【呑気】と【能天気】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「呑気」(読み方:のんき)と「能天気」(読み方:のうてんき)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「呑気」と「能天気」という言葉は、どちらも「のんびりしている様子」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




呑気と能天気の違い

呑気と能天気の意味の違い

呑気と能天気の違いを分かりやすく言うと、呑気とはのんびりした性格を表し、能天気とは考えが浅く慎重さに欠く様子を表すという違いです。

呑気と能天気の使い方の違い

一つ目の呑気を使った分かりやすい例としては、「定年退職後は呑気に暮らすつもりです」「何もせずに呑気に過ごす日を作りたい」「呑気な人はストレスがなさそうだ」「呑気な人が羨ましいです」などがあります。

二つ目の能天気を使った分かりやすい例としては、「テスト前に遊んでるなんて能天気なやつ」「能天気な人は楽観的に物事を捉える」「自分の能天気さを情けなく思いました」「私が能天気だと悪口を言われた」などがあります。

呑気と能天気の使い分け方

呑気と能天気という言葉は、どちらも些細なことにこだわらず、のんびりとしているさまを表しますが、意味や使い方には違いがあります。

呑気とは、気が長いことを表し、性格や気分がのんびりとしていること、物事にあまり気をつかわないことを意味します。また、気晴らしをするという意味もありますが、この意味ではあまり使用されなくなっています。

能天気とは、軽薄で先のことを考えずに行動するさまを意味します。ポジティブで明るいイメージで使用されることもありますが、ほとんどの場合、何も考えていないという悪い意味で用いられています。そのため、使い方に注意が必要な言葉です。

二つの言葉を比べると、呑気よりも能天気の方が、ネガティブなニュアンスがある言葉だと言えるでしょう。

呑気と能天気の英語表記の違い

呑気を英語にすると「easy」「carefree」「unworried」となり、例えば上記の「呑気に暮らす」を英語にすると「live an easy life」となります。

一方、能天気を英語にすると「happy-go-lucky」「easygoing」「thoughtless」となり、例えば上記の「能天気なやつ」を英語にすると「happy-go-lucky guy」となります。

呑気の意味

呑気とは

呑気とは、性格や気分がのんびりとしていること、こせこせしないことを意味しています。

その他にも、「気晴らしをすること、気散じをすること」の意味も持っています。

呑気は「暢気」「暖気」とも書く

呑気は「暢気」「暖気」とも書きますが、一般的には「呑気」と表記されています。

呑気の読み方

呑気の読み方は「のんき」です。ただし、医療用語の「呑気症」は「どんきしょう」と読みます。

表現方法は「呑気な人」「呑気な性格」「呑気に構える」

「呑気な人」「呑気な性格」「呑気に構える」などが、呑気を使った一般的な言い回しです。

呑気の使い方

「心配せずに呑気に構える」「周囲の人から呑気と言われたことがありますか」「職場の呑気な人にイライラしてしまう」「君の呑気さが羨ましいよ」などの文中で使われている呑気は、「性格や気分がのんびりとしていること」の意味で使われています。

一方、「呑気するために休暇をとりました」「大自然を満喫して呑気しよう」「趣味の園芸で呑気する」「週末は芸術に触れて呑気しました」などの文中で使われている呑気は、「気晴らしをすること」の意味で使われています。

呑気とは、上記の例文にあるように二つの意味がありますが、「気晴らしをすること」の意味で使用されることはほとんどなく、「性格や気分がのんびりとしていること」の意味で用いられています。

呑気の語源

呑気の語源は、中国語の「暖気」に由来します。中国では「暖気」をあたたかい気候の意味で用いていましたが、日本では「のんき」と読んで野山に遊びに行くことを指しました。転じて、心理的な意味合いで使用されるようになりました。「呑気」「暢気」と書くのは、「暖気」の当て字です。

呑気の対義語

呑気の対義語・反対語としては、すぐ怒ったりいらいらしたりすることを意味する「短気」、忍耐がなく性急で気ぜわしいことを意味する「せっかち」などがあります。

呑気の類語

呑気の類語・類義語としては、心配や苦労がなくのんびりとしていられることを意味する「気楽」、心身の苦痛や生活の苦労がなく楽々としていることを意味する「安楽」、勝手なことを言ってのんきにしていることを意味する「太平楽」などがあります。

能天気の意味

能天気とは

能天気とは、軽薄でむこうみずであること、呑気でばかげていることを意味しています。

能天気は「能転気」「脳天気」とも書く

能天気は「能転気」「脳天気」とも書きますが、一般的には「能天気」と表記されています。

表現方法は「能天気な人」「能天気な性格」「能天気すぎる」

「能天気な人」「能天気な性格」「能天気すぎる」などが、能天気を使った一般的な言い回しです。

能天気の使い方

能天気を使った分かりやすい例としては、「あいつは脳内お花畑で能天気なやつだ」「能天気な人はどんな性格をしていますか」「英語の先生は能天気な人です」「悪口であなたを能天気だと言ったのではありません」などがあります。

