同じ「じゅうしょう」という読み方の「重症」と「重傷」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「重症」と「重傷」は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
重症と重傷の違い
重症と重傷の違いを分かりやすく言うと、重症とは重い病気や重い怪我を表し、重傷とは重い怪我のみを表すという違いです。
一つ目の重症を使った分かりやすい例としては、「アレルギーが重症化することもあります」「 交通事故による怪我の重症度を判断する」「マダニによる重症熱性血小板減少症候群に罹ってしまった」「彼の浮気癖は重症なので別れようと思います」などがあります。
二つ目の重傷を使った分かりやすい例としては、「重傷者を優先して治療に当たる」「重傷事故は年々増加傾向にあります」「3人が重傷を負う事件が発生した」「犯人は逃走中に骨を折り全治約1か月の重傷です」などがあります。
重症と重傷という言葉は、どちらも「じゅうしょう」と読みますが、意味や使い方には違いがあります。
重症とは、症状が重いことを意味し、病気や怪我などの重い症状を表します。そのため、「アレルギーが重症化する」のように病気に使用することも、「事故による怪我の重症度」のように怪我に使用することも可能です。また、「浮気癖は重症」のように比喩的に使用されることもあります。
重傷とは、怪我の程度が重いことを意味します。「重傷を負う」とは、事故や災害などで治るのに時間がかかるような重い怪我をした状態を指します。 怪我に対してのみ使用できる言葉であり、病気に対して用いることはできません。
つまり、重症とは怪我だけでなく病気にも使用できる言葉ですが、重傷とは怪我のみ使用できる言葉です。また、重症は比喩的にも用いられますが、重傷の比喩的用法はないことも、二つの言葉の違いになります。
重症を英語にすると「severe」「severely ill」「serious illness」となり、例えば上記の「重症化する」を英語にすると「advancing in severity」となります。
一方、重傷を英語にすると「serious injury」「serious wound」となり、例えば上記の「重傷者」を英語にすると「a seriously injured person」となります。
重症の意味
重症とは、病気や、その症状が重いこと、また、重い病気や症状を意味しています。
重症を使った分かりやすい例としては、「餅を詰まらせた80代男性が重症です」「重症度に基づいた治療を行う」「重症筋無力症の母が心配です」「重症心身障害児の医療ケアを考える」「向き癖による斜頭には重症度があります」などがあります。
その他にも、「あなたの先延ばし癖は重症ですね」「経験が少ない人ほど恋の病は重症化しがちです」「自分も性格悪いけどコイツも重症だと思う」「不倫は重症化する前にやめるべきでしょう」などがあります。
重症の「重」は訓読みで「おもい」と読み、程度がはなはだしいことを表します。病気の性質や状態を表す「症」と結び付き、重症とは、病気や症状が重いことを意味します。比喩的にも用いられ、物事の程度がひどいことも表す言葉です。
重症を用いた日本語には「重症度、医療・看護必要度」があります。「重症度、医療・看護必要度」とは、入院患者の状態を客観的に評価し、患者に必要な看護量を把握して適正な看護士配置を検討するための指標です。ある決められた項目を組み合わせて評価します。
重症の対義語・反対語としては、病気の症状の軽いものを意味する「軽症」などがあります。
重症の類語・類義語としては、重い病気を意味する「大病」、重い病気や重病の患者を意味する「重患」、重い病気や重病を意味する「大患」などがあります。
重傷の意味
重傷とは、程度の重い傷、また、大怪我を意味しています。
重傷を使った分かりやすい例としては、「自転車と歩行者の重傷事故が発生しました」「過去十年の交通事故重傷者の傾向を調べています」「住宅街で男性がクマに襲われて重傷を負う被害が発生した」などがあります。
その他にも、「後遺症が残る重傷を負ってしまった」「警察官は鼻の骨を折る重傷です」「英語の先生が事故で重傷を負ってずっと休んでいます」「運転者は全治三か月の重傷、同乗者は意識不明の重体です」などがあります。
重傷の「重」は程度が著しいこと、「傷」は皮膚や筋肉の裂けたり破れたりした所を表します。重傷とは、病気や症状が重い状態を指す言葉です。警察庁が交通事故の被害者数を集計する際の「重傷」は、1ヶ月以上の治療を要する程度の怪我と定義されています。
上記例文にある「重傷事故」とは、交通事故の被害者が治療に1カ月以上かかるような怪我をした場合を指す表現です。命には関わらないものの、生活に支障が出るような怪我をすることがほとんどです。
重傷の対義語・反対語としては、軽い傷や軽い怪我がを意味する「軽傷」、傷が無いことを意味する「無傷」などがあります。
重傷の類語・類義語としては、深い傷や重傷を意味する「深手」、刀や矢などの武器で身に受けた深い傷を意味する「痛手」、死の原因となる重い傷を意味する「致命傷」などがあります。
重症の例文
この言葉がよく使われる場面としては、病気や怪我などの重い症状、比喩的に好ましくないひどい癖や性格を表現したい時などが挙げられます。
例文4と例文5にある重症は、比喩的用法で、ひどい性格や癖を表現しています。
重傷の例文
この言葉がよく使われる場面としては、大きな怪我、深手、重創を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある交通事故統計の「重傷者」とは、交通事故によって負傷し30日以上の治療を要する怪我人と定義されています。
重症と重傷という言葉は、どちらも「じゅうしょう」と読む同音異義語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、重い病気だけでなく重い怪我も表現したい時は「重症」を、重い怪我のみを表現したい時は「重傷」を使うようにしましょう。