【用心】と【注意】と【留意】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「用心」(読み方:ようじん)と「注意」(読み方:ちゅうい)と「留意」(読み方:りゅうい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どれを使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「用心」と「注意」と「留意」という言葉は、どれも気を付けるという意味を持つという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




用心と注意と留意の違い

用心と注意と留意の意味の違い

用心と注意と留意の違いを分かりやすく言うと、気を付ける気持ちの度合いが、どの程度なのかの違いです。

用心>注意>留意

気を付けるという気持ちが強く出ている言葉から順に並べると、用心>注意>留意という順番になります。用心という言葉には「心」が入っているので「心から気を付ける」という意味だと覚えておくようにしましょう。

用心と注意と留意の使い分け方

用心という言葉は、「要心」と書かれることもあります。用心という字を使っても、要心という字を使っても、意味としては「心をくばり、万一に備えて警戒すること」となります。心の底から気を付けて、警戒をするのが「用心」という言葉の意味です。

「用心」と「注意」と「留意」という似た意味の言葉の中で、「警戒する」という強い意味の含まれる言葉は「用心」だけです。漢字を見てもわかるように、用心には「心」という字が含まれますが、他の二つには意識の「意」という字が含まれます。

用心が心から警戒するという意味なのに対して、他の二つの言葉は気を付けるように「意識」するという意味を持ちます。つまり、気を付ける程度としては、「用心」が一番強い意味を持つ言葉であると言えます。

それでは「注意」と「留意」はどのような違いがあるのでしょうか。「注意」という言葉は、ひとつのことに集中するという意味を持つ「注」という字と、意識の「意」という字から成り立っています。

つまり、ひとつのことに意識を集中させることを「注意」と表現すると言えます。多方面ではなく、ひとつに限定して意識を向けるという意味になるので、用心の次に強く物事に気を付けるという意味を持つ言葉です。

最後に「留意」という言葉を考えます。留意の「留」という字は、心にとどめておくという意味を持っています。「意」は上記でも示したように意識するという意味です。留意とは、心にとめて意識をすることを意味している言葉です。

注意がひとつのことに集中するのに対し、留意は広く物事を心にとめておくような意味を持ちます。あまり強い意志を持っている言葉ではなく、他者に対して使う際にも柔らかい表現となります。

留意は目上の人にも使える言葉で、自分よりも立場が上の人に対して、注意という言葉の代わりに使われることもあります。その場合は「言うまでもなく、ご理解いただけているかと存じますが、念のために気を付けてください」というような意味になります。

用心と注意と留意の使い分け方に悩んだ場合には、その言葉でどの程度、相手に気を付けてもらいたいのかを考えてみるようにしましょう。

用心の意味

用心とは

用心とは、心をくばって、万一に備えて警戒することを意味しています。心という漢字が入っていることで、命に関わるような物事について表現する際にも使用されます。

表現方法は「火の用心」「事故を起こさないように用心する」

例えば「火の用心」や「震災に用心する」、「事故を起こさないように用心する」などのように使われることの多い言葉です。精神力を使って気を付けることを用心と表現するのだと覚えておくようにしましょう。

用心の使い方

用心を使った分かりやすい例としては、「本番では用心するに越したことはない」「用心深い性格のせいで何事にも慎重になりすぎる」「用心することも大事だが、時には大胆にいかなければならないときもある」「住宅街では子供の飛び出しに常に用心する必要がある」などがあります。

用心の対義語

用心の対義語・反対語としては、用心が足りないことを意味する「不用心」があります。

用心の類語

用心の類語・類義語としては、危機や災害に備えて用心することを意味する「警戒」、心をくばることを意味する「配慮」などがあります。

用心の「用」という字を使った言葉には、確かなものと信じて受け入れることを意味する「信用」、 前もって必要なものをそろえて整えておくことを意味する「用意」、原理や知識を実際の事柄に当てはめて用いることを意味する「応用」などがあります。

用心の「心」という字を使った言葉には、細かいところまで心を配ることを意味する「細心」、心の中にある思いや感情を意味する「心情」、ある物事に心を引かれてそれにこだわることを意味する「執心」などがあります。

注意の意味

注意とは

注意とは、ひとつのことに集中して気を付けることを意味しています。注意の注という字は、ひとつの物事に集中するという意味があります。用心の次に強く気を付けることを表現する言葉です。

注意というのは、意識を何事かひとつに集中させて気を付けることを意味しています。用心のように心を向けるまではいきませんが、意識を強く向けている言葉です。多方面ではなく、一点に意識を向けているものであると覚えておくようにしましょう。

表現方法は「注意する」「注意される」「注意を払う」

「注意する」「注意される」「注意を払う」「注意した」などが、注意を使った一般的な表現方法です。

注意の使い方

注意を使った分かりやすい例としては、「よそ見をしている人に注意する」「職場では注意されるうちが華」「注意されると腹が立つのは誰しもがあることだ」「細心の注意を払うようにしてください」「十分な注意を払ってこの会合を進めてください」などがあります。

「足元にご注意ください」の意味

注意は、日常生活でもよく聞かれる言葉で、例えば乗り物の乗り降りの際に「足元にご注意ください」といったアナウンスが流れることがあります。これは、足元の一点に集中して気を付けてください、という意味です。

