似た意味を持つ「やましい」と「後ろめたい」(読み方:うしろめたい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「やましい」と「後ろめたい」という言葉は、どちらも良心に恥じるところがあって心にかかる感じであることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「やましい」と「後ろめたい」の違い
「やましい」と「後ろめたい」の意味の違い
「やましい」と「後ろめたい」の違いを分かりやすく言うと、「やましい」は述語として使えない、「後ろめたい」は述語として使えるという違いです。
「やましい」と「後ろめたい」の使い方の違い
一つ目の「やましい」を使った分かりやすい例としては、「何もやましいことはしていませんよ」「カンニングをしたあとやましいことをしたと後悔しました」「あなたはやましい気持ちがあるから答えられないのだ」などがあります。
二つ目の「後ろめたい」を使った分かりやすい例としては、「両親を裏切ったようで後ろめたいです」「後ろめたいことがあるのか彼は急に話題を変えました」「問い詰められて彼女は後ろめたそうな顔をしました」などがあります。
「やましい」と「後ろめたい」の使い分け方
「やましい」と「後ろめたい」はどちらも良心に恥じるところがあって心にかかる感じであることを意味しており、大きな違いはありません。あえて違いを挙げるならば、「やましい」は述語として使えないのに対して、「後ろめたい」は述語として使えるという点です。
述語とは文末にあり、主語を詳しく説明する言葉になります。
「やましい」と「後ろめたい」は基本的に置き換えることができる言葉ですが、「彼氏に内緒で元カレと会っていたことが後ろめたい」のように述語として使う場合は置き換えることはできません。
一方、「私には後ろめたいことは何もありません」のように修飾語で使う場合は、「私には何もやましいことはありません」と置き換えることが可能です。
「やましい」と「後ろめたい」の英語表記の違い
「やましい」を英語にすると「guilty」「ashamed」となり、例えば上記の「あなたはやましい気持ちがあるから答えられないのだ」を英語にすると「You cannot answer me because you have a guilty conscience」となります。
一方、「後ろめたい」を英語にすると「ashamed」「uneasy」「guilty」となり、例えば上記の「問い詰められて彼女は後ろめたそうな顔をしました」を英語にすると「She looked distinctly uneasy when questioned closely」となります。
「やましい」の意味
「やましい」とは
「やましい」とは、良心がとがめることを意味しています。
「やましい」の漢字表記
「やましい」を漢字にすると、「疚しい」や「疾しい」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの「やましい」を使うようにしましょう。
表現方法は「やましいこと」「やましい気持ち」「やましい関係」
「やましいこと」「やましい気持ち」「やましい関係」「やましい心」などが、「やましい」を使った一般的な言い回しになります。
「やましい」の使い方
「やましい」を使った分かりやすい例としては、「私は何らやましいことはありません」「母はやましことをする人ではありません」「妻に内緒で競馬場へ行きやましい気持ちになりました」「やましいことがないなら携帯を見せられるはずです」などがあります。
「やましい」は良心がとがめることの他に、病気であるような気がすることや不満やあせりを感じることの意味もありますが、古文でのみ使われていた表現であり、現代ではほとんど使われていないと覚えておきましょう。
「やましい」はビジネスシーンや恋愛シーンなど、様々な場面で使うことができる言葉です。また、気まずい気持ちを表現する場合に使うため、基本的にマイナスなイメージで使います。
「やましい」は述語として使えないのが特徴です。基本的に修飾語としてのみ使うと覚えておきましょう。
「やましい」の語源
「やましい」の語源は古文で使われていた病気であるような気がすることや不満やあせりを感じることの意味です。心が病んだり不安だったりすることが転じて、良心がとがめることの意味で使われるようになりました。
「やましい」の類語
「やましい」の類語・類義語としては、なんとなく恥ずかしいを意味する「気恥ずかしい」、恥ずかしくて顔向けできないことを意味する「面目ない」、悪い事をした自分に対して自分自身の良心から苦しむことを意味する「良心の呵責」などがあります。
「後ろめたい」の意味
「後ろめたい」とは
「後ろめたい」とは、自分に悪い点があって気がとがめることを意味しています。
表現方法は「後ろめたい気持ち」「後ろめたいこと」「後ろめたさを感じる」
「後ろめたい気持ち」「後ろめたいこと」「後ろめたさを感じる」などが、「後ろめたい」を使った一般的な言い回しになります。
「後ろめたい」の使い方
「後ろめたい」を使った分かりやすい例としては、「私には後ろめたい過去があります」「私は後ろめたいことなど一つもありませんよ」「彼女に養ってもらっていることを後ろめたいと感じる」「後ろめたいことがあるのか彼は急に携帯を隠しました」などがあります。
「後ろめたい」は自分に悪い点があって気がとがめることの他に、自分の目が届かず不安であることや油断がならないことの意味もありますが、古文でのみ使われていた表現であり、現代ではほとんど使われていないと覚えておきましょう。
「後ろめたい」はビジネスシーンや恋愛シーンなど、様々な場面で使うことができる言葉です。また、気まずい気持ちを表現する場合に使うため、基本的にマイナスなイメージで使います。
「後ろめたい」は述語でも修飾語でも使うことができるというのが特徴です。そのため、幅広い場面で使うことができると覚えておきましょう。
「後ろめたい」の語源
「後ろめたい」の語源は「後ろ目痛し」です。「後ろ目痛し」とは見ることのできない背後のことが気になって心が痛いというニュアンスで、後ろを他人に見られている不安から油断できないや気が許せないという意味で使われていました。
この他人に見られていて自分にとても不安がある状態が転じて、自分に悪い点があって気がとがめることを「後ろめたい」というようになったのです。
「後ろめたい」の類語
「後ろめたい」の類語・類義語としては、 他人からとがめられるようなやましいことをしていることを意味する「後ろ暗い」、罪を犯した悪いことをしたと思う気持ちに苦しめられることを意味する「罪悪感に苛まれる」などがあります。
「やましい」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、良心がとがめることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「やましい」はマイナスなイメージで使われている言葉です。
「後ろめたい」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分に悪い点があって気がとがめることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「後ろめたい」ははマイナスなイメージで使われている言葉です。
「やましい」と「後ろめたい」はどちらも良心に恥じるところがあって心にかかる感じであることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、述語として使えないのが「やましい」、述語として使えるのが「後ろめたい」と覚えておきましょう。