついた映像作品はいくつかあるらしい」などがあります。
サクリファイスは英語で「sacrifice」と表記され、「神にいけにえを捧げること」「犠牲」といった意味を持ちます。日本でも同じ意味で使われますが、映画や小説などの作品名に用いられたり、ゲームやスポーツ用語として使われることがほとんどです。
ゲームなどでは、何かを犠牲にして利益を得ることを表す言葉として使われ、例えばチェスの用語のサクリファイスは、相手に自分の駒を取らせることで有利状況を作り上げる戦法や、その取らせる捨て駒を指す言葉として使われています。
「サクリファイスヒット」の意味
上記例文の「サクリファイスヒット」とは、打者がアウトとなろうとも出塁しているランナーを進塁させるために打球を打つことを指す野球用語で、「犠牲打」「犠牲バント」とも呼ばれています。
「セルフサクリファイス」の意味
また、上記例文の「セルフサクリファイス」とは、自己犠牲を意味する言葉です。日常生活やビジネスシーンなどで、英語表現のまま使われることはほとんどありません。カードゲーム『遊戯王』に登場するため、ユーザーに用いられていることが多くあります。
サクリファイスの対義語
サクリファイスの対義語・反対語としては、他を気にすることなく自分勝手に振る舞うことを意味する「わがまま」があります。
サクリファイスの類語
サクリファイスの類語・類義語としては、あることのために犠牲となった人を意味する「人柱」、他人やある物事のために自分の身を犠牲にして尽くすことを意味する「献身」などがあります。
スケープゴートの例文
この言葉がよく使われる場面としては、他者の罪の身代わりとなる人を意味する時などが挙げられます。
どの例文のスケープゴートも、他者に悪いように使われる場合に使われ、責任転嫁などの言葉に置き換えて使うことができます。
サクリファイスの例文
この言葉がよく使われる場面としては、犠牲やいけにえを意味する時などが挙げられます。
例文1の「サクリファイスフライ」とは、打者が自分を犠牲にして出塁している別のランナーを進めて得点につなげる打法を指す言葉で、「犠牲フライ」とも呼ばれています。
スケープゴートとサクリファイスは、どちらも「いけにえ」を表します。どちらを使うか迷った場合は、責任を転嫁された犠牲を表す場合は「スケープゴート」を、尊い犠牲を表す場合は「サクリファイス」を使うと覚えておけば間違いありません。