同じ「ゆゆしき」という読み方の「忌々しき」と「由々しき」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「忌々しき」と「由々しき」という言葉は同義語で、どちらも「放置しているとあとで大事になること」という同じ意味を持ちますが、それぞれの言葉の使い方には少し違いがあります。
「忌々しき」と「由々しき」の違い
「忌々しき」と「由々しき」の意味の違い
「忌々しき」と「由々しき」の違いを分かりやすく言うと、「忌々しき」は常用漢字表に載っていない、「由々しき」は常用漢字表に載っているという違いです。
「忌々しき」と「由々しき」は、放置しているとあとで大事になるという全く同じ意味を持つ言葉です。
「忌々しき」は常用外漢字
「忌々しき」の「忌」は常用外漢字表には載っているものの、「ゆゆしき」という読み方では載っていないため、代用字として、常用漢字の「由」を用いた「由々しき」が使われるようになりました。
「由々しき」は公用文で使える
「由々しき」は文化庁が定める常用漢字表に記載されているため法令や新聞などで使用できますが、「忌々しき」は常用漢字表に記載されていないため法令や新聞などで使用できません。そのため、公的な書類などに記載する際には「由々しき」を使う方が良いでしょう。
また、「忌々しき」は「由々しき」と全く同じ意味の言葉であり、公的な書類など以外は、どちらの漢字を使っても間違いではないことを覚えておきましょう。使いやすい方の漢字を使って良いものなので、好みに合わせて使い分けることが可能です。
「忌々しき」と「由々しき」の英語表記の違い
「忌々しき」も「由々しき」も英語にすると「grave」「serious」となり、例えば「これは本当に由々しき事態です」を英語にすると「This is really something grave」となります。
「忌々しき」の意味
「忌々しき」とは
「忌々しき」とは、放置しているとあとで大事になることを意味しています。
「忌々しき」の使い方
「忌々しき」を使った分かりやすい例としては、「官僚が不正を行うなんて忌々しき事態です」「新型コロナウイルスに感染していたにも関わらず外出したのは忌々しき問題です」「これは極めて忌々しき状況です」などがあります。
「忌々しき」の語源
「忌々しき」の「忌」という字は、「キ」「いむ」「いまわしい」と読むのが一般的です。そのため「ゆゆしき」と読むのには馴染みがない人がほとんどでしょう。「忌」は、嫌なこととして避けること、亡くなった人の命日、喪に服する期間という意味です。
表現方法は「忌々しき事態」「忌々しき問題」「忌々しき状況」
「忌々しき事態」「忌々しき問題」「忌々しき状況」「忌々しき行為」などが、「忌々しき」を使った一般的な表現方法になります。
「忌々しき」の類語
「忌々しき」の類語・類義語としては、不愉快に思う気持ちのことを意味する「不快感」、腹が立つことを意味する「癪に障る」(読み方:しゃくにさわる)などがあります。
「忌々しき」の忌の字を使った別の言葉としては、嫌って避けることを意味する「忌み嫌う」(読み方:いみきらう)、遠慮をしないことを意味する「忌憚のない」(読み方:きたんのない)、嫌って避けることを意味する「忌避」(読み方:きひ)などがあります。
「由々しき」の意味
「由々しき」とは
「由々しき」とは、放置しているとあとで大事になることを意味しています。
「由々しき」の使い方
「由々しき」を使った分かりやすい例としては、「もしこの件が事実であれば由々しき事態です」「不正を行っていたなんて由々しき問題だ」「この現状を試みると誠に由々しき状況です」「人権を脅かす由々しき行為をしてはいけない」などがあります。
「由々しき」は放置しているとあとで大事になることを意味しており、簡単に言うならば、このまま放っておいたら将来大問題になるという意味です。そのため、テレビのニュースなどで見かけることも多いでしょう。
「由々しき」の由来
「忌々しき」の「忌」は常用外漢字表には載っているものの、「ゆゆしき」という読み方では載っていないため、代用時として常用漢字である「由」が使われたことで「由々しき」という言葉が生まれました。
この代用字というのは、他の単語でも使用されるものです。例えば、本来は「渾沌」であるところを「混沌」と表記するのが代用字です。本来の字が難しい字面であったり、常用漢字ではない場合に代用字が使われます。
公的な書類などに記載する際には、常用漢字である「由」を使って「由々しき」とする方が良いでしょう。「忌々しき」という漢字の方が、最初からあった表記であるというだけで、どちらの字でも意味は全く同じです。
表現方法は「由々しき事態」「由々しき問題」「由々しき状況」
「由々しき事態」「由々しき問題」「由々しき状況」「由々しき行為」などが、「由々しき」を使った一般的な表現方法になります。
「由々しき」の類語
「由々しき」の類語・類義語としては、放置できない重大な出来事を意味する「一大事」、あることを目にしていながらそのまま放っておくことを意味する「看過」、してはならないことを意味する「一線を超える」などがあります。
「由々しき」の由の字を使った別の言葉としては、物事の起こりのことを意味する「由緒」、事の起こりのことを意味する「由縁」、理由のないことを意味する「由無し」、事柄が生じた原因のことを意味する「事由」、勝って気ままなことを意味する「自由」などがあります。
「忌々しき」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、放置しているとあとで大事になることを表現したい時などが挙げられます。
例文2や例文4のような、「忌々しき事態」という表現はよく使われています。
「由々しき」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、放置しているとあとで大事になることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「由々しき事態」「由々しき状況」などのフレーズで、テレビのニュースや新聞などで使われることが多い言葉です。
「忌々しき」の「忌」は常用外漢字表には載っているものの、「ゆゆしき」という読み方では載っていないため、代用字として常用漢字である「由」が出来たのが「由々しき」という言葉です。意味合いとしては全く同じものであり、どちらの漢字を使っても問題ありません。
「忌々しき」と「由々しき」どちらを使うか迷った際は、公的な書類などに記載する場合は常用漢字である「由」を使った「由々しき」とする方が良いでしょう。その他の場合には、個人の好みによって好きな方の表記を使うことができます。