同じ「なかみ」という読み方の「中身」と「中味」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「中身」と「中味」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
中身と中味の違い
中身と中味の違いを分かりやすく言うと、中味よりも中身の方が、一般的に使用されているという違いです。
一つ目の中身を使った分かりやすい例としては、「スーツケースの中身を見せてください」「中身が見えないクリアファイルが欲しい」「内容証明郵便の中身を確認する」「自分は中身がない薄っぺらい人間だと感じる」などがあります。
二つ目の中味を使った分かりやすい例としては、「中味が空になったペットボトルを再利用する」「キャップの内側に中味がついたまま閉めないでください」「あの人はプライドだけで中味がない」などがあります。
中身と中味という言葉は、どちらも「なかみ」と読み、「中に入っているもの」や「物事の内容」を表します。
二つの言葉は同音同義語であるため、中身と中味は互いに置き換えて使うことができます。上記例文にある「スーツケースの中身」は「スーツケースの中味」に、「中味が空になったペットボトル」は「中身が空になったペットボトル」に書き換えることができます。
あえて違いを挙げるならば、一般的には中身の方が使われていることでしょう。もともと「中身」が本来の書き方であり、「中味」は当て字であるため、中身の方が広く使用されています。ただし、飲食物に関しては、中味の方が用いられる傾向があります。
中身と中味の意味に違いはありませんが、世間一般で多用されている中身を用いる方が違和感がない表現と言えるでしょう。
中身も中味も英語にすると「content」「substance」となり、例えば上記の「スーツケースの中身」を英語にすると「the contents of the suitcase」となります。
中身の意味
中身とは、中に入っているもの、中に入れてあるものを意味しています。
その他にも、「物事の内容や実質」「刀剣の刃の部分、刀身」の意味も持っています。
「中身の入ったスプレー缶の処分を回収業者に依頼する」「中身が白いさつまいもを好んで食べる」「荷物の中身は英語のテキストでした」「中身汁は琉球料理の一つです」「中身汁のレシピを検索する」などの文中で使われている中身は、「中に入っているもの」の意味で使われています。
一方、「中身がない人は他人の意見に流されやすいものです」「形ばかりで中身が伴わない」などの文中で使われている中身は「物事の内容や実質」の意味で、「日本刀の中身に見事な彫刻が施されている」の文中で使われている中身は「刀剣の刃の部分」の意味で使われています。
中身の読み方は二通りあり、「なかみ」の他に「ちゅうしん」とも読みます。「ちゅうしん」と読むと「武士の位」を表し、意味が大きく変わるので注意してください。
中身とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。中身の「中」はある範囲の内側を表し、「身」は物の本体を表す漢字です。
中身を用いた日本語には「中身汁」があります。中身汁の「中身」とは沖縄の方言でモツを意味し、中身汁は沖縄の郷土料理の一つで、ゆでた豚の内臓を入れたすまし汁のことです。「中味汁」とも表記します。
中身の対義語・反対語としては、物の表面や外面あるいは見せかけの様子を意味する「上辺」などがあります。
中身の類語・類義語としては、容器や包みなどの中に入っているものを意味する「内容」、実際に事物に備わっている内容や性質を意味する「実質」、内容物や容器や郵便物などの中身を意味する「コンテンツ」などがあります。
中味の意味
中味とは、中に入っているもの、中に入れてあるものを意味しています。
「缶詰の中味はサバ味噌です」「味噌汁の中味は何ですか」「中味汁のレシピを教えてください」「沖縄料理の中味そばが好物です」「中味イリチーは沖縄を代表する郷土料理です」などの文中で使われている中味は、「中に入っているもの、中に入れてあるもの」の意味で使われています。
一方、「もっと中味の濃い議論をしよう」「中味のない人間ばかりだ」などの文中で使われている中味は「物事の内容や実質」の意味で、「水で中味を清める」「サビが中味に浸蝕している」などの文中で使われている中味は「刀剣の刃の部分」の意味で使われています。
中味とは、上記の例文にあるように三つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を判断する必要があります。中味の「味」は訓読みで「あじ」と読み、そのものに含まれる内容やおもむきを表します。
中味を用いた日本語には「中味イリチー」があります。中味イリチーとは、「中身イリチー」とも書き、下茹でした豚のモツとニンジンやニラなどの野菜を炒めあわせた沖縄の郷土料理です。中味とは、琉球語で豚のモツを意味します。
中味の対義語・反対語としては、物を入れる器や入れ物を意味する「容器」などがあります。
中味の類語・類義語としては、余分なものを取り除いた物の本当の中身を意味する「正味」、金銭の総額や物品の総量に対し内容を項目別に書き記すことを意味する「内訳」、中身や内容を意味する「実」などがあります。
中身の例文
この言葉がよく使われる場面としては、中に入れてあるもの、物事の内容、見かけに対する実質、刀剣の刃の部分を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にある「中身」は、「中味」という言葉に置き換えても問題ありません。
例文5にある「人の中身」とは、人の内面を意味し、外見ではわからない人間の精神や性格などを指す言葉です。
中味の例文
この言葉がよく使われる場面としては、含まれているもの、物事の内容、評判に対する実質、刀身を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にある「中味」は、「中身」という言葉に置き換えても意味は変わりません。
例文5の「中味汁」とは、豚のホルモンを使用した沖縄の郷土料理の一つです。「中身汁」とも表記します。
中身と中味という言葉は、どちらも「なかみ」と読む同音同義語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、一般的に使われている「中身」を使用すれば間違いないでしょう。