【転勤】と【赴任】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「転勤」(読み方:てんきん)と「赴任」(読み方:ふにん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「転勤」と「赴任」という言葉は、どちらも「引っ越しを伴う勤務地の変更」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




転勤と赴任の違い

転勤と赴任の意味の違い

転勤と赴任の違いを分かりやすく言うと、転勤とは勤務地が変わることを表し、赴任とは新しい勤務地に行くことを表すという違いです。

転勤と赴任の使い方の違い

一つ目の転勤を使った分かりやすい例としては、「夫の転勤に伴って盛岡に引っ越します」「海外転勤に英語力は関係ありません」「我が家は転勤族なので引っ越しに慣れています」「転勤の内示はいつ頃になるだろう」などがあります。

二つ目の赴任を使った分かりやすい例としては、「急に海外赴任を命ぜられました」「海外赴任者向けの健康診断を受けました」「単身赴任と家族帯同で悩んでいます」「単身赴任を希望するビジネスマンが増えています」などがあります。

転勤と赴任の使い分け方

転勤と赴任という言葉は、どちらも引っ越しを伴う勤務地の変更を表しますが、意味や使い方には違いがあります。

転勤とは、企業や官公庁などにおいて勤務地が変わる人事異動を意味します。転勤は、複数の拠点がある組織で行われ、「本社から仙台支社へ」「仙台支社からロサンゼルス支社へ」など転居を伴う異動を指します。

赴任とは、文字通り「任地に赴く(おもむく)こと」を意味し、辞令によって新しく勤務することになった場所に行くことを表します。赴任は、別の勤務地に出向くという動きに焦点を当てた言葉であり、その点が転勤という言葉との違いになります。

つまり、転勤とは勤務地が変わるという状態を表し、赴任とは新しい勤務地に行くという動きを表す言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味やニュアンスは微妙に異なるので、区別して使うようにしましょう。

転勤と赴任の英語表記の違い

転勤を英語にすると「transference」「relocation」「job transfer」となり、例えば上記の「夫の転勤」を英語にすると「my husband’s job transfer」となります。

一方、赴任を英語にすると「assignment」「posting」となり、例えば上記の「海外赴任」を英語にすると「overseas assignment」となります。

転勤の意味

転勤とは

転勤とは、同じ官庁や企業などの中で、勤務地が変わることを意味しています。

転勤の使い方

転勤を使った分かりやすい例としては、「転勤に伴う引っ越し費用は会社負担です」「イラストレーターの妻は転勤についてきてくれました」「転勤族の妻はリモートワークで仕事を続けることができます」などがあります。

その他にも、「社内に転勤の挨拶メールを送りました」「転勤を断ることはできますか」「事情があって転勤を拒否しました」「転勤する同僚にプレゼントを用意しました」「転勤する人への寄せ書きにメッセージを書きました」などがあります。

転勤とは、人事異動の一つであり、企業や官公庁において勤務地の変更を伴った配置転換を意味します。勤務地が東京本社から福岡支社に変更になるなど、引っ越しが必要となる異動を言います。転勤の「転」は方向を変えることや場所を変えること、「勤」は勤め先で仕事をすることを表す漢字です。

表現方法は「転勤族」

転勤を用いた日本語には「転勤族」があります。転勤族とは、会社員や公務員で、短期間で次々と勤務地が変わる人を指す俗語です。転勤族が多い職種には、銀行業や保険業の金融系や国家公務員、また、全国に支店があるような大企業などが挙げられます。

転勤の対義語

転勤の対義語・反対語としては、一時離れていた自分の任地や任務に戻ることを意味する「帰任」などがあります。

転勤の類語

転勤の類語・類義語としては、同じ組織の中で他の職務または任地にかわることを意味する「転任」、転任をいう尊敬語を意味する「栄転」、他の職に変わることを意味する「転職」、転任や退任などの人事の動きを意味する「異動」などがあります。

赴任の意味

赴任とは

赴任とは、任地におもむくことを意味しています。

赴任の使い方

赴任を使った分かりやすい例としては、「春からロサンゼルスに赴任することになりました」「赴任日は今のところ未定です」「赴任先で出会った人と結婚しました」「赴任先から着任した時に安心しました」などがあります。

その他にも、「取り急ぎ赴任の挨拶をメールでしました」「国家公務員の赴任手当は毎月支給されます」「単身赴任手当が課税なのか非課税なのかを調べる」「英語圏での赴任旅費はいくらぐらいですか」などがあります。

赴任の「赴」は訓読みで「おもむく」と読み、目的地に駆けつけることや出かけて行くことを表します。引き受けた役目を表す「任」と結びつき、赴任とは、勤務することになった場所に出向くことを意味します。

表現方法は「単身赴任」

赴任を用いた日本語には「単身赴任」があります。単身赴任とは、労働形態の一つであり、所帯持ちの雇用労働者が、企業の転勤命令などによって、家族と別れて一人で勤務地へ引っ越すことです。上記例文にある「単身赴任手当」とは、単身赴任に伴う経済的負担の軽減などを目的とした手当です。

赴任の対義語

赴任の対義語・反対語としては、新しい任地に到着することを意味する「着任」などがあります。

赴任の類語

赴任の類語・類義語としては、企業などの組織内で構成員の職務などが変わることを意味する「人事異動」、東京を離れて地方へ転勤・転居などをすることを意味する「都落ち」、命令を受けて籍を置いたまま他の会社などで勤務につくことを意味する「出向」などがあります。

転勤の例文

1.転勤する上司へのメッセージに、これまでお世話になった感謝の気持ちを込めました。
2.海外への転勤が決まったので、家族全員で英語の勉強を始めました。
3.共働きが主流の今の時代に、転勤は時代遅れとの声が増えています。
4.転勤はデメリットしかないという人もいますが、私はメリットを感じています。
5.日本の社会には、転勤しないと出世できない会社が一定数あるようです。

この言葉がよく使われる場面としては、勤務する場所が変わることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、転勤という言葉は、ビジネスシーンで使用されることが多くあります。

赴任の例文

1.高校生になる子供の学校のことを考えて、沖縄へは単身赴任で行くことにしました。
2.物価高や燃料費の高騰を受けて、弊社では赴任旅費を増額することを検討しています。
3.中国に赴任された上司に、巷で話題になっているレトルト食品を送ろうと考えています。
4.海外赴任から着任した時に、喜ばれそうな現地のお土産を職場で配りました。
5.一年前に赴任してきたばかりの先生が離任するなんて、なにか問題があったのだろうか。

この言葉がよく使われる場面としては、職務として任命されたところへ行くことを表現したい時などが挙げられます。

例文1にある「赴任旅費」とは、転勤などにより現在の居住地から新たな勤務地に赴くにあたって、会社から支給される移動費用を意味します。「赴任手当」「赴任費用」とも呼ばれています。

転勤と赴任という言葉は、どちらも「勤務地の変更」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、勤務地が変わることを表現したい時は「転勤」を、新しい勤務に行くことを表現したい時は「赴任」を使うようにしましょう。

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