似た意味を持つ「類似」(読み方:るいじ)と「相似」(読み方:そうじ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「類似」と「相似」という言葉は、どちらも「よく似ていること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
類似と相似の違い
類似と相似の意味の違い
類似と相似の違いを分かりやすく言うと、類似とは性質や特徴がよく似ていること、相似とは形や姿などがよく似ていることという違いです。
類似と相似の使い方の違い
一つ目の類似を使った分かりやすい例としては、「互いの類似点や相違点を明らかにする」「OTC類似薬の保険給付のあり方を見直す」「類似する記事の表示を減らす」「類似性バイアスを利用して好感度を上げよう」などがあります。
二つ目の相似を使った分かりやすい例としては、「相似比から面積比を求める」「数学の相似記号はいつから存在したのだろう」「音響模型実験における相似則を検証する」「鳥の翼と昆虫のハネは相似器官です」などがあります。
類似と相似の使い分け方
類似と相似という言葉は、どちらも全く同じではないものの似通っていることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
類似とは、似通った点が多くあって、全体的に似ていると認識されることを意味します。特に、性質や特徴などが似ている場合に使用される言葉です。「OTC類似薬」とは、OTC医薬品と効果やリスクなど薬の性質が似ていながら、原則的に処方箋が求められる医薬品のことです。
相似とは、形や姿などが非常によく似ていることを意味します。同じ形であれば大きさは異なっていても「相似」となり、幾何学の用語として用いられることが多い言葉です。「相似比」とは、相似の関係にある図形において、対応する部分の長さの比を言います。
つまり、類似とは性質や特徴がよく似ている場合に用いられ、相似とは姿や形がよく似ている場合に使用される言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
類似と相似の英語表記の違い
類似も相似も英語にすると「resemblance」「analogous」「similarity」となり、例えば上記の「類似点」を英語にすると「points of similarity」となります。
類似の意味
類似とは
類似とは、互いに共通点があること、似かようことを意味しています。
類似の使い方
類似を使った分かりやすい例としては、「類似性の法則を利用して好印象を与える」「便利な類似画像検索の方法を教えてもらいました」「令和6年と令和7年の類似業種比準価額を比較しています」などがあります。
その他にも、「正規品に酷似した類似品にご注意ください」「これと類似した事件の判例を集める」「事業内容が類似する会社の対比表を作成する」「文章の類似度を計算する方法を調べる」などがあります。
類似の読み方
類似の読み方は「るいじ」です。誤って「るいに」などと読まないようにしましょう。
類似の「類」は訓読みで「たぐい」と読み、互いに似た性質でまとめられるものの集まりを表す漢字です。物の形が見た目に同じようであることを表す「似」と組み合わさり、類似とは、似通っていること、共通する点があることを意味します。
表現方法は「類似品」
類似を用いた日本語には「類似品」があります。類似品とは、ある品物に似ている品物のことであり、多くは品質が劣る場合にいう言葉です。類似品には様々なケースがあり、ロゴやキャラクターを無断で使用していたり、商品の形態や包装が酷似しているなどがあります。
類似の対義語
類似の対義語・反対語としては、他のものとの異なる点を意味する「差異」などがあります。
類似の類語
類似の類語・類義語としては、非常によく似ていることを意味する「酷似」、非常に似通っていることを意味する「近似」、非常によく似ているさまを意味する「そっくり」、互いに優劣や差異などがほとんどないことを意味する「似たり寄ったり」などがあります。
相似の意味
相似とは
相似とは、形や性質が互いによく似ていることを意味しています。
その他にも、「一つの図形を拡大または縮小した関係にあること」「異種の生物の器官で、発生的には異なるが、機能が同じであるために形態が似ている現象」の意味も持っています。
相似の使い方
「推し活と宗教信仰は相似性がある」「自然現象のなかにも自己相似性が見られます」「それぞれの自己啓発本は相似形をなしている」などの文中で使われている相似は、「形や性質が互いによく似ていること」の意味で使われています。
一方、「三角形の合同条件と相似条件の覚え方を教えてもらう」の文中で使われている相似は「一つの図形を拡大か縮小した関係にあること」の意味で、「相似器官の例を挙げて説明する」の文中で使われている相似は「異種の生物の器官で機能が同じで形態が似ている現象」の意味で使われています。
相似の読み方
相似の読み方は「そうじ」です。誤って「そうに」などと読まないようにしましょう。
相似とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ちますが、特に「一つの図形を拡大または縮小した関係にあること」の意味で用いられることが多い言葉です。相似の「相」は物の姿やようすを表し、「似」は形が同じようであることを表します。
表現方法は「相似器官」
相似を用いた日本語には「相似器官」があります。相似器官とは、 異種の生物間で形や姿などが類似した器官のことです。例えば、昆虫のハネとコウモリの飛膜、キュウリの巻きひげとエンドウの巻きひげなどです。
相似の対義語
相似の対義語・反対語としては、二つのものの間にちがいがあることを意味する「相違」、異種の生物の器官で形状や機能が異なるが発生的には同一起源であることを意味する「相同」などがあります。
相似の類語
相似の類語・類義語としては、二つ以上のもののどれにもあることを意味する「共通」、よく似ていることを意味する「肖似」、本物によく似ていてまぎらわしいことを意味する「疑似」、二つに割った瓜のように互いに顔や姿が似ていることを意味する「瓜二つ」などがあります。
類似の例文
この言葉がよく使われる場面としては、似かよっていること、共通点があることを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「類似性バイアス」とは、自分と似ている人を高く評価したり安心感を得たりする傾向のことです。出身地や趣味など、自分と似ている人に対して自然と好意を抱く現象です。
相似の例文
この言葉がよく使われる場面としては、姿形などが類似していること、二つの図形が一方を拡大または縮小して他方と合同にすることができること、異種の生物の器官で形態や機能はよく似ているが発生的には起源を異にすることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、相似という言葉は、形状が同じで大きさだけが異なる図形を意味する数学用語として用いられることがほとんどです。
類似と相似という言葉は、どちらも「よく似ていること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、性質や特徴がよく似ていることを表現したい時は「類似」を、姿や形がよく似ていることを表現したい時は「相似」を使うようにしましょう。