似た意味を持つ「労る」(読み方:いたわる)と「労う」(読み方:ねぎらう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「労る」と「労う」という言葉は、どちらも感謝することを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「労る」と「労う」の違い
「労る」と「労う」の意味の違い
「労る」と「労う」の違いを分かりやすく言うと、「労る」とは弱っている人を励ますこと、「労う」とは頑張っている人に感謝することという違いです。
「労る」と「労う」の使い方の違い
一つ目の「労る」を使った分かりやすい例としては、「高齢者を労ることは大切です」「病人を労る」「長年使っている靴を労る」「試合でミスをした選手を労る」「肝臓を労るお酒の飲み方を学んだ」「病人を労る」などがあります。
二つ目の「労う」を使った分かりやすい例としては、「敗れた選手達を労う」「従業員を労う飲み会を開いた」「自分を労うのはあまり得意ではない」「完投勝利した投手を労う」「残業してくれた社員を労う」「私たちは彼女の勤労を労うために食事会をした」などがあります。
「労る」と「労う」の使い分け方
「労る」と「労う」は感謝するという似た意味を持つ言葉なのですが、使い方に違いがあります。「労る」は病人、老人、子供などの弱い立場の人に同情の気持ちを持って接する場合に使う言葉です。
もう一方の「労う」は、同等や目下の人の苦労や骨折に感謝した場合に使う言葉になります。
上記でも書いたように、「労る」と「労う」は使う対象が違うと覚えておきましょう。「労る」は病人、老人、子供などの弱い立場の人に使うのに対し、「労う」は同等か目下の人に対して使います。また、「労う」は目上の人に対しては使っていけません。
その他の違いとしては、「労う」は人に対して使わないのに対して、「労る」はものに使うことができるというのも違いになります。例えば、「長年乗っている愛車を労う」とは言いませんが、「長年乗っている愛車を労る」は言うことができます。
「労る」と「労う」を合わせたような言葉として「労をねぎらう」があります。「労をねぎらう」とは、「感謝して労る」という意味になります。この場合の「ねぎらう」は「労う」と漢字で表記するのではなく、ひらがなで表記するようにしましょう。
「労る」と「労う」は同じ「労」(読み方:ろう)を使う言葉ですが、読み方が全く異なっているので注意する必要があります。
「労る」と「労う」の英語表記の違い
「労る」を英語にすると「care for」「be considerate 」「be kind」「appreciate」となり、例えば上記の「病人を労る」を英語にすると「care for a sick person」となります。
一方、「労う」を英語にすると「reward」「thank」となり、例えば上記の「私たちは彼女の勤労を労うために食事会をした」を英語にすると「We had a dinner party in order to thank her」となります。
「労る」の意味
「労る」とは
「労る」とは、弱い立場にある人などに同情の気持ちを持って親切に接することを意味しています。その他にも、労をねぎらうことや手当を加えるという意味も持っています。
「労る」の使い方
「労る」を使った分かりやすい例としては、「年寄りを労りたい」「自分を労る時間は大切にしよう」「長い間使っているグローブを労る」「患者を労る」「体を労る食事をするように心掛ける」「風邪で飲み会に来れない友達を労る」などがあります。
「労る」は複数の意味を持つ言葉ですが、一般的に使われているのは、弱い立場にある人などに同情の気持ちを持って親切に接することや労をねぎらうことの意味になります。
「労る」は人と物の両方に使える言葉と覚えておきましょう。人に使う場合は、老人、子供、病人、後輩など、自分よりも弱い立場の人に対して使います。また、「自分を労る」のように、自分自身に対しても使うことができます。
表現方法は「体を労る」「相手を労る」「自分を労る」
「体を労る」「相手を労る」「自分を労る」といったように「〇〇を労る」という形で使うのが、「労る」を使った一般的な表現な方法になります。また、日常生活とビジネスシーンの両方で使える言葉です。
「労る」の類語
「労る」の類語・類義語としては、ありがたいと思う気持ちを表すことを意味する「感謝」、苦労を労うことを意味する「慰労」などがあります。
「労る」の労の字を使った別の言葉としては、体を使って働くことを意味する「労働」、報酬を受ける目的で行う労働勤務のことを意味する「労務」、何かをするために心身を働かせることを意味する「労力」、心身を労して仕事に励むことを意味する「勤労」などがあります。
「労う」の意味
「労う」とは
「労う」とは、同等や目下の人の苦労や骨折りに感謝することを意味しています。
「労う」の使い方
「労う」を使った分かりやすい例としては、「日本人は自分を労うのが下手です」「覚悟を持って戦い抜いた選手を労う」「部下に労いの言葉を伝えるのは重要です」「選手達の労を労うパーティーを開いた」「引退する選手を労う」などがあります。
「労う」は同等や目下の人や努力や苦労をした際に、その頑張りに対して感謝するという意味で使う言葉になります。決して、目上の人に対しては使ってはいけないと覚えておきましょう。
「労う」のよく使われる場面としては、ビジネスシーンとスポーツシーンです。ビジネシーンの場合は上司から部下へ、スポーツシーンの場合は監督から選手へ使う言葉になります。
「ねぎらう」は一般的には「労う」と表記しますが、「犒う」と表記することもできます。ただし、「犒う」は常用漢字ではないため、「労う」を使う方が良いでしょう。
表現方法は「労を労う」「自分を労う」
「労を労う」や「自分を労う」といったように「〇〇を労う」という形で使うのが、「労う」を使った一般的な表現方法になります。
「労う」の類語
「労う」の類語・類義語としては、褒め称えることを意味する「称美」、すぐれた行為や作品などを褒め称えることを意味する「褒賞」、報いることを意味する「報答」、感謝の気持ちを表すための言葉のことを意味する「謝礼」などがあります。
「労る」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、弱い立場にある人などに同情の気持ちを持って親切に接することを表現したい時などが挙げられます。その他にも、労をねぎらうことや手当を加えることを表現したい時にも使います。
例文1や例文2は、弱い立場にある人などに同情の気持ちを持って親切に接することの意味で使われています。また例文3は、労をねぎらうことの意味で使っています。
「労う」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、同等や目下の人の苦労や骨折りに感謝することを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、ビジネスシーンやスポーツシーンで使われる言葉が多いです。
「労る」と「労う」どちらを使うか迷った場合は、弱っている人を励ます場合は「労る」を、頑張っている人に感謝する場合は「労う」を使うと覚えておけば間違いありません。