似た意味を持つ「手術」(読み方:しゅじゅつ)と「施術」(読み方:しじゅつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「手術」と「施術」という言葉は、どちらも「医療行為」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
手術と施術の違い
手術と施術の意味の違い
手術と施術の違いを分かりやすく言うと、手術とは主に外科的な治療を表し、施術とは主に民間治療や美容室の術などを表すという違いです。
手術と施術の使い方の違い
一つ目の手術を使った分かりやすい例としては、「緊急手術を受けることになりました」「保険会社に手術給付金を請求する」「手術を受けた友人にお見舞いメールを送りました」「旧態依然とした社内制度に手術を施す」「問題を解決する手術を探しています」などがあります。
二つ目の施術を使った分かりやすい例としては、「肌を若返らせるとする美容施術を受ける」「3年以内に施術師の資格を取得するつもりです」「美容院の施術中にパソコンで仕事をしました」「エステの施術内容を確認してから契約する」などがあります。
手術と施術の使い分け方
手術と施術という言葉は、どちらも治療や医療行為を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
手術とは、皮膚あるいは粘を切り開いて行われる外科的医療行為を意味します。メスや器械を用いて、患部を切除したり摘出したりするなどの治療処置をを指す言葉です。「手術給付金」とは、病気やケガで手術をした際に加入中の医療保険から支払われる給付金のことです。
施術とは、医療の術全般を意味しますが、主に手術のことを指します。一般的には、鍼灸やマッサージなどの民間療法や、エステサロンや美容室などで行われる術を指していうことが多い言葉です。「施術師」とは、国家資格を持ったあん摩マッサージ指圧師、はり師、柔道整復師などの総称です。
つまり、手術とは外科的な治療を指していう言葉であり、施術とは民間治療や美容室の術を指す言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
手術と施術の英語表記の違い
手術も施術も英語にすると「operation」「surgery」となり、例えば上記の「手術を受ける」を英語にすると「have surgery」となります。
手術の意味
手術とは
手術とは、医者がメスなどを用いて患部を切開したり切断・摘出したりして回復させる治療法、オペを意味しています。
その他にも「物事を大幅に改めること」「手段、方法」の意味も持っています。
手術の読み方
手術の読み方は「しゅじゅつ」です。誤って「てじゅつ」「しゅしゅつ」などと読まないようにしましょう。
手術の使い方
「手術室の入口まで付き添いました」「手術後は無理せず安静にしてください」「子どもが手術する夢を見ました」「手術跡にかゆみ止めのクリームを塗る」などの文中で使われている手術は、「患部を切開したり摘出したりして回復させる治療法」の意味で使われています。
一方、「日本の英語教育には手術が必要である」の文中で使われている手術は「物事を大幅に改めること」の意味で、「生産性を高める新たな手術を探している」の文中で使われている手術は「手段、方法」の意味で使われています。
手術とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ちますが、多くは「医者がメスなどを用い、患部を切開したり切断したりして回復させる治療法」の意味で用いられています。手術の「手」は直接自分の手をくだしてするさまを表し、「術」は目的を遂げるための手段や方法を表す漢字です。
表現方法は「手術支援ロボット」
手術を用いた日本語には「手術支援ロボット」があります。手術支援ロボットとは、医師が内視鏡画像を見ながら遠隔操作して手術を行うロボットを意味します。術器具を取り付けたロボットアームと内視鏡を、患者の腹部にあけた小さな穴に挿入して手術するものです。
手術の対義語
手術の対義語・反対語としては、薬物や放射線で治療するなど機能の温存をはかる治療法を意味する「温存療法」などがあります。
手術の類語
手術の類語・類義語としては、病気やけがを治すことを意味する「療治」、病気やけがの処置を施すことを意味する「手当」、戦いや試合をうまく運ぶ方法や策略を意味する「作戦」、自分の目的のために相手を陥れる計略を意味する「策略」などがあります。
施術の意味
施術とは
施術とは、医者が医療の術を行うことを意味しています。
施術の読み方
施術の読み方は二通りあり、「しじゅつ」の他に「せじゅつ」とも読みます。本来の読み方は「しじゅつ」ですが、「手術」と聞き違えられやすいため、放送業界などでは「せじゅつ」と読むことが多くなっています。
施術の使い方
施術を使った分かりやすい例としては、「エステで受けられる施術にはどんなものがありますか」「施術ミスを認めない美容師にブチ切れた」「英語対応してくれるネイルサロンを探しています」などがあります。
その他にも、「施術台の高さを調整してもらう」「古くなったので施術ベッドを買い替えました」「施術所等向け総合ポータルサイトにログインする」「保険金請求のために接骨院の施術証明書を提出する」などがあります。
施術の「施」は訓読みで「ほどこす」と読み、事態を改善するようなことを行うことを表します。方法や手立てを表す「術」と結びつき、施術とは、 医者などが医療の術を施すことを意味し、特に手術を行うことを指す言葉です。
表現方法は「施術所」
上記例文にある「施術所」(読み方:しじゅつじょ、せじゅつじょ)とは、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師が施術を行うための施設を意味します。実際は施術所と呼ばれることは少なく、鍼灸院、接骨院・整骨院などの名称で呼ばれています。
施術の対義語
施術の対義語・反対語としては、病巣の摘出や手術を行わない治療法の総称を意味する「保存療法」などがあります。
施術の類語
施術の類語・類義語としては、外科手術や解剖のためにメスを持つことを意味する「執刀」、医師が患者を診察し治療することを意味する「診療」、貧しい病人などを無料で治療することを意味する「施療」、病気やけがの治療をすることを意味する「加療」、手術を意味する「オペ」などがあります。
手術の例文
この言葉がよく使われる場面としては、治療の目的で患部を切断や切開して処置すること、物事の状態や性質などを大幅に改めること、手段や方法を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、手術という言葉は、医療現場や医学に関して使用されることがほとんどです。
施術の例文
この言葉がよく使われる場面としては、医者などが医療の術を施すこと、特に手術を行なうことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、施術という言葉は、マッサージなどの民間医療や美容室で使用されることが多くあります。
手術と施術という言葉は、どちらも「治療」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、外科的な治療を表現したい時は「手術」を、民間治療や美容室での術を表現したい時は「施術」を使うようにしましょう。