【羨望】と【嫉妬】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「羨望」(読み方:せんぼう)と「嫉妬」(読み方:しっと)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「羨望」と「嫉妬」という言葉は、うらやましい気持ちを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




羨望と嫉妬の違い

羨望と嫉妬の意味の違い

羨望と嫉妬の違いを分かりやすく言うと、羨望は憧れる気持ちを表し、嫉妬は憎む気持ちを表すという違いです。

羨望と嫉妬の使い方の違い

一つ目の羨望を使った分かりやすい例としては、「全国大会で優勝して羨望の的になる」「高級車を羨望の眼差しで見る」「名門の御曹司に羨望感を募らせる」「羨望心をなくしてマイペースに生きる」「良妻賢母のママ友を羨望する」などがあります。

二つ目の嫉妬を使った分かりやすい例としては、「嫉妬深い人とは付き合えない」「苦労がなく幸せな人をみると嫉妬心が沸く」「嫉妬が膨らんで苦しい気持ちだ」「恋人でもないのに嫉妬する権利はない」などがあります。

羨望と嫉妬という言葉は、他人の境遇や資質などが自分より優れている時に抱く感情を表す言葉です。羨望は、他人の能力や状態をみて自分もそうありたいと願うさまを意味するプラスの言葉です。嫉妬は、他人の能力や状態をみてねたましく憎むさまを意味するマイナスの言葉です。

上記の例の「良妻賢母のママ友を羨望する」とは、ママ友に対して敬意を払い、自分もそうありたいと憧れている様子を表します。これが「良妻賢母のママ友を嫉妬する」になると、ママ友に対して敵対心があり、うらやましくて憎らしく感じている様子を表します。

つまり、羨望と嫉妬は真逆の意味を持ち、相対する関係にあると言えます。しかしながら、人間の感情の変化として、プラスの感情である羨望から、マイナスの感情である嫉妬に変わることもあります。

羨望と嫉妬の英語表記の違い

羨望を英語にすると「envy」となり、例えば上記の「羨望の的」を英語にすると「an object of envy」となります。一方、嫉妬を英語にすると「jealousy」となり、例えば上記の「嫉妬深い人」を英語にすると「jealous person」となります。

羨望の意味

羨望とは

羨望とは、うらやむことを意味しています。

表現方法は「羨望する」「羨望を抱く」「羨望の念」

「羨望する」「羨望を抱く」「羨望の念」などが、羨望を使った一般的な表現方法です。

羨望の使い方

羨望を使った分かりやすい例としては、「社長賞を受賞し社内で羨望の的になる」「幸せそうな花嫁に羨望の目を向けた」「友人の成功を羨望する」「男女ともに羨望を集める人気ブランドのセールだ」などがあります。

その他にも、「彼女の容姿が羨望の眼差しを集める」「たくさんの後輩から羨望された人だった」「彼の人脈と金脈に羨望する」「都会の者からみると何もない土地が羨望の対象になる」などがあります。

羨望という言葉は、他の人が恵まれていたり、自分よりもすぐれていたりするのを見て、自分もそうありたいと思うことを意味します。憧れの気持ちを表す、プラスのイメージの言葉です。羨望を用いた言い回しには、「羨望の的」「羨望の眼差し」などがあります。

「羨望の的」の意味

「羨望の的」とは、うらやむまなざしを受ける対象を意味し、人々から、しきりにうらやましがられるさまを表します。上記の例の「社内で羨望の的になる」とは、社内の人々からうらやましがれらている様子を表しています。

「羨望の眼差し」の意味

「羨望の眼差し」とは、うらやましさや憧れの気持ちを持つ目つきを意味します。上記の例の「羨望の眼差しを集める」とは、人々から自分もそうありたいと憧れの気持ちを持って見られている様子を表しています。

羨望の類語

羨望の類語・類義語としては、なんとなくうらやましく思うことを意味する「物羨み」、うらやみ慕うことを意味する「羨慕」、あこがれの気持ちを意味する「憧憬」(読み方:しょうけい)などがあります。

羨望の望の字を使った別の言葉としては、熱心に望むことを意味する「熱望」、望んでいた以上によい結果であることを意味する「望外」などがあります。

嫉妬の意味

嫉妬とは

嫉妬とは、自分よりすぐれている人をうらやみねたむことを意味しています。

その他にも、自分の愛する者の愛情が他の人に向けられるのを恨み憎むこと、やきもちの意味もあります。

嫉妬の使い方

「デキル姉は嫉妬されやすい人だと自覚している」「嫉妬心をなくすには自分を磨くことだ」「仕事に関して嫉妬深い男だ」などの文中で使われている嫉妬は、「自分よりすぐれている人をうらやむこと」の意味で使われています。

一方、「恋人に嫉妬しない方法を知りたい」「裏切られた彼は嫉妬の化身となった」「認知症のひとつに嫉妬妄想がある」「彼女に嫉妬されて嬉しい」などの文中で使われている嫉妬は、「男女間のやきもち」の意味で使われています。

