似た意味を持つ「孤独」(読み方:こどく)と「孤立」(読み方:こりつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「孤独」と「孤立」という言葉は、どちらも「ひとりぼっち」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
孤独と孤立の違い
孤独と孤立の違いを分かりやすく言うと、孤独とは一人で寂しいという主観的な概念、孤立とは一人でいるという客観的な概念という違いです。
一つ目の孤独を使った分かりやすい例としては、「幼い頃は常に孤独感を抱いていました」「孤独を感じたときの対処法を教えます」「孤独に負けない名言を一覧表にしました」「孤独・孤立対策推進法が施行されました」などがあります。
二つ目の孤立を使った分かりやすい例としては、「職場で孤立している気がして辛いです」「高齢者の社会的孤立を防止する」「クラスで孤立する夢を見ました」「スマホやSNSが社会的孤立を深める」などがあります。
孤独と孤立という言葉は、どちらも周囲との繋がりがなくひとりぼっちであるさまを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
孤独とは、仲間や身寄りがなく、ひとりぼっちであることを意味します。精神的なよりどころとなる人などがなく、寂しいというような主観的な概念を表す言葉です。「孤独感」とは、もの寂しい感情のことです。
孤立とは、他から離れて繋がりや助けがないことを意味します。他人からの助けがなく、ただ一人でいるという客観的な概念を表す言葉です。「孤立感」とは、周囲の人との関わりが少なく頼るものがない様子のことです。
つまり、孤独とは寂しさという主観的概念を表し、孤立とは仲間がいないという客観的概念を表現します。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
孤独を英語にすると「loneliness」「lonesomeness」「solitude」となり、例えば上記の「孤独感」を英語にすると「a sense of loneliness」となります。
一方、孤立を英語にすると「isolation」「helplessness」「alone」となり、例えば上記の「孤立している」を英語にすると「stand alone」となります。
孤独の意味
孤独とは、 仲間や身寄りがなく一人ぼっちであること、思うことを語ったり心を通い合わせたりする人が一人もなく寂しいことを意味しています。
その他にも、「みなしごと、年老いて子のない独り者」の意味も持っています。
「孤独で生きてるのがつらいです」「Z世代は最も孤独な世代だと言われています」「マリーゴールドの花言葉は孤独です」などの文中で使われている孤独は、「仲間や身寄りがなく一人ぼっちであること」の意味で使われています。
一方、「孤独死の増加が社会問題になっています」「孤独である友人を招いて食事会を開きました」「天涯孤独の人に終活のアドバイスをする」などの文中で使われている孤独は、「年老いて子のない独り者」の意味で使われています。
孤独とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。孤独の「孤」は両親と死に別れた子や独りぼっちで助けのないことを表し、「独」は連れ合いのない者やひとり者を表します。
孤独を用いた四字熟語には「天涯孤独」(読み方:てんがいこどく)があります。天涯孤独とは、遠く離れた異郷にただ一人暮らすこと、また、身寄りが一人もいないことを意味します。「天涯」は故郷を遠く離れた土地を表す熟語です。
孤独の対義語・反対語としては、多くの者が集まって一つの仲間となったものを意味する「団体」などがあります。
孤独の類語・類義語としては、心が満ち足りずもの寂しいことを意味する「寂寥」、何もなくむなしいことや空虚であることを意味する「虚無」、人に会いたい人と話がしたいという気持ちであるを意味する「人恋しい」などがあります。
孤立の意味
孤立とは、一つまたは一人だけ他から離れて、繋がりや助けのないことを意味しています。
孤立を使った分かりやすい例としては、「交通路が断たれて孤立無援になってしまった」「孤立主義のメリットとデメリットを論じる」「孤立死防止対策の取組事例を紹介します」「社会的孤立が自殺や犯罪に繋がることがあります」などがあります。
その他にも、「通信手段も断たれて孤立無援の窮地に陥る」「英語を孤立語扱いしてもいいのだろうか」「中国語で孤立語の文法的機能は語順によって示されます」「孤立性線維性腫瘍が鼻腔内に生じている」などがあります。
孤立の「孤」は訓読みで「みなしご」と読み、両親と離れた子や、ただ一人だけであることを表します。ある状態や事態にたち至ることを表す「立」と結び付き、孤立とは、一人ぼっちなこと、他の助けがなくただ一人でいることを意味します。
孤立を用いた日本語には「孤立集落」があります。孤立集落とは、外部との繋がりをもたない集落のことです。災害発生時に、外部からのアクセスが不可能になり、住民の生活維持が困難になる可能性のある集落を指す言葉です。
孤立の対義語・反対語としては、多くの人々が強く結び合ってまとまることを意味する「団結」、互いに関係をもちあうことを意味する「連帯」などがあります。
孤立の類語・類義語としては、ただ一つであることや他から独立していることを意味する「単独」、俗世間から離れてひとり自分の志を守ることを意味する「孤高」、自分ひとりで思うままに振る舞うことを意味する「一人天下」などがあります。
孤独の例文
この言葉がよく使われる場面としては、心の通じあう人などがなく寂しいこと、年とって子どものないひとりもの、身寄りのない者を表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「孤独死」とは、地域社会から孤立した人が、家族や医師など周囲の誰にも看取られずに死亡することです。
孤立の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他から離れて一つだけ立っているこ、仲間がいなく一人ぼっちなこと、対応するものがないことを表現したい時などが挙げられます。
例文5にある「孤立無援」とは、仲間がいずに一人ぼっちで、援助する者のいないことを意味する四字熟語です。
孤独と孤立という言葉は、どちらも「ひとりぼっち」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、一人で寂しいという主観的概念を表現したい時は「孤独」を、一人でいるという客観的概念を表現したい時は「孤立」を使うようにしましょう。