似た意味を持つ「気兼ねなく」(読み方:きがねなく)と「心置きなく」(読み方:こころおきなく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「気兼ねなく」と「心置きなく」という言葉は、どちらも遠慮しないことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「気兼ねなく」と「心置きなく」の違い
「気兼ねなく」と「心置きなく」の意味の違い
「気兼ねなく」と「心置きなく」の違いを分かりやすく言うと、「気兼ねなく」とは遠慮なく物事に取り組めること、「心置きなく」とは安心して物事に取り組めることという違いです。
「気兼ねなく」と「心置きなく」の使い方の違い
一つ目の「気兼ねなく」を使った分かりやすい例としては、「彼は気兼ねななく相談できる人です」「今日は貸し切りなので気兼ねなく楽しめる」「ご要望などがありましたら気兼ねなく仰ってください」「彼女とは気兼ねなく話すことができます」などがあります。
二つ目の「心置きなく」を使った分かりやすい例としては、「皆様に心置きなく楽しんでいただくためにスタッフも全力を尽くしております」「お酒を心置きなく飲める友達が欲しい」「彼女となら心置きなく話し合える」「テストを終えたので心置きなくゲームができる」などがあります。
「気兼ねなく」と「心置きなく」は、遠慮しないでという共通の意味を持っているのですが、「心置きなく」には安心して物事に取り組めることという意味もあるのが違いになります。
「気兼ねなく」と「心置きなく」の使い分け方
遠慮しないでという意味の場合はお互いに置き換えることができます。例えば上記の「ご要望などがありましたら気兼ねなく仰ってください」を「ご要望などがありましたら心置きなく仰ってください」とすると、どちらもご要望があったら遠慮しないで言ってくださいという意味になります。
一方、安心して物事に取り組めることという意味では置き換えることができません。
例えば上記の「テストを終えたので心置きなくゲームができる」を「テストを終えたので気兼ねなくゲームができる」とすると、テストが終わったので遠慮なくゲームできるという意味になります。遠慮は基本人に対して使う言葉なので、少し違和感のある文章になってしまいます。
「気兼ねなく」と「心置きなく」の英語表記の違い
「気兼ねなく」を英語にすると「without hesitation」「without constraint」「feel free」となり、例えば上記の「彼女とは気兼ねなく話すことができます」を英語にすると「I feel free to talk to her」となります。
一方、「心置きなく」を英語にすると「without anxiety」「without freely」となり、例えば上記の「彼女となら心置きなく話し合える」を英語にすると「I can discuss the matter with her candidly and without reserve」となります。
「気兼ねなく」の意味
「気兼ねなく」とは
「気兼ねなく」とは、遠慮しないことを意味しています。
「気兼ねなく」の使い方
「気兼ねなく」を使った分かりやすい例としては、「私と彼女は気兼ねなく話せる仲です」「このお店は個室なので気兼ねなく食事することができます」「ご不明な点があれば気兼ねなくご相談ください」「お探しの商品があれば気兼ねなくお尋ねください」などがあります。
「気兼ねなく」は、他の人に気を使うことや遠慮という意味を持つ「気兼ね」を、否定する意味を持つ「ない」で打ち消した言葉になります。そのため、「気兼ね」とは反対の「気軽に」や「遠慮なく」という意味で使われています。
また、「気兼ねなく」はビジネスシーンと日常生活の両方で使うことができます。
表現方法は「気兼ねなく接する」「気兼ねなく楽しむ」「気兼ねなく会える」
「気兼ねなく接する」「気兼ねなく楽しむ」「気兼ねなく会える」「気兼ねなく話せる」「気兼ねなく仰ってください」「気兼ねなくご相談ください」「気兼ねなくご連絡ください」「気兼ねなく遊ぶ」などは、「気兼ねなく」を使ったよくある表現方法になります。
「気兼ねなく」の類語
「気兼ねなく」の類語・類義語としては、遠慮したり控えたりしないように促すことを意味する「遠慮なく」、配慮や心配しないで大丈夫ということを意味する「気にせず」、遠慮や気兼ねをしなくていいことを意味する「忌憚なく」(読み方:きたんなく)などがあります。
「気兼ねなく」の兼の字を使った別の言葉としては、二つのものが上手く釣り合いを保つことを意味する「兼ね合い」、兼ねてから約束しておくことを意味する「兼束」、言いたくも言えないでいることを意味する「言い兼ねる」などがあります。
「心置きなく」の意味
「心置きなく」とは
「心置きなく」とは、安心して物事に取り組めることを意味しています。その他にも、遠慮しないことの意味も持っています。
「心置きなく」の使い方
「試験が無事終わったので心置きなく遊ぶことができる」「心置きなく飲める運転代行サービスを利用した」などの文中で使われている「心置きなく」は、「安心して物事に取り組めること」の意味で使われています。
一方、「ここを自分の家だと思って心置きなく休んでください」「心置きなく付き合える友人が欲しい」などの文中で使われている「心置きなく」は、「遠慮しないこと」の意味で使われています。
「心置きなく」は、安心して物事に取り組めることすることと、遠慮しないことという二つの意味を持つ言葉になります。また、どちらの意味でも使われている言葉です。
「心置きなく」の漢字表記
「心置きなく」を漢字にすると、「心置き無く」となりますが、一般的にはひらがな表記の「心置きなく」が使われています。
表現方法は「心置きなく楽しむ」「心置きなく飲める」「心置きなく休む」
「心置きなく楽しむ」「心置きなく飲める」「心置きなく休む」などの、「心置きなく+動詞」が「心置きなく」を使ったよくある表現方法になります。
「心置きなく」の類語
「心置きなく」の類語・類義語としては、自分の意のままに振る舞うことができることを意味する「自由」、押さえられることもなくゆったりと落ち着きのあることを意味する「伸び伸び」、物事を思い通りにすることを意味する「存分」などがあります。
「心置きなく」の心の字を使った別の言葉としては、喜びや楽しい期待のために心がわくわくすることを意味する「心が躍る」、本当の気持ちで言動がなされることを意味する「心から」、互いに心を知り合うことを意味する「心知り」などがあります。
「気兼ねなく」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、遠慮しないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、日常生活とビジネスシーンの両方で使うことができます。
「心置きなく」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、安心して物事に取り組めることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、遠慮しないことを表現したい時にも使います。
例文1から例文3は、安心して物事に取り組めることの意味で使っており、例文4は遠慮しないことの意味で使っています。
「気兼ねなく」と「心置きなく」を遠慮しないことの意味で使う場合は、どちらの言葉を使っても問題はありません。ただし、安心して物事に取り組めることの意味で使う場合は、「心置きなく」を使用すると覚えておきましょう。