同じ「みぞう」という読み方の「未曾有」と「未曽有」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「未曾有」と「未曽有」という言葉は同義語で、どちらも「今までに一度もなかったこと」という同じ意味を持ちますが、それぞれの言葉の使い方には少し違いがあります。
未曾有と未曽有の違い
未曾有と未曽有の意味の違い
未曾有と未曽有の違いを分かりやすく言うと、未曾有は常用漢字表に載っていない、未曽有は常用漢字表に載っているという違いです。
未曾有の「曾」は常用外漢字
未曾有の「曾」が常用外漢字であるため、代用字として、常用漢字の「曽」を用いた未曽有が使われるようになりました。
未曾有は公用文で使えない
未曽有は文化庁が定める常用漢字表に記載されているため法令や新聞などで使用できますが、未曾有は常用漢字表に記載されていないため法令や新聞などで使用できません。そのため、公的な書類などに記載する際には「未曽有」を使う方が良いでしょう。
また、未曽有は未曾有と全く同じ意味の言葉であり、どちらの漢字を使っても間違いではないことを覚えておきましょう。使いやすい方の漢字を使って良いものなので、好みに合わせて使い分けることが可能です。
未曾有と未曽有の英語表記の違い
未曾有も未曽有も英語にすると「unprecedented」などとなり、例えば「未曾有の大災害が起こりました」を英語にすると「An unprecedented disaster occurred」となります。
未曾有の意味
未曾有とは
未曾有とは、今までに一度もなかったことや非常に珍しいことを意味しています。
未曾有の使い方
未曾有を使った分かりやすい例としては、「みんなで未曾有の危機を乗り越えよう」「未曾有の災害に直面した」「未曾有の危機に襲われた」「未曾有の事態に全力を尽くして対処する」「未曾有の規模の台風が襲来しました」などがあります。
未曾有というのは、今までに一度もなかったことや非常に珍しいことという意味の言葉です。一般的には「未曾有」という漢字で書かれますが、未曾有の「曾」という字は常用漢字ではありません。
未曾有の読み方
未曾有の読み方は現代では「みぞう」と読むのが一般的ですが、昔は「みぞうう」とも読まれていました。「みぞう」と「みぞうう」どちらの読み方も間違いではないのですが、一般的に読まれている「みぞう」の方を使うようにするのが無難でしょう。
以前、麻生太郎元首相が未曾有のことを「みぞうゆう」と読んだことがテレビやネットで話題になっていました。「みぞうゆう」と読むのは間違いで、正しい読み方は「みぞう」と覚えておいてください。
未曾有の由来
未曾有の由来は、仏教用語になります。サンスクリット語の奇跡という意味の「adbhuta」が漢訳された言葉です。日本では「未だ曾てあらず」と訓読され、元々は良い意味で使われていました。
しかし、時代が進むにつれ良い意味でも悪い意味でも使われるようになり、現代では悪い意味で使われるのが主流になっています。災害、感染症の流行、戦争、事件など、今まで一度もない悪い出来事が起こった場合に、テレビの報道や新聞でよく見かけるはずです。
表現方法は「未曾有の災害」「未曾有の危機」「未曾有の事態」
2011年に起こった東日本大震災や2020年に大流行したコロナウイルスの際に「未曾有の災害」「未曾有の危機」「未曾有の事態」という言葉が頻繁に使われていました。
未曾有の類語
未曾有の類語・類義語としては、これまで聞いたことのないような珍しく変わったことを意味する「前代未聞」、今までに例を見ないことを意味する「空前」、これまでとは時代を区切るほど目覚ましいことを意味する「画期的」などあがります。
未曽有の意味
未曽有とは
未曽有とは、今までに一度もなかったことや非常に珍しいことを意味しています。
未曽有の使い方
未曽有を使った分かりやすい例としては、「未曽有の大災害がをみんなで乗り越えよう」「未曽有の危機に直面した」「未曽有の事態になっています」「未曽有の災害が起こってしまった」「未曽有の被害を被りました」などがあります。
未曽有の「曽」という字は、未曾有の「曾」という字の代用字です。代用字というのは、本来の漢字の代わりに用いられる字のことを意味しています。
未曾有の「曾」という字が常用漢字ではないため、代用字として常用漢字である「曽」が使われたことで「曽」という言葉が生まれました。一般的には「未曾有」とされますが、どちらの漢字で表記しても間違いではありません。
しかし、公的な書類などに記載する際には、常用漢字である「曽」を使って「未曽有」とする方が良いでしょう。「未曾有」という漢字の方が、最初からあった表記であるというだけで、どちらの字でも意味は全く同じです。
この代用字というのは、他の単語でも使用されるものです。例えば、本来は「稀薄」であるところを「希薄」と表記するのが代用字です。本来の字が難しい字面であったり、常用漢字ではない場合に代用字が使われます。
前述したように、どちらの漢字で表記をしても同じ意味になるので、どちらでも好きな表記で書き記して良いものであると覚えておくようにしましょう。
未曽有の類語
未曽有の類語・類義語としては、非常に珍しいことを意味する「空前絶後」(読み方:くうぜんぜつご)、今まで誰も成し遂げなえなかったことを実現することを意味する「破天荒解」(読み方:はてんこうかい)などがあります.
未曾有の例文
この言葉がよく使われる場面としては、今までに一度もなかったことや非常に珍しいことを表現したい時などが挙げられます。未曾有の「曾」という字は常用漢字ではないので、日常生活でもあまり使用されません。
例文1から例文5のように災害が起こった時や新型ウイルスが流行した際によく使われる言葉です。今まで一度もなかったことに対して良い意味でも悪い意味でも使えるのですが、現代では悪い意味で使われるのが主流になっています。
未曾有は難しい言葉なので読み方を間違いやすいのですが、正しい読み方は「みぞう」と覚えておいてください。
未曽有の例文
この言葉がよく使われる場面としては、今までに一度もなかったことや非常に珍しいことを表現したい時などが挙げられます。
未曾有の「曾」という字が常用漢字ではないため、代用字の「曽」が使われるようになって出来たのが「未曽有」という言葉です。意味合いとしては全く同じものであり、どちらの漢字を使っても問題ないです。
未曾有と未曽有どちらを使うか迷った場合は、公的な書類などに記載する際には、常用漢字である「曽」を使った「未曽有」とする方が良いでしょう。その他の場合には、個人の好みによって好きな方の表記を使うことができます。