その他にも、「なんて軽はずみで能天気な人なんだ」「夫の能天気さ呆れてしまいました」「能天気な人はポジティブ思考なのだろうか」「能天気スタイルで生きていこうと思う」「彼は能天気で悩みがなさそうだ」などがあります。

能天気とは、考えが浅く安直で軽はずみであるさまを意味します。物事を深く考えたり先のことを心配したりせず、軽々しく行動する人に対して使用されています。誉め言葉とは言えず、ネガティブな意味合いをもつ言葉なので、使い方には注意が必要です。

能天気の語源

能天気の語源は、文字通り「頭の中が晴れているように、何も考えていない」という比喩に由来します。能天気という言葉は、最近できた造語ではなく、江戸時代の書物にも登場するくらい古くから用いられています。

能天気の対義語

能天気の対義語・反対語としては、先行きに望みはないと考えるさまを意味する「悲観的」、細かいことまでいちいち気に病むさまを意味する「神経質」などがあります。

能天気の類語

能天気の類語・類義語としては、簡単で手軽なさまを意味する「安直」、 仕事を最後までやり遂げずに途中で投げ出すさまを意味する「いい加減」、いいかげんに物事をすませることを意味する「おざなり」などがあります。

呑気の例文

1.呑気な人は、自分のペースでできるフリーランスの仕事が向いているでしょう。
2.常に時間に追われて仕事をしている看護師に、呑気な人はいないと思います。
3.自分が呑気症ではないかと心配になって、ネットの情報でセルフチェックしました。
4.友人から呑気と言われたことがありますが、自分ではせっかちな方だと思っています。
5.事情を知らないのに、彼のことを怠け者の呑気暮らしと悪口を言ってしまいました。
6.彼女は呑気に構えているが、実は内心では多くのことを考えているのかもしれません。
7.私は受験生でこんな呑気に遊んでいる場合ではないのだが、つい誘惑に負けてしまう。
8.僕なんかちょっとしたことで不安になったりイライラしてしまうものだから、君の呑気さが羨ましいよ。
9.前は仕事が暇になると、公園に行って自然に触れて呑気したりすることもあったが、最近は忙しくてね。
10.彼が落ち着いているのは呑気な性格だからなのだが、交渉相手にはドンと構えているように見えるのかもしれないね。

この言葉がよく使われる場面としては、気楽なこと、気が長いことを表現したい時などが挙げられます。

例文1や例文2にある「呑気な人」とは、マイペースで細かいことを気にせず、くよくよと思い悩まない人などを意味します。例文3の「呑気症」(読み方:どんきしょう)とは、「空気嚥下症」とも言い、空気を大量に飲み込んでしまうことによって、ゲップやオナラがたくさん出る症状のことです。

能天気の例文

1.心配性の私は母の能天気さにイライラしてしまうが、時おり羨ましくもあります。
2.能天気な人は良い意味で気持ちが前向きだが、悪い意味では雑な考えの持ち主である。
3.能天気よりも脳天気の方がバカっぽさが強調される感じがするので、能天気と書くようにしています。
4.人のことを能天気というのは悪口だと思うので、なるべく言わないようにしています。
5.あなたの性格は明るくポジティブであって、能天気と思ったことは一度もないよ。
6.私は能天気な性格なので、かえって失敗を恐れずに新しいチャレンジに取り組むことができるのかもしれません。
7.新しい上司の第一印象は最悪で、あんな能天気な上司でうまく仕事が回っていくのか、心配になりました。
8.彼の能天気な発言は、時には状況の深刻さを理解していないように受け取られることがあります。
9.彼は周りから脳内お花畑で能天気なやつだとバカにされていたが、いざ成功すると手のひら返しをしてきました。
10.今は親族を巻き込み大変なことになっているのに、夫の能天気さ呆れてしまいました。

この言葉がよく使われる場面としては、のんきで何事も深く考えないさまを表現したい時などが挙げられます。

例文3にある能天気と脳天気の違いは、語感が異なるものですが、意味や使い方に違いはありません。ただし、辞書によっては「脳天気」の見出しはないので、「能天気」と表記することが正しいと言えます。

呑気と能天気という言葉は、どちらも「のんびりしている様子」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、のんびりしている性格を表現したい時は「呑気」を、深く考えずに安直に行動する様子を表現したい時は「能天気」を使うようにしましょう。

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