注意の類語

注意の類語・類義語としては、親身になって注意することを意味する「心添え」、心に留めて気をつけることを意味する「留意」などがあります。

注意の「注」という字を使った言葉には、注意深くじっと見ることを意味する「注視」、関心をもって見守ることを意味する「注目」、精神や力を一つの事に集中することを意味する「傾注」などがあります。

留意の意味

留意とは

留意とは、心にとどめて、気を付けることを意味しています。留意の留という字は、その場にとどめるという意味を持ちます。心の中に置いておいて、なるべく気を付けるという意味を持つのが留意です。

留意は、用心や注意よりも柔らかい意味を持つ言葉であり、なるべく気を付けてくださいという程度を示しています。また、目上の人に向かって使われることも多い言葉であり、心遣いを表現することが出来ます。

表現方法は「留意いたします」「留意ください」「留意が必要」

「留意いたします」「留意ください」「留意が必要」「健康に留意」「安全に留意」などが、留意を使った一般的な表現方法です。

留意の使い方

留意を使った分かりやすい例としては、「今後このようなことがないように充分に留意いたします」「ご留意くださいますようお願い申し上げます」「どうかこれからも安全と健康にご留意下さい」などがあります。

「健康にご留意くださいませ」の意味

例えば「健康にご留意くださいませ」という言葉は、私がわざわざ言わなくても十分に気を付けていらっしゃるでしょうけれど、なるべく健康には気を付けてくださいね、という意味になります。

目上の人に対して「あなたは私よりも年長なので、知識や経験が豊富であり、目下の私が言うまでもなく気を付けていらっしゃるとは思いますが、心配なので念のため気を付けてください」という気遣いを示すのが「留意」という言葉です。

留意とは、注意のように一点に集中して意識をするような言葉でもなく、ぼんやりと広範囲で気を付けてくださいという意味を持ちます。

留意の類語

留意の類語・類義語としては、物事をあらゆる面から注意することを意味する「考慮」、心を配ることを意味する「配意」、留意の同義語である「意に留める」などがあります。

留意の「留」という字を使った言葉には、転任や退任などをせずに今までの役職にそのままとどまることを意味する「留任」、そのまま保ちとどめておくことを意味する「保留」、物事が順調に進まずとどこおることを意味する「滞留」などがあります。

用心の例文

1.風邪をひかないよう、用心してね。
2.夜道を一人で歩く時は、くれぐれも用心して。
3.木造の家が減ってきて、火の用心の掛け声は、最近聞かなくなったね。
4.彼はとても用心深い性格だから、ある意味では信頼できる人物だと思うよ。
5.見知らぬ人からの電話には、くれぐれも用心しなくてはならない。

この言葉がよく使われる場面としては、心の底から万一に備えて警戒しなくてはならないことを表現する時などが挙げられます。

心という字が入っていることから、用心とは生命に関わるほどのことに気を付ける際にも使われる言葉だと覚えておくようにしましょう。

例文1のような場合は、風邪がとても流行っているから、くれぐれも警戒をしてくださいという強い意志を含んだ言葉になります。

また例文2などのように、身の危険があるかもしれないから気を付けてくださいという意味で使われたり、例文5のように万一に備えて警戒をするような意味を含む言葉として使われたりします。

用心、注意、留意の中で、一番強く「気を付ける」という意味を持っている言葉であると覚えておくようにしましょう。

注意の例文

1.健康には人一倍注意しているつもりだ。
2.息子は毎朝、朝顔をよく注意して観察しているようだ。
3.交通事故を起こさないように、くれぐれも注意して運転をする。
4.廊下は走らない!と、先生に注意されてしまった。
5.学校は子供たちの安全に、細心の注意を払っている。

この言葉がよく使われる場面としては、ひとつのことに集中して気を付けることを表す時などが挙げられます。注意の注というのは、何事かに集中するというような意味を持つ言葉です。

そのことから、なにかひとつの物事に対して特に気を付けておくという意味を持つ言葉が「注意」という表現です。例文1で考えてみると、健康という事柄について、特別に気を付けているという意味になります。

また、例文4のように「注意」という言葉は、他者に対しての忠告という意味でも使われることもあります。

注意とは、用心よりは少し柔らかい意味を持つ言葉であり、留意よりも強い意味を持つ言葉であると覚えておくようにしましょう。

留意の例文

1.健康に留意するよう、主治医の先生に言われた。
2.今回のイベント運営の留意点をまとめておいたので、各自確認をしておくようにお願いします。
3.次回の会議には役員も出席するので、各自服装には留意してください。
4.季節の変わり目ですので、体調にはご留意くださいませ。
5.留意事項は以下の通りですので、ご確認ください。

この言葉がよく使われる場面としては、心の中で意識的にとどめて気を付けてくださいね、という柔らかい意味合いを持った表現をしたい時などが挙げられます。あまり強い意味は含まず、用心や注意よりも、優しい表現になります。

留意という言葉は、目上の人に対しても使える言葉であり、気遣いの意味があるのでビジネスメールなどでもよく使われます。主に健康について気遣う際に「健康にはご留意ください」などと使われることが多い言葉です。

注意よりも柔らかく「気を付ける」という意味を伝えたい時などに「留意」と使うのだと覚えておくようにしましょう。

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