同じ「たいせい」という読み方の「体制」と「態勢」と「体勢」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「体制」と「態勢」と「体勢」という言葉は同音の言葉ですが、意味は大きく異なりますのでご注意下さい。
体制と態勢と体勢の違い
体制と態勢と体勢の意味の違い
体制と態勢と体勢の違いを分かりやすく言うと、体制は組織や制度を表現する時に使い、態勢は物事や情勢に対する構えを表現する時に使い、体勢は身体の姿勢を表現する時に使うという違いです。
体制と態勢と体勢の使い方の違い
体制という言葉は、「戦時体制について授業で学んだ」「反体制派によるデモが行われる」などの使い方で、組織や構造、制度を意味します。
態勢という言葉は、「万全の態勢でのイベント開催を待ち望んでいる」「管理態勢が徹底されている」などの使い方で、物事などに対する構えを意味します。
体勢という言葉は、「座ったままの体勢で居続けることも大変だ」「電車の揺れで体勢が崩れた」などの使い方で、身体の姿勢や構えを意味します。
体制と態勢と体勢の使い分け方
「たいせいを整える」という表現を上のどの言葉でもすることが出来ますが、「体制を整える」であれば組織やシステムを整えることを、「態勢を整える」であれば物事を受け入れる構えを整えることを意味します。
体制と態勢は、社会や企業などの団体組織に対してよく使われる言葉ですが、前者は長期的な対応に、後者は短期的な対応、臨時対応に使われます。
また、「体勢を整える」であれば身体の姿勢を整えることを意味します。このようにどの「たいせい」でも意味が通る表現があるため、意味で使い分ける必要があります。
これが、体制、態勢、体勢の明確な違いです。
体制の意味
体制とは
体制とは、組織や制度を意味しています。
表現方法は「体制をとる」「体制が整う」「会社の体制」
「体制をとる」「体制が整う」「会社の体制」などが、体制を使った一般的な言い回しです。
体制を使った言葉として、「戦時体制」「反体制」があります。
「戦時体制」の意味
一つ目の「戦時体制」とは、戦争の遂行のために統制された国内の非常体制を指す言葉です。国家のあらゆる資源や労働力を最大限に活用する必要があるため、女性を男性の穴埋めに働かせるなど、第二次世界大戦期の世界各地で見られた制度です。
しかし、日本ではこれをきっかけに女性の技能習得や社会進出が進んだことで、女性の地位が向上することとなりました。
「戦時体制」の意味
二つ目の「反体制」とは、既存の社会体制や政治体制に反対することやその立場を意味する言葉で、「反権力」と同じ意味を持ちます。2011年から生じているシリア内戦は、シリア反体制組織が各地で結成されて、政権軍との間で実戦が行われている内戦です。
体制の類語
体制の類語・類義語としては、一定の共通目標を達成するため役割などが分けられている集団を意味する「組織」、要素がそれぞれに他と関係しあったまとまりを意味する「体系」、統一のあるつながりを意味する「系統」などがあります。
体制の制の字を使った別の言葉としては、人間の行動や関係を規制するために確立されているきまりを意味する「制度」、王が主権を持つ政治制度を意味する「王制」、法律の制度を意味する「法制」などがあります。
態勢の意味
態勢とは
態勢とは、ある物事や情勢に対して取る構えを意味しています。
表現方法は「万全の態勢」「態勢を整える」「態勢を立て直す」
「万全の態勢」「態勢を整える」「態勢を立て直す」などが、態勢を使った一般的な言い回しです。
態勢を使った言葉として、「挙党態勢」「核態勢」があります。
「挙党態勢」の意味
一つ目の「挙党態勢」とは、政党内で派閥が分かれていても一体となって政治活動に当たろうとする構えを意味する言葉です。「挙党体制」も同じ意味を持つ言葉ですが、こちらの方が長期的なものとして捉えられることが多いです。
そのため、「挙党態勢」は今後悪い方向へ転じてしまう可能性や、その協力状態が分裂してしまう可能性がある場合に使われています。
「核態勢」の意味
二つ目の「核態勢」とは、その時々の状況に応じて核兵器の配備や運用の仕組みを整えることを意味する言葉です。また、「核態勢の検討」や「核態勢の見直し」をNPRと言い、アメリカの核抑止政策の基本方針を示した文書を指します。
態勢の類語
態勢の類語・類義語としては、対応の仕方を意味する「出様」(読み方:でよう)、物事に対する処理の仕方や態度を意味する「出方」(読み方:でかた)、立場などに基づく心構えや身構えを意味する「態度」などがあります。
態勢の態の字を使った別の言葉としては、身体の動きによって醸し出される感じを意味する「姿態」、面目を損なうようなしくじりを意味する「失態」、生命に危険があるほど病気や負傷の程度が酷いことを意味する「重態」などがあります。
体勢の意味
体勢とは
体勢とは、身体の姿勢を意味しています。
その他にも、物事のしくみや状態を意味する言葉としても使われます。
表現方法は「体勢を崩す」「体勢に入る」「体勢を立て直す」
体勢を使った表現として、「体勢を崩す」「体勢に入る」「体勢を立て直す」「体勢をとる」などがあります。人間だけでなく動物などにも使うことが出来、何かをしようとする時の身体の構えを表すことに多く使われる言葉です。
そのため、日常生活はもちろん、ビジネス間でも使われる言葉ですが、他の「体制」や「態勢」と混同されて使われます。
体勢の類語
体勢の類語・類義語としては、身体の構え方を意味する「姿勢」、芸能や武術の身の構えや作法を意味する「体配」、即座に有効な動きが出来るように整えた身体の格好を意味する「構え」、何かをする時の身体の位置や姿勢を意味する「体位」などがあります。
体勢の勢の字を使った別の言葉としては、人の持っている幸運や不運の巡り合わせを意味する「運勢」、変化する物事のその時その時の状態や勢力の関係を意味する「形勢」、移り変わる時代の様子を意味する「時勢」などがあります。
体制の例文
この言葉がよく使われる場面としては、組織や制度を意味する時などが挙げられます。
例文1の「新しい体制」は新体制という言葉でも言い表されますが、この言葉の対義語は旧体制となります。
態勢の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事や情勢に対して取る構えを意味する時などが挙げられます。
例文2の「受け入れ態勢」とは進んで迎え入れようとする状態を意味する言葉です。
例文3の「厳戒態勢」とは、ある物事に対して厳重な警戒をする構えをすることを意味する言葉です。
体勢の例文
この言葉がよく使われる場面としては、身体の姿勢や身体の構えを意味する時などが挙げられます。
何かをしようとする時の身体の構えを表すことに多く使われる言葉であるため、文章によって「体制」や「態勢」には置き換えて使うことができません。
体制と態勢と体勢どれを使うか迷った場合は、組織や制度を表す場合は「体制」を、物事や情勢に対する構えを表す場合は「態勢」を、身体の姿勢を表す場合は「体勢」を使うと覚えておけば間違いありません。