【断念】と【中止】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「断念」(読み方:だんねん)と「中止」(読み方:ちゅうし)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「断念」と「中止」という言葉は、どちらも「やめること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




断念と中止の違い

断念と中止の意味の違い

断念と中止の違いを分かりやすく言うと、断念とは希望していたことをやめることを表し、中止とは進行または計画していることをやめることを表すという違いです。

断念と中止の使い方の違い

一つ目の断念を使った分かりやすい例としては、「資金不足で新規の事業計画を断念する」「家庭の事情で進学を断念せざるを得ない」「残念ながら断念することにしました」「開催は断念するしかないだろう」などがあります。

二つ目の中止を使った分かりやすい例としては、「旅行を中止する場合のキャンセル料を確認する」「ライブイベントの中止が発表された」「開催中止の理由は何ですか」「カードの発売を一時中止しております」などがあります。

断念と中止の使い分け方

断念と中止という言葉は、どちらも物事をやめることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。

断念とは、自分の希望していたことや計画していたことが無理だと悟り、あきらめてやめることを意味します。実現が困難であるという判断のもと、きっぱりとあきらめる様子を表す言葉です。上記例文にある「断念せざるを得ない」は、あきらめるしかない気持ちを表現する言い回しです。

中止とは、進行していることや計画していることを途中でやめることを意味します。物事のある状態がとぎれて、完全に終わっていないところでやめることを表す言葉です。しばらくの間、一時的に物事を途中で止めることを「一時中止」と言います。

つまり、断念とは希望していたことをやめることであり、中止とは進行または計画していることをやめることを意味します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使い分けるようにしましょう。

断念と中止の英語表記の違い

断念を英語にすると「abandonment」「giving up」「resignation」となり、例えば上記の「計画を断念する」を英語にすると「give up a plan 」となります。

一方、中止を英語にすると「stop」「discontinuance」「suspension」となり、例えば上記の「旅行を中止する」を英語にすると「cancel a trip」となります。

断念の意味

断念とは

断念とは、自分の希望などを、きっぱりとあきらめることを意味しています。

断念の使い方

断念を使った分かりやすい例としては、「高額の治療は断念するしかなかった」「敵対的買収は断念することにしました」「建設を断念する方針を固めた」「今回は断念させていただきます」「単位が足りず教師になることは断念した」などがあります。

その他にも、「断念せざるを得ない状況である」「イラストレーターになる夢を断念する」「彼はまだ断念するとは言っていない」「家族の反対にあい英語留学を断念した」「パラリンピックの招致を断念する方針だ」などがあります。

断念の「断」は訓読みで「たつ」と読み、途切れることや物事をやめることを表し、「念」は思い詰めた考えや気持ちを表します。断念とは、自分の希望や自分がもくろんでいたことを実現不可能であるとあきらめることを意味します。

「断念させていただきます」の意味

上記例文にある「断念させていただきます」は、ビジネスシーンで用いられる言い回しで、何かをあきらめることを意味します。事業が継続できなかったり、契約を断わったりする際に使用する敬語表現です。

断念の対義語

断念の対義語・反対語としては、執着してそこから動かない心を意味する「執念」などがあります。

断念の類語

断念の類語・類義語としては、あきらめの気持ちを意味する「諦念」、あきらめて状況を受け入れることを意味する「観念」、手に負えずに投げ出すことを意味する「降参」、解決する手段が全くないことを意味する「お手あげ」、あきらめてやめることを意味する「ギブアップ」などがあります。

中止の意味

中止とは

中止とは、中途でやめること、計画を取りやめにすることを意味しています。

中止の使い方

中止を使った分かりやすい例としては、「運動会は雨で中止となりました」「研修会の中止を決定しました」「大雪のため英語の試験を中止します」「本日の陸上教室は中止です」「開催中止のお知らせを掲示する」などがあります。

その他にも、「駐車場は来週まで利用中止とします」「本日のビジネスセミナーは中止します」「中止が決まり次第ホームページで発表します」「使用開始や中止には手続きが必要です」「雨天中止のポスターにイラストを加える」などがあります。

中止とは、計画していたことや進行していたことを途中でやめて、それ以上行わないことを意味します。中止の「中」は一定の範囲のまん中、「止」は活動をやめることや予定していたことをしないことにすることを表す漢字です。

「中止犯」の意味

中止を用いた日本語には「中止犯」があります。中止犯とは、法律用語で、犯罪の実行に着手はしたが、自分の意思で中止した場合を意味します。刑が軽減または免除されます。「中止未遂」「任意未遂」とも言います。

中止の対義語

中止の対義語・反対語としては、前から行っていることをそのまま続けることを意味する「継続」、引き続いて行うことを意味する「続行」などがあります。

中止の類語

中止の類語・類義語としては、仕事や活動などを一時休むことを意味する「休止」、一続きのものが中途でとぎれることを意味する「中断」、動いていたものが途中で止まることを意味する「停止」などがあります。

断念の例文

1.経済状況の急変により、新規事業の立ち上げを断念することにしました。
2.出かける予定を立てていましたが、悪天候でやむなく断念しました。
3.毎年楽しみにしているハーフマラソンですが、今回は出場を断念します。
4.親の介護のために昇進を断念するビジネスマンは、これから増えていくでしょう。
5.自分の感性に自信が持てず、デザインへの進路を断念する人もいます。

この言葉がよく使われる場面としては、自分がもくろんでいたことを実現不可能だと悟ってあきらめることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、断念の慣用的な表現には「断念する」「やむなく断念」「断念します」などがあります。「やむなく断念」とは、そうしたいと思っていたことなどを仕方なく諦めることを意味します。

中止の例文

1.公演が中止や延期となった場合の払い戻しは、チケットの購入ルートにより手続きが異なります。
2.本イベントは、当日の天候次第で取りやめや中止を判断いたします。
3.転居される1週間前には、水道使用中止(廃止)届を提出してください。
4.大学入学共通テストにおける英語民間試験導入を中止するよう求める声が上がっています。
5.処方された薬は自己判断で中断せずに、医師に中止の判断を仰ぐべきです。

この言葉がよく使われる場面としては、中途でやめること、予定していたことがらを前もってとりやめることを表現したい時などが挙げられます。

例文3にある「中止」と「廃止」の違いは、中止は永久にやめることと一時的にやめることを表しますが、廃止は永久にやめることのみを表す点にあります。

断念と中止という言葉は、どちらも「何かをやめること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、希望していたことをやめることを表現したい時は「断念」を、途中でやめることや予定をやめることを表現したい時は「中止」を使うようにしましょう。

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