似た意味を持つ「提言」(読み方:ていげん)と「進言」(読み方:しんげん)と「助言」(読み方:じょげん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「提言」と「進言」と「助言」という言葉は、意見を出すことという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
提言と進言と助言の違い
提言と進言と助言の使い分け方
提言と進言と助言の違いを分かりやすく言うと、提言は意見を会議に出す時に使い、進言は目上の人に意見を述べる時に使い、助言は相手を助ける時に使うという違いです。
提言は立場関係なく使える
提言という言葉は「専門家たちが新しい政策に関する提言をまとめた」「新しい事業に向けた提言」のように、言う側と言われる側の地位や身分などは関係なく、意見を出すという意味で使われる言葉です。
進言は目上の人に使う
進言という言葉は「上司が進言した話に納得してくれた」「王に進言するのは恐れ多い」のように、目上の人に対して自分の意見を述べる時に使われる言葉です。
助言は立場が下の人に使う
助言という言葉は「その問題に悩んでいた生徒に助言した」「ご助言を頂きたく存じます」のように、相手の手助けをする時に使う言葉です。
ただし、基本的には目上の人が下の人を助ける時に使う言葉であるため、「上司に助言させていただく」のような表現は失礼にあたります。
これらのことから、提言に身分は関係なく、進言は目上の人に対して使い、助言は目上の人が下の人に対して使うという違いが明確です。
提言の意味
提言とは
提言とは、自分の考えや意見を出すことを意味しています。
表現方法は「提言する」「提言があった」「提言がなされた」
「提言する」「提言があった」「提言がなされた」などが、提言を使った一般的な言い回しです。
提言の使い方
○○を使った分かりやすい例としては、「職場の安全性の改善を会社に提言する」「意見箱の方に提言があった問題点への対策を考える」「テレワーク制度を設置すべき旨の提言がなされた」などがあります。
提言を使った言葉として、「提言書」「提言骨子」があります。
「提言書」の意味
一つ目の「提言書」とは、第三者が地方自治体などに対して、ある問題に関するの意見をまとめたものを指す言葉です。
例えば、市町村の政策は私たち国民が行うものではありませんが、意見をまとめて提出し、会議の議題となればさらにより良い政策となる可能性があります。そこで提出されるのが提言書です。
「提言骨子」の意味
二つ目の「提言骨子」(読み方:ていげんこっし)とは、提言されたものの要点や骨組み、大まかな案を指す言葉です。法律や条例、政策などの公的な物に対して使われます。
提言の類語
提言の類語・類義語としては、上位の者や公の機関に対して計画や案を申し述べることを意味する「献策」、意見を申し立てることを意味する「建議」、議案や意見を提出することを意味する「提案」、はっきりと意見を述べることを意味する「立言」などがあります。
提言の提の字を使った別の言葉としては、金品や技能などを相手に役立ててもらうために差し出すことを意味する「提供」、意見や主張などを唱え発表することを意味する「提唱」、物事が成り立つための前置きとなる条件を意味する「前提」などがあります。
進言の意味
進言とは
進言とは、目上の者に対して意見を申し述べることを意味しています。
表現方法は「進言する」「進言した」「進言いたします」
「進言する」「進言した」「進言いたします」などが、進言を使った一般的な言い回しです。
進言の使い方
進言という言葉は謙譲語にあたる言葉で、「上層部への進言」「部下に進言される」などの使い方をします。
そのため「ご進言、感謝致します」のような使い方をしてしまうと、意見を伝えてくれた相手が自分のことを上に思っていると暗に意味してしまうことになり、感謝の気持ちを伝えただけであっても自分の方が立場が上であるというニュアンスを含んでしまいます。
意見を出してくれたことに対する感謝の気持ちであれば、「ご教授頂きありがとうございます」「ご尽力頂きありがとうございます」のような表現をするようにしましょう。
進言の類語