嫉妬という言葉は、上記の例のように二つの意味を持つ言葉ですが、うらやみ憎むマイナスの意味合いを持っています。「自分よりすぐれている人をうらやむこと」の意味では、人の能力や容姿などに使われ、「男女間のやきもち」の意味では、恋愛関係や夫婦関係などに使われます。

表現方法は「嫉妬に狂う」「嫉妬に駆られる」「嫉妬の嵐」

嫉妬を用いた言い回しには、「嫉妬に狂う」「嫉妬に駆られる」「嫉妬の嵐」などがあり、いずれも嫉妬の感情に激しく動かされることを意味します。理性では抑制できない、男女間のやきもちを表す時に使わることが多い表現です。

嫉妬の類語

嫉妬の類語・類義語としては、ねたみ憎む気持ちで見ることを意味する「嫉視」、嫉妬やねたみを意味する「やきもち」、男女間のことなどでやきもちをやくことを意味する「悋気」(読み方:りんき)などがあります。

嫉妬の妬の字を使った別の言葉としては、やきもちやきの女や嫉妬深い女を意味する「妬婦」、ねたむこころを意味する「妬心」などがあります。

羨望の例文

1.グラビアアイドルのスラっとした美脚には、同性として羨望の眼差しで見入ってしまう。
2.理想のファミリーとして羨望の的だった芸能人一家が、いまは一家離散している。
3.羨望の地「甲南山手」に住むことが夢だったが、マンションの値段を聞いて夢からさめた。
4.豊かな自然と美しい景観があり世界中が羨望する奇跡の島が、マリアナ諸島にあるらしい。
5.聞けば知っているし、意味も分かっているが、羨望の読み方が分からなかった。
6.富士山のご来光は、頂上に上った人だけが見られるの羨望の景色である。
7.今では見る影もないが、こんな私でも小学生の頃はバレンタインに山ほどチョコをもらい、クラスの男子の羨望の的だった。
8.俳優業で人々を魅了しいまや羨望の的である旧友と引きこもり生活を送り続ける私との差はいつ生まれてしまったのだろうかと自己嫌悪に陥った。
9.羨望を集めるだけために努力するよりも、自分のため他者のためになることをしようと努力した方が最終的には良い結果を生むだろう。
10.隣の芝生は青く見えるともいうように他人のものなら何にでも羨望を覚えてしまうかもしれないが、自分のものを見つめ直してみれば何かいいところが見つかるはずである。

この言葉がよく使われる場面としては、うらやむことを表現したい時などが挙げられます。

例文1や例文2のように、羨望は憧れの気持ちを伴うプラスのイメージの言葉です。例文3や例文4のように、羨望という言葉の対象は、人だけでなく土地や場所に対して使うことがあります。

嫉妬の例文

1.韓国ドラマには、ヒロインが嫉妬の化身となって、ありえない行動をするドロドロした恋愛ものが多い。
2.幸せそうな元カレへの嫉妬心をなくす方法を、ネットで検索してみた。
3.付き合ってみたら見かけによらず嫉妬深い男だったので、こじらせたら大変そうだ。
4.自己分析ではあっさりタイプなのに、嫉妬深い女の特徴が自分に当てはまっていて驚いた。
5.綺麗で賢くてスポーツ万能の彼女は、いかにも同性から嫉妬されやすい女性だろう。
6.友達に自分よりも仲の良い大切な友人が出来て、冷たい態度を取ってくることが多くなってきたので嫉妬してしまう自分がいる。
7.同じアマチュア選手として戦い続けてきた良きライバルがプロ入りするというニュースを、私は羨望とも嫉妬とも言える眼差しで見ていた。
8.彼女の言動がおかしいのは、転校生に対して嫉妬に狂っているからだ。
9.女友達と親しげに話していたところを彼女に見られてしまい、嫉妬されてしまったようで数日間話を聞いてくれず目も合わせてくれなかった。
10.ある富豪の豪勢すぎる生活様式について批判したところ友人に嫉妬しているだけではないのかと言われてしまい、図星で何も言い返せなかった。

この言葉がよく使われる場面としては、自分よりすぐれている人をうらやむこと、男女間のやきもちを表現したい時などが挙げられます。

例文1から例文3で使われている嫉妬は、男女間のやきもちを意味します。例文1にある「嫉妬の化身」とは、嫉妬がそのまま姿になって現れたかのように思える人、嫉妬でいっぱいの人を表します。例文5で使われている嫉妬は、自分よりすぐれている人をうらやむことを意味します。

羨望と嫉妬という言葉は、他人の境遇などが自分より優れている時に抱く感情を表す言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、自分もそうありたいと願い憧れるさまを表現したい時は「羨望」を、ねたましく憎むさまを表現したい時は「嫉妬」を使うようにしましょう。

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