【事業】と【業務】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「事業」(読み方:じぎょう)と「業務」(読み方:ぎょうむ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「事業」と「業務」という言葉は、どちらも「会社が行っている仕事」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




事業と業務の違い

事業と業務の意味の違い

事業と業務の違いを分かりやすく言うと、事業とは会社全体での仕事、業務とは部署ごとの仕事という違いです。

事業と業務の使い方の違い

一つ目の事業を使った分かりやすい例としては、「個人事業主として事業を営んでおります」「弊社の事業内容をご紹介いたします」「事業所税は昭和50年に創設されました」「スタートアップ企業に対する支援事業を開始しました」などがあります。

二つ目の業務を使った分かりやすい例としては、「業務内容を洗い出して一覧表にする」「銀行三社に業務改善命令が出された」「威力業務妨害罪は刑法234条に定められています」「配達員の男が業務上過失致傷罪で起訴されました」などがあります。

事業と業務の使い分け方

事業と業務という言葉は、どちらも会社や組織が継続的に行っている仕事を表しますが、意味や使い方には違いがあります。

事業とは、営利や生産などを目的に、会社や組織などを経営する仕事を意味します。「事業内容」とは会社全体として取り組んでいる仕事内容であり、飲食店の事業内容は客の注文に応じて飲食料品を提供することです。

業務とは、事業や職業などに関して、日々継続して行う仕事を意味します。会社の「業務内容」とは、会社の各部署で行っている仕事であり、事業を達成するために発生する仕事の一部と言えます。事業内容を細分化したものが業務内容であり、業務内容を細分化したものが個人の職務内容になります。

つまり、事業とは会社全体で行っている仕事であり、業務とは各部署で行っている仕事を指す言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

事業と業務の英語表記の違い

事業も業務も英語にすると「business」となり、例えば上記の「事業を営む」を英語にすると「carry on a business」となります。

事業の意味

事業とは

事業とは、生産や営利などの一定の目的を持って継続的に、組織・会社・商店などを経営する仕事を意味しています。

その他にも、「大きく社会に貢献するような仕事」の意味も持っています。

事業の使い方

「テンプレートを使って事業計画書を作成する」「第13回事業再構築補助金の公募が開始された」「事業承継税制にはメリットだけでなくデメリットもあります」「事業者登録番号を調べる」などの文中で使われている事業は、「営利などの目的を持って継続的に経営する仕事」の意味で使われています。

一方、「市街地の再開発事業が進んでいます」「力を合わせて大きな事業を成し遂げる」「多くの有名人が慈善事業に携わっています」などの文中で使われている事業は、「大きく社会に貢献するような仕事」の意味で使われています。

事業とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。事業の「事」は果たさなければならない事柄、「業」は苦労してなしとげる事柄を表す漢字です。

「事業計画書」の意味

事業を用いた日本語には「事業計画書」があります。事業計画書とは、事業概要・経営方針・事業内容・財務計画等を3~5年間策定したものを記した資料のことです。事業計画書を作成することで、事業の強みや課題点を把握しやすくなります。また、資金調達の際にも利用される書類です。

事業の対義語

事業の対義語・反対語としては、利益を目的とせずに人のために尽くす活動を意味する「奉仕活動」などがあります。

事業の類語

事業の類語・類義語としては、生活に必要な物的財貨および用役を生産する活動を意味する「産業」、物質的財貨の生産や消費などの活動を意味する「経済」、事業や商売を意味する「ビジネス」などがあります。

業務の意味

業務とは

業務とは、職業や事業などに関して、継続して行う仕事を意味しています。

その他にも、「法律で、社会生活において反復・継続して行う活動のこと」の意味も持っています。

業務の使い方

「業務委託契約書の書き方を教えてください」「パソコンの購入費用は業務改善助成金の対象になりますか」「週末は業務用スーパーで買い出ししています」などの文中で使われている業務は、「事業などに関して継続して行う仕事」の意味で使われています。

一方、「業務妨害罪の構成要件を調べる」「他人の業務を妨害してはいけません」「自動車運転業務に時間外労働の上限規制が適用されました」などの文中で使われている業務は、「社会生活において継続して行う活動」の意味で使われています。

業務とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「事業などに関して継続して行う仕事」の意味で用いられています。業務の「業」は生活の中心を支える仕事、「務」は力を尽くして当たるべき役目を表します。

「業務委託」の意味

業務を用いた日本語には「業務委託」があります。業務委託とは、組織内部で行っていた業務を外部に任せることを意味します。民法上の請負契約、委任契約、準委任契約などの契約に基づいて行われています。

業務の対義語

業務の対義語・反対語としては、掃除や洗濯など家庭生活に欠かせない仕事を意味する「家事」などがあります。

業務の類語

業務の類語・類義語としては、商品の売買によって利益をあげようとする業務を意味する「商業」、報酬を受ける目的で行う労働勤務を意味する「労務」、主として机上で行なう仕事を意味する「事務」、具体的な仕事を意味する「実務」などがあります。

事業の例文

1.海外でのインフラ事業を行う企業を支援するファンドが、新しく設立されました。
2.要件を満たせば、個人事業主も事業再構築補助金を申請することができます。
3.経済学者のドラッカーがいう事業とは何なのか、あなたは簡単に説明できるでしょうか。
4.英語教育推進事業の一環として、年間を通じて小中学校にALTを配置しています。
5.慈善事業とソーシャルビジネスとでは、その目的に大きな違いがあります。

この言葉がよく使われる場面としては、営利などを目的として組織を営むこと、社会的な大きな仕事を表現したい時などが挙げられます。

例文5にある「慈善事業」とは、宗教的あるいは道徳的動機に基づいて、孤児や貧民の救助などのために行なわれる社会事業のことです。

業務の例文

1.手作業だと時間がかかる業務プロセスは、DX化によって作業時間を短縮することができます。
2.採用時に英語力を問いませんが、業務上は訪日外国人の対応で英語を頻繁に使うようになります。
3.世話好きな私にとって、アシスタントやサポート業務はやりがいのある仕事です。
4.営業アシスタント業務の仕事内容は、スケジュールや顧客情報の管理や文書作成が基本です。
5.業務時間の使い方を工夫するようになってから、定時で帰れるようになりました。

この言葉がよく使われる場面としては、職業や事業などに関して経常的に継続して行なう仕事を表現したい時などが挙げられます。

例文3にある「サポート業務」とは、秘書や事務など他の人の補助を行うための職務を指す言葉です。

事業と業務という言葉は、どちらも「継続して行っている仕事」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、会社全体で行う仕事を表現したい時は「事業」を、部署ごとに行う仕事を表現したい時は「業務」を使うようにしましょう。

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