似た読み方を持つ「王道」(読み方:おうどう)と「覇道」(読み方:はどう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「王道」と「覇道」という言葉は、読み方は似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
王道と覇道の違い
王道と覇道の意味の違い
王道と覇道の違いを分かりやすく言うと、王道とは仁徳に基づいた政治を行うこと、覇道とは武力と権力を使って政治を行うことという違いです。
王道と覇道の使い方の違い
一つ目の王道を使った分かりやすい例としては、「人生は王道を歩むことが大事だ」「王道的なコーデには興味がある」「お弁当の王道のおかずと言えば唐揚げだ」「王道政治の実現を計ろうとしている」などがあります。
二つ目の覇道を使った分かりやすい例としては、「覇道政治は認めたくない」「覇道経営は失敗しやすい」「覇道主義であってはなりません」「覇道を突き進む」などがあります。
王道と覇道の由来
王道と覇道は読み方は似ているのですが対義語・反対語になっています。王道と覇道の由来は孟子(読み方:もうし)が提唱していた主張が起源と言われています。王道は仁徳に基づいて政治を行い、覇道は武力と権力を行使して政治を行うということです。
また、「王道政治」と「覇道政治」とも言われています。孟子はこの世は王道であるべきだと「王道政治」を主張していたため、覇道である「覇道政治」とは対立していました。
現代でも覇道はあまり意味が変わらず使われているのですが、王道は「定番」「定石」「正攻法」の意味で使われるのが一般的になっているため、対義語・反対語の意味は薄れています。
王道はビジネスシーンだけではなく、日常生活など幅広い範囲で使われています。そのため、とても馴染みのある言葉なはずです。反対に、覇道はビジネスシーンで使われることが多い言葉になります。
王道と覇道の英語表記の違い
王道を英語にすると「Royal road」となり、例えば上記の「王道を歩む」を英語にすると「Walk the royal road」となります。一方、覇道を英語にすると「Domination」となり、例えば上記の「覇道政治」を英語にすると「Domination politics」となります。
王道の意味
王道とは
王道とは、仁徳に基づいた政治のことを意味しています。
その他にも、安易な方法や、物事が進むべき正当な道という意味も持っています。
表現方法は「王道を行く」「王道を歩む」「王道作品」
「王道を行く」「王道を歩む」「王道作品」などが、王道を使った一般的な表現方法です。
王道の使い方
「王道政治を行った国もある」「王道政治の思想を掲げその実現を目指した」などの文中で使われている王道は、「仁徳に基づいた政治のこと」の意味で使われています。
一方、「王道バトル漫画は読んでいて面白い」「夕飯の王道といえばカレーライスだ」「王道的手法が一番です」「学問に王道はないのである」などの文中で使われている王道は、「安易な方法や、物事が進むべき正当な道」の意味で使われています。
王道の由来
王道の由来は、中国の儒教の理念から来ています。王は仁徳による統治をすべきだと孟子が主張していました。この主張は王道政治とも言われています。しかし、現代においてはこの意味で王道が使われることはあまりありません。
現代においては、「正攻法」「定石」「定番」などの意味で使われるのが一般的です。また、楽な手段としての意味でも使われています。楽な手段の意味は、古代ギリシャのユークリッドが王に向かって言った「学問に王道はなし」という言葉が由来になったと言われています。
四字熟語「王道楽土」の意味
王道を使った四字熟語としては、「王道楽土」(読み方:おうどうらくど)があります。王道楽土とは、王道によって政治が行われている理想的で平和な土地のことを意味しています。王道楽土を使った分かりやすい例としては、「国民は王道楽土を夢見ている」があります。
王道の類語
王道の類語・類義語としては、物事をする時に、最も良いとされる方法を意味する「定石」(読み方:じょうせき)、公に決まっている規則を意味する「定法」(読み方:じょうほう)、正統的であることを意味する「オーソドックス」などがあります。
王道の王の字を使った別の言葉としては、王者の仁徳により万民を感化し世の中を良くすることを意味する「王化」、国王が国を統治する事業を意味する「王業」、王が主権を持つ政治制度を意味する「王制」、王が自ら政治を行うことを意味する「王政」などがあります。
その他にも、帝王が治めている時代を意味する「王代」、国王を支持する党派を意味する「王党」、国王の定めた法令のことを意味する「王法」、王または王族が立てた施設を意味する「王立」などがあります。
覇道の意味
覇道とは
覇道とは、武力や権力を使って統治することを意味しています。
表現方法は「覇道を行く」
「覇道を行く」が、覇道を使った一般的な表現方法です。
覇道の使い方
覇道を使った分かりやすい例としては、「覇道政治は否定されるべきだ」「覇道経営の企業は衰退の道を辿り始める」「覇道主義を批判している」「覇道を行くしかない」などがあります。
覇道の由来
覇道の由来は孟子によって提唱された言葉になります。孟子は武力や権力によって統治する覇道政治は反対派でした。覇道は王道の対義語・反対語になっています。
覇道という言葉は現代でも使われています。特に、ビジネスシーンや経営者に対して使う言葉になります。上記の例の「覇道経営の企業は衰退の道を辿り始める」のように、権力を振りかざしている人に対して悪い意味で使います。また、漫画やゲームなどにもよく登場する言葉です。
四字熟語「横行覇道」の意味
覇道を使った四字熟語としては、「横行覇道」(読み方:おうこうはどう)があります。横行覇道とは、権力や武力を使って横暴な振る舞いをすることを意味しています。横行覇道を使った分かりやすい例としては、「横行覇道な振る舞いが社長に見つかり地方に左遷された」があります。
覇道の類語
覇道の覇の字を使った別の言葉としては、武力で統御して天下を治める者を意味する「覇王」、人の上に立とうとする強い意志を意味する「覇気」、力を持って天下を支配することを意味する「覇業」、力を持ってする支配力を意味する「覇権」などがあります。
その他にも、徳に頼らず覇道によって天下を治める者を意味する「覇者」、覇者が政治を行う所を意味する「覇府」などがあります。
王道の例文
この言葉がよく使われる場面としては、正攻法や定番であることを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4のように現代では正攻法や定番であることの意味で使うのが一般的です。例文5のように中国でこの言葉が出来た頃の、仁徳に基づいた政治の意味で使うことはあまりありません。
覇道の例文
この言葉がよく使われる場面としては、武力や権力を使って統治することを表現したい時などが挙げられます。
例文1のようにビジネスシーンで経営者や目上の人の横暴に対して使うのが一般的です。また、例文2や例文5のように政治の場面で使われることもあります。覇道は中国が由来の言葉なのですが、現代になっても意味はあまり変わらず使われています。
王道と覇道は作られた当初は対義語・反対語だったのですが、現代において王道の一般的な意味が変わっているのでそこは注意してください。