似た意味を持つ「未知」(読み方:みち)と「無知」(読み方:むち)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「未知」と「無知」という言葉は、どちらもを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
未知と無知の違い
未知と無知の違いを分かりやすく言うと、未知とはまだ知らない事柄を表し、無知とは知識や知恵のない人を表すという違いです。
一つ目の未知を使った分かりやすい例としては、「子どもの可能性は未知数です」「ピラミッドに未知の空間を発見した」「未知なる冒険に旅立とう」「アナログな祖母にとってネットは未知の世界です」などがあります。
二つ目の無知を使った分かりやすい例としては、「正直な話、無知な人といると疲れます」「無知な人は詐欺の標的になりがちです」「ネット上の無知蒙昧な発言に惑わされるな」「あなたは無知の知の本当の意味を知っていますか」などがあります。
未知と無知という言葉は、どちらも知らないことや不案内なさまを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
未知とは、まだ知られていないこと、まだ知らないことを意味し、知られていない事柄全般を表します。「可能性は未知数」のような使い方で、新たな発見の見込みや将来性をイメージさせる言葉であり、ポジティブなニュアンスを伴います。
無知とは、知識が欠けることや知恵がないことを意味し、知識や知恵が欠如している人を表すことが多くあります。ネガティブなイメージを伴う言葉であり、「無知な人」とは、ある分野について十分な知識や情報を持っていなかったり、物事を理解できていない状態の人を表現しています。
つまり、未知とは知らない事柄を指すプラスイメージの言葉であり、無知とは知識や知恵のない人を指すマイナスイメージの言葉です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
未知を英語にすると「unknown」「strange」「unfamiliarity」となり、例えば上記の「未知数」を英語にすると「an unknown number」となります。
一方、無知を英語にすると「ignorance」「illiteracy」「stupid」となり、例えば上記の「無知な人」を英語にすると「an ignorant person」となります。
未知の意味
未知とは、まだ知らないこと、まだ知られていないことを意味しています。
未知を使った分かりやすい例としては、「未知の巨大クレーターを発見しました」「若いうちに未知の領域に挑戦するべきだ」「夏休みは未知のソウル旅行を満喫しました」「既知の脅威に加え未知の脅威を検出した」などがあります。
その他にも、「この学校の生徒は個性的で未知数な人ばかりです」「あの新入社員は未知数すぎる」「方程式は未知数が特定の値をとるときに成立します」「気付いたら未知なる水域に流されていた」などがあります。
未知の読み方は「みち」です。誤って「びち」「みし」などと読まないようにしましょう。
未知の「未」は訓読みで「いまだ」と読み、今になってもまだ実現していないさまを表します。物事を認識したり判断したりする能力や知恵を表す「知」と結び付き、未知とは、まだ知らないこと、未だに知られていないことを意味します。
未知を用いた日本語には「未知数」があります。未知数とは、数学の方程式などで値がまだわかっていない数を意味し、x・y・zなどで表されるものです。また、比喩的に用いられ、将来どうなるか今は予想のつかないことを表現します。
未知の対義語・反対語としては、すでに知っていることを意味する「既知」などがあります。
未知の類語・類義語としては、はっきりわからないことを意味する「不明」、明らかでないことを意味する「不明瞭」、詳しくははわからないことを意味する「不詳」、ぼんやりしているさまを意味する「模糊」などがあります。
無知の意味
無知とは、知らないこと、知識がないこと、知恵のないことを意味しています。
無知を使った分かりやすい例としては、「彼は英語が話せるけど無知な人です」「中高生の無知を利用した犯罪が増えています」「無知で不勉強な自分が恥ずかしい」「無知は罪なり、はソクラテスが残した言葉です」などがあります。
その他にも、「子どもは無知蒙昧な考え方をしがちです」「無知は罪ではないけど何かを損をします」「無知のヴェールの下で人々が合意してしまう」「技術方面については無知で申し訳ございません」などがあります。
無知は「無智」とも書きますが、一般的には「無知」と表記されています。
無知の「知」は、訓読みで「しる」と読み、物事の状態や内容あるいは価値などを理解することを表します。そのものが存在しないことを表す「無」と組み合わさり、知らないこと、知識が欠けること、知恵がないことを意味します。
無知を用いた四字熟語には「無知蒙昧」(読み方:むちもうまい)があります。 無知蒙昧とは、学問がなく物事の道理を知らないことを意味します。「蒙昧」の「蒙」も「昧」も、道理に暗いことを表す漢字です。
無知の対義語・反対語としては、広く学問に通じ多くのことを知っているさまを意味する「博学」などがあります。
無知の類語・類義語としては、学問や知識が未熟なことを意味する「浅学」、学問のないことや知識のないことを意味する「無学」、教養が備わってていないことを意味する「無教養」、社会的な常識にひどく欠けていることを意味する「馬鹿」などがあります。
未知の例文
この言葉がよく使われる場面としては、まだ知らないこと、まだ知られていないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、未知の慣用的な言い回しには「未知の領域」「未知との遭遇」「未知のもの」などがあります。「未知との遭遇」とは、予想していなかった思いがけない出会いや、経験したことのない事柄などを意味し、SF映画のタイトルにもなっています。
無知の例文
この言葉がよく使われる場面としては、知らないこと、知恵のないこと、愚かなことを表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「無知の知」とは、哲学者であるソクラテスの真理探究への基本になる考え方であり、自らの無知を自覚することが真の認識に至る道であることを意味します。
未知と無知という言葉は、どちらも「知らないこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、まだ知らない事柄を表現したい時は「未知」を、知恵のない人を表現したい時は「無知」を使うようにしましょう。