似た意味を持つ「作成」(読み方:さくせい)と「制作」(読み方:せいさく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「作成」と「制作」という言葉は、どちらも「物を作ること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
作成と制作の違い
作成と制作の意味の違い
作成と制作の違いを分かりやすく言うと、作成とは文書や計画を作り上げることを表し、制作とは芸術作品や創作物を作ることを表すという違いです。
作成と制作の使い方の違い
一つ目の作成を使った分かりやすい例としては、「生成AIを使ったレポート作成は認めません」「エクセルでテンプレートを作成する」「後任のためにマニュアルを作成しました」「作成者の名前を非表示にする」などがあります。
二つ目の制作を使った分かりやすい例としては、「スマホで簡単に動画制作ができます」「イラストの制作手法を学ぶ」「夏の風物詩である花火を折り紙で制作しました」「油絵の制作過程をご紹介します」などがあります。
作成と制作の使い分け方
作成と制作という言葉は、どちらも形あるものものを作ることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
作成とは、物を作ることを意味し、おもに文書や資料また計画などを作りあげること表します。「スライドを作成する」「ホームページを作成する」のような使い方で、あらゆる情報やデータを具体的に形にして作り上げることを表現する言葉です。
制作とは、絵画などの芸術作品を作ること、ドラマや映画などの創作物を作ることを意味します。表現力や創造力を活かして作り上げるものに対して使われる言葉であり、例えば「ホームページ制作」と言えば、クリエイティブなニュアンスを含ませることができます。
つまり、作成とは文書や資料などを作り上げることであり、制作とは芸術作品や創作物を作ることを意味します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
作成と制作の英語表記の違い
作成も制作も英語にすると「creation」「making」となり、例えば上記の「レポート作成」を英語にすると「making the report」となります。
作成の意味
作成とは
作成とは、計画や書類、また文章などを作ることを意味しています。
その他にも、「保険業界で、社員が顧客の名を借りて契約を結び、保険料は自分が負担すること」の意味も持っています。
作成の使い方
「英語の論文はパソコンで作成中です」「確定申告書等作成コーナーを利用して申告しました」「案内文作成から図面作製までお任せください」などの文中で使われている作成は、「計画や文章などを作ること」の意味で使われています。
一方、「知り合いの保険営業マンが作成しているようだ」「保険の作成行為は違法行為ではありませんか」などの文中で使われている作成は、「社員が顧客の名で契約を結び、保険料は自分が負担すること」の意味で使われています。
作成とは、上記例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「計画や書類あるいは文章などを作ること」の意味で用いられています。作成「作」は工夫して物をこしらえること、「成」はつくりあげることを表す漢字です。
表現方法は「虚偽公文書作成罪」
作成を用いた日本語には「虚偽公文書作成罪」があります。虚偽公文書作成等罪とは、公務員が、その職務に関し、虚偽の文書や画像を作成したり変造したりする罪を意味します。刑法第156条で禁じられています。
作成の対義語
作成の対義語・反対語としては、消えてなくなることを意味する「消去」、跡形もなく消えてしまうことを意味する「隠滅」などがあります。
作成の類語
作成の類語・類義語としては、物品を作ることや図面などを作ることを意味する「作製」、簡単な器物を作ることを意味する「工作」、こしらえることを意味する「造作」、製作法などの計画を図面に表すことや計画を立てることを意味する「設計」などがあります。
制作の意味
制作とは
制作とは、芸術作品などを作ることを意味しています。
制作の使い方
制作を使った分かりやすい例としては、「ガラス雑貨の制作を体験しました」「小学生でもゲームを制作することができます」「9月の制作テーマは十五夜です」「英語サイトの制作を外注することにしました」などがあります。
その他にも、「横浜アリーナの座席開放席が当たりました」「制作開放席が当たる倍率は非公開です」「Web動画の制作会社で働いています」「おすすめのイラスト制作会社を教えてください」などがあります。
制作の「制」は訓読みで「おさえる」と読み、とりきめられた行為の型、形を作り整えることを表します。ある力を働かせて新しい物事を生みだすことを表す「作」と結びつき、制作とは、絵画や映画などの芸術作品を作ることを意味します。
表現方法は「制作開放席」
制作を用いた日本語には「制作開放席」があります。制作開放席とは、照明機材を設置した後に観客用の座席として用意する席のことです。最初の抽選に落選した人の中から再抽選され、案内されることが多くあります。
「制作活動費」は誤用
制作を用いた誤った表現には「制作活動費」があります。正しくは「政策活動費」であり、政党が議員個人に支出する政治資金を意味します。
制作の対義語
制作の対義語・反対語としては、器物や組織などをこわすことを意味する「破壊」、物をこわすことを意味する「毀損」などがあります。
制作の類語
制作の類語・類義語としては、道具や機械などを使って品物を作ることを意味する「製作」、原料に手を加えて製品にすることを意味する「製造」、絵画などの芸術を独創的につくり出すことを意味する「創作」、創造することや作り出すことを意味する「クリエイト」などがあります。
作成の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物を作ること、書類や計画などを作りあげること、保険会社の社員が顧客の名前で契約を結び保険料を社員が負担する行為を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「ホームページ作成ソフト」とは、Webページを作成するためのソフトウェアのことであり、「HTMLエディター」「Webページ作成ソフト」とも呼ばれています。例文5の作成は、保険業界用語として使用されています。
制作の例文
この言葉がよく使われる場面としては、映画やテレビなどの番組を作ること、芸術作品を作ることを表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「制作」と「製作」の違いは、制作はクリエイティブなものに用いられ、製作は実用的なものや商品として大量に作られるものに使用される点にあります。
作成と制作という言葉は、どちらも「作ること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、文書や資料を作ることを表現したい時は「作成」を、芸術作品を作ることを表現したい時は「制作」を使うようにしましょう。