似た意味を持つ「御宅」(読み方:おたく)と「拙宅」(読み方:せったく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「御宅」と「拙宅」という言葉は、どちらも「人の住む家、住居」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
御宅と拙宅の違い
御宅と拙宅の意味の違い
御宅と拙宅の違いを分かりやすく言うと、御宅とは自宅以外の家を敬って表し、拙宅とは自宅をへりくだって表すという違いです。
御宅と拙宅の使い方の違い
一つ目の御宅を使った分かりやすい例としては、「明日の夕方、御宅に伺ってもよろしいでしょうか」「御宅のお勤め先はどちらですか」「御宅のビジネスモデルに関心があります」「この小説を腐女子寄り御宅視点でおすすめします」などがあります。
二つ目の拙宅を使った分かりやすい例としては、「拙宅の設備はかなり古くなっています」「妻は拙宅で英語教室を開いています」「拙宅のネット環境を相談する」「拙宅のマンションは置き配が禁止されています」などがあります。
御宅と拙宅の使い分け方
御宅と拙宅という言葉は、どちらも人の住む家や住宅を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
御宅とは、「御宅にお邪魔します」「恩師の御宅」のような使い方で、相手や第三者の住居あるいは家庭を意味する敬語表現です。また、相手の夫や相手が属する会社を敬って表することもあります。近年では、特定の分野にのめりこんで過度に熱中している人の意味も持つ言葉です。
拙宅とは、「拙宅のマンション」「拙宅にお招きする」のような使い方で、自分の家を意味する謙譲表現です。自分の家をへりくだっていうことで、相手への敬意を表現することができます。目上の人に使用する言葉であり、目下の人や同等の友人に対して使うことは適切ではありません。
つまり、御宅とは自宅以外の家を敬って表現する言葉であり、拙宅とは自宅をへりくだって表現する言葉です。二つの言葉は、指し示す対象や表現方法において、相反する意味を持つ言葉だと言えるでしょう。
御宅と拙宅の英語表記の違い
御宅を英語にすると「your home」「your house」「fanatic」となり、例えば上記の「御宅に伺う」を英語にすると「visit your home」となります。
一方、拙宅を英語にすると「my home」「my house」となり、例えば上記の「拙宅の設備」を英語にすると「accommodations of my house」となります。
御宅の意味
御宅とは
御宅とは、相手または第三者を敬って、その家・住居をいう語を意味しています。
その他にも、「相手の夫を敬っていう語」「相手の属している会社・団体などの敬称」「ある事に過度に熱中し、詳しい知識をもっている人」の意味も持っています。
御宅の使い方
「恩師の御宅を訪問する」「御宅の苗字は珍しいですね」の文中で使われている御宅は「相手や第三者を敬って、その家をいう語」の意味で、「子煩悩な御宅が羨ましいです」の文中で使われている御宅は「相手の夫を敬っていう語」の意味で使われています。
一方、「御宅の商品の売れ行きはいかがですか」の文中で使われている御宅は「相手の属している会社などの敬称」の意味で、「秋葉原は御宅が集まる街である」「中国の御宅族はレベルが高い」の文中で使われている御宅は「ある事に過度に熱中している人」の意味で使われています。
御宅とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているので文脈により意味をとらえる必要があります。御宅の「御」は敬意や丁寧さを表現しようとする気持ちを表し、「宅」は人が住む家や屋敷を表す漢字です。
「ある事に過度に熱中している人」を意味する御宅は、1980年代半ばから使われ始めた言葉です。語源はアニメ愛好家たちが「あなた」という意味で互いを「おたく」と呼び合うことに由来しますが、多くは「オタク」「ヲタク」と表記されています。
「御宅を並べる」「御宅はいい」は誤用
御宅を用いた誤った使い方には「御宅を並べる」「御宅はいい」があります。正しくは「御託を並べる」「御託はいい」であり、御託とは自分勝手な理屈や言い訳などをくどくどと言いたてることを意味します。
御宅の対義語
御宅の対義語・反対語としては、自宅をへりくだっていう語を意味する「拙家」などがあります。
御宅の類語
御宅の類語・類義語としては、相手を敬ってその家や家族をいう語を意味する「貴家」、他人を敬ってその家をいう語を意味する「尊宅」、相手の会社を敬っていう語を意味する「貴社」、一つの事に熱中する人を意味する「虫」、ある物事に熱中している人を意味する「マニア」などがあります。
拙宅の意味
拙宅とは
拙宅とは、自分の家をへりくだっていう語を意味しています。
拙宅の読み方
拙宅の読み方は「せったく」です。誤って「せたく」「せつたく」などと読まないようにしましょう。
拙宅の使い方
拙宅を使った分かりやすい例としては、「拙宅の観葉植物をインスタで紹介しています」「拙宅は尊宅と違って敷地が狭いです」「拙宅には女性しか住んでいません」「拙宅がある地区の反対側は再開発が進んでいる」などがあります。
その他にも、「拙宅にてお祝いの席を設けさせていただきます」「拙宅の換気システムは同時給排できます」「拙宅にはオタクが住んでいます」「拙宅の玄関にクリスマスのイルミネーションを飾りました」などがあります。
拙宅の「拙」は、自分や自分に関することを謙遜していう語であり、「拙者」のような使い方でをする漢字です。住居や屋敷を表す「宅」と組み合わさり、拙宅とは自宅のことをへりくだって表現する言葉です。
拙宅という言葉は、自分の家を表す謙譲語をして使用されます。そのため、拙宅という表現を使う相手は、上司やお世話になった人など自分より目上の人や立場が高い人です。また、拙宅は男性や女性の区別なく使用できる言葉です。
拙宅の対義語
拙宅の対義語・反対語としては、相手または第三者を敬ってその家や住居をいう語を意味する「御宅」などがあります。
拙宅の類語
拙宅の類語・類義語としては、自分の生活の本拠となっている家を意味する「自宅」、私的な生活のための個人の邸宅を意味する「私邸」、自分の家を意味する「自家」、自分の家をへりくだっていう語を意味する「弊宅」、自分の家をへりくだっていう語を意味する「寓居」などがあります。
御宅の例文
この言葉がよく使われる場面としては、相手や第三者の家を敬意を込めていう語、相手の夫を敬っていう語、相手の属している会社の敬称、ある趣味などに凝っていて他の物事に無関心な若者を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「御宅様」とは、「あなた様」と同じ意味で使用される言葉です。特に関西地方で用いられる丁寧な表現です。
拙宅の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分の家を謙遜していう語を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、拙宅という言葉は、自分の家を謙遜して表現するときに用いられます。おもに取引先や上司、目上の人に対して使用される言葉です。
御宅と拙宅という言葉は、どちらも「人の住む家」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、自宅以外の家を敬って表現したい時は「御宅」を、自宅をへりくだって表現したい時は「拙宅」を使うようにしましょう。