進言の類語・類義語としては、主君や目上の人に意見を申し上げることを意味する「献言」、上役などに対して意見や事情を詳しく述べることを意味する「具申」(読み方:ぐしん)、意見を上のものに申し述べることを意味する「上申」などがあります。
進言の進の字を使った別の言葉としては、人に差し上げる品物を意味する「進物」(読み方:しんもつ)、神社や寺院に金銭や物品を寄付することを意味する「寄進」、事件を急いで目上の人に報告することを意味する「注進」などがあります。
助言の意味
助言とは
助言とは、助けになるような意見や言葉を傍から言うことやその言葉を意味しています。
助言の読み方
助言は「じょげん」と読みますが、「じょごん」という読み方もあります。意味は「じょげん」と全く同じです。
表現方法は「助言を仰ぐ」「助言を行う」「助言する」
「助言を仰ぐ」「助言を行う」「助言する」「ご助言を承りたく」などが、助言を使った一般的な言い回しです。
助言の使い方
助言を使った分かりやすい例としては、「上司に助言を仰ぐ前に自分で出来る限りのことをやる」「すぐに助言を行うのではなく本人が自分で考える癖をつけるにはどうしたら良いか考えるべきである」「お時間があるときにでも、ご助言を承りたく存じます」などがあります。
助言を使った言葉として、「口頭助言」「助言理論」があります。
「口頭助言」の意味
一つ目の「口頭助言」とは、解雇や賃下げなどのトラブルに対し、労働基準監督署内に設置された総合労働相談員が相談に応じ、法律の解釈や紛争の実例を説明することで自主的な紛争の解決を促す制度を指す言葉です。
基本的には会社と社員の間の紛争であれば口頭助言の対象となります。平成14年に施行された法律によって相談員が置かれ始めましたが、解雇や退職に関する相談だけではなく、いじめ、いやがらせの相談件数も多くなっているのが現状です。
「助言理論」の意味
二つ目の「助言理論」とは、中小企業診断士の試験にあった科目で、問題発見や課題の抽出のためのコンサルティング理論、カウンセリングの知識や技法のコンサルティング実践に関する知識に関する問題が出されていました。
助言理論という科目は、平成18年度からは1次試験ではなく、2次試験の筆記試験および口述試験に組み込まれる形に科目が編成されました。
助言の類語
助言の類語・類義語としては、情報を提供するなどして手助けをすることを意味する「手引」、議案や意見を提出することを意味する「提案」、ある行動をとるように説き進めることを意味する「勧告」、それとなく知らせることを意味する「示唆」などがあります。
助言の助の字を使った別の言葉としては、ある物事の成長や発展を助けることを意味する「助長」、他の人の進めている仕事や活動などに力を貸すことを意味する「助力」、困っている人に力を貸すことを意味する「援助」などがあります。
提言の例文
この言葉がよく使われる場面としては、意見を出すことを意味する時などが挙げられます。
提言という言葉は、意見を出す側と出される側の身分は特に関係ないですが、主に政府や地方自治体などの団体に対してや、企業の会議などに使われる言葉です。
進言の例文
この言葉がよく使われる場面としては、目上の人に対して意見を言うことを意味する時などが挙げられます。
進言という言葉は、受動態で「進言される」という形にすることが出来ますが、その際には意見を言う側と意見を言われる側、どちらの立場や身分が上であるかをしっかり確認して使わなければ、失礼にあたる可能性があります。
助言の例文
この言葉がよく使われる場面としては、相手の手助けになるように意見を言うことを意味する時などが挙げられます。
例文1は、目上の人にもらった助言で事が上手くいったことを表現するフレーズですが、助言をくれた人に対して感謝の気持ちを伝える時に「ご助言ありがとうございました」と伝えるのは失礼にあたる可能性があります。
そのため、結果の報告と共に「ご指導ありがとうございました」「ご教授いただき、誠にありがとうございます」などの違う表現で感謝を伝えるのが好ましいです。
また、社外の人にも使うことはできません。そのため、「先の件についてご尽力頂きまして誠にありがとうございます」といった表現をするようにしましょう。
提言と進言と助言どれを使うか迷った場合は、意見や考えを出す場合は「提言」を、目上の人に対して意見を述べる場合は「進言」を、相手を助けるような意見を出す場合は「助言」を使うと覚えておけば間違いありません。