【裁判官】と【裁判員】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「裁判官」(読み方:さいばんかん)と「裁判員」(読み方:さいばんいん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「裁判官」と「裁判員」という言葉は、どちらも「刑事裁判で量刑を判断する人」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




裁判官と裁判員の違い

裁判官と裁判員の違いを分かりやすく言うと、裁判官とは法的判断を行う国家公務員、裁判員とは選ばれて刑事裁判に参加する一般市民という違いです。

一つ目の裁判官を使った分かりやすい例としては、「最高裁判所の裁判官に任命されました」「裁判官の異動履歴をチェックする」「裁判官弾劾法は1947年に公布されました」「国民審査により裁判官が罷免される」などがあります。

二つ目の裁判員を使った分かりやすい例としては、「いつか私も裁判員に選ばれるだろうか」「裁判員には守秘義務があります」「裁判員制度の問題点について議論する」「裁判員法の改正案が国会に提出されました」などがあります。

裁判官と裁判員という言葉は、どちらも刑事裁判において有罪か無罪か、また量刑を判断する役割を担う人を表しますが、意味や使い方には違いがあります。

裁判官とは、訴訟事件の審理や裁判をすることを職務とする国家公務員です。裁判官は、証拠の取り調べや証人尋問など裁判全体の指揮を執ります。裁判員裁判では、法律の専門家として裁判を主導し、裁判員と協議した結果に基づいて判決を宣告します。

裁判員とは、裁判員制度のもと、国民から選出され刑事裁判に参加する人を意味します。裁判員制度は、一般市民の感覚を裁判に反映させ、司法への理解を深めることを目的としています。そのため、裁判員に法律の専門知識は求められていません。

つまり、裁判官とは法的判断を行う国家公務員であり、裁判員とは選ばれて刑事裁判に参加する一般市民です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。

裁判官を英語にすると「judge」「justice」「magistrate」となり、例えば上記の「裁判官に任命される」を英語にすると「be appointed as a judge」となります。

一方、裁判員を英語にすると「jury member」「trial jurist」「juror」となり、例えば上記の「裁判員に選ばれる」を英語にすると「be selected as a juror」となります。

裁判官の意味

裁判官とは、裁判所の構成員として裁判事務を担当する国家公務員を意味しています。

裁判官を使った分かりやすい例としては、「裁判官になるにはどうしたらいいですか」「裁判官の平均年収をネットで調べています」「英語が話せない裁判官は少なからずいるだろう」「インサイダー取引をした元裁判官は有罪となりました」などがあります。

その他にも、「裁判官の国民審査はいつ行われますか」「裁判官バッジは公正さを象徴しています」「帰化人が裁判官として活躍している」「裁判官検索サイトで経歴を調べる」「衆議院選挙で裁判官6人が信任されました」などがあります。

裁判官は、裁判所において、法律的判断を下す権限をもつ特別職の国家公務員です。日本の現行法上、最高裁判所長官、最高裁判所判事、高等裁判所長官、判事、判事補、簡易裁判所判事の6種類があります。任命の資格や方法は、憲法あるいは裁判所法などに定められています。

裁判官を用いた日本語には「裁判官弾劾法」があります。裁判官弾劾法とは、裁判官の弾劾について、罷免の理由、訴追および裁判の手続きなどを定めている法律です。たとえば裁判官弾劾法2条では、裁判官を弾劾によって罷免する事由を定めています。

裁判官の対義語・反対語としては、民事訴訟で原告から訴えられた者を意味する「被告」などがあります。

裁判官の類語・類義語としては、犯罪を審理し刑名を定めることを任とした官人を意味する「判事」、合議制の裁判所を代表する裁判官を意味する「裁判長」、司法権を行使する国家機関を意味する「裁判所」などがあります。

裁判員の意味

裁判員とは、裁判員制度において、国民から選出され刑事裁判に参加する人を意味しています。

その他にも、「弾劾裁判所で裁判を行う国会議員」の意味も持っています。

「裁判員制度で選ばれる確率を調べる」「裁判員裁判の報酬はいくらぐらいですか」「裁判員を辞退するには特別な理由が必要です」「裁判員制度はいつから始まったのだろう」などの文中で使われている裁判員は、「裁判員制度で国民から選出され刑事裁判に参加する人」の意味で使われています。

一方、「合計14人の裁判員が弾劾裁判を行います」「裁判員がそれぞれ五人以上出席しなければ審理することができません」などの文中で使われている裁判員は、「弾劾裁判所で裁判を行う国会議員」の意味で使われています。

裁判員とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。裁判員の「裁判」は裁判所が法的紛争を解決する目的で行う公権的な判断を表し、「員」はある組織に加わっている人を表します。

上記の例文にある「裁判員制度」とは、選挙人名簿から無作為に選ばれた一般市民が裁判員として、裁判官とともに裁判内容の決定に主体的に関与することができる制度です。刑事裁判に市民感覚を反映させるのを目的として、2009年に開始されました。

裁判員の対義語・反対語としては、刑事訴訟で公訴を提起された者を意味する「被告人」などがあります。

裁判員の類語・類義語としては、陪審制度において一般市民の中から選ばれ審判に立ち会う人を意味する「陪審員」(読み方:ばいしんいん)、審査をする人を意味する「審査員」、下級裁判所の裁判官の官名の一つを意味する「判事補」などがあります。

裁判官の例文

1.裁判官になるには司法試験に合格しなければならないので、必死に勉強しています。
2.裁判官の仕事内容を考えると、その給料は決して高いものではありません。
3.弾劾裁判の判決には、元裁判官としておかしいと感じることがよくあります。
4.裁判官の階級は法律で定められており、階級によって給与が決定されます。
5.裁判官の職務上、特別な英語の能力が要求されることはありません。

この言葉がよく使われる場面としては、裁判権および司法行政権を実行する機関を構成する公務員を表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、裁判官という言葉は、裁判所を中心とした司法の場において用いられることが多くあります。

裁判員の例文

1.一般市民ならではの視点が加わることは、裁判員制度のメリットの一つです。
2.裁判員裁判の対象事件は、殺人や身代金目的誘拐など重たい刑事事件ばかりです。
3.裁判員に選ばれる確率は0.1%もないのに、自分が選ばれるとは驚きです。
4.裁判員制度で裁判員に選ばれる人と選ばれない人の違いは何だろう。
5.裁判員の年齢引き下げによって、現役高校生も裁判員になる可能性が生まれました。

この言葉がよく使われる場面としては、国民の中から選ばれ刑事裁判に参加する人、裁判官の罷免を審理する国会議員を表現したい時などが挙げられます。

例文2にある「裁判員裁判」とは、裁判員制度に基づき、市民が裁判員として参加して行われる裁判を意味します。通常は、裁判員6名と裁判官3名の組み合わせで審理が進められます。

裁判官と裁判員という言葉は、どちらも「刑事裁判で量刑を判断する人」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、法的判断を行う国家公務員を表現したい時は「裁判官」を、常識を裁判に反映させる一般市民を表現したい時は「裁判員」を使うようにしましょう。

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