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【事実上】と【実質】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「事実上」(読み方:じじつじょう)と「実質」(読み方:じっしつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「事実上」と「実質」という言葉は、どちらも実際にそうであることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




事実上と実質の違い

事実上と実質の意味の違い

事実上と実質の違いを分かりやすく言うと、事実上とは現実の状態を表し、実質とは事物の中身や本質を表すという違いです。

事実上と実質の使い方の違い

一つ目の事実上を使った分かりやすい例としては、「幽霊の存在を証明することは事実上不可能だ」「あの二人は事実上の婚姻関係にある」「インドは事実上の核兵器保有国とみなされている」などがあります。

二つ目の実質を使った分かりやすい例としては、「不況局面で実質賃金が低迷している」「実質GDPは過去最大の減少率となった」「昔は機種変するときに実質0円で端末が手に入った」「実質赤字や経営悪化する病院が増えている」などがあります。

事実上と実質という言葉は、形式や名目はともかく実際にそうであることを表しますが、意味は微妙に異なります。事実上は実際にはそうであることや現実の状態を意味し、実質は実際に備わっている性質や内容を意味します。

「事実上不可能」と「実質不可能」の違い

上記の例の「事実上不可能」という言葉は、現実的あるいは経験的に不可能であることを意味します。これが「実質不可能」となると、物事の根本的な性質として不可能であることを意味します。

事実上と実質の使い分け方

二つの言葉は使い分けが曖昧ですが、あえて言うならば、目の前に事実として現れている事柄や状態を表す時は事実上を、事物の中身や本質を表す時は実質を使うと覚えておけば間違いないでしょう。

事実上と実質の英語表記の違い

事実上を英語にすると「virtually」「literally」「in effect」となり、例えば上記の「事実上不可能」を英語にすると「virtually impossible」となります。一方、実質を英語にすると「essence」「substance」「real」となり、例えば上記の「実質賃金」を英語にすると「real wages」となります。

事実上の意味

事実上とは

事実上とは、実際にはそうであること、現実の状態を意味しています。

表現方法は「事実上の引退」「事実上不可能」「事実上の行為」

「事実上の引退」「事実上不可能」「事実上の行為」などが、事実上を使った一般的な言い回しです。

事実上の使い方

事実上を使った分かりやすい例としては、「事実上の貸倒れが認められた」「事実上の行為についての審査請求である」「判例は事実上の公務員の理論を採用している」「結婚届けを出しておらず事実上婚姻関係である」などがあります。

その他にも、「あの試合が事実上の決勝戦だった」「この車は事実上の標準仕様にあわせている」「事実上の推定と法律上の推定を区別する」「事実上独立した国という扱いを受けている」「諸外国への渡航は事実上困難である」などがあります。

事実上の語源

事実上という言葉の「事実」とは、実際に起こった事柄や現実に存在する事柄を意味する言葉です。ある事柄を取り出して範囲を限定する意味を持つ「上」と組み合わさり、事実上は、形式は別として実際にはそうであることや、そのものの本当の姿を意味します。

「事実上の婚姻関係」の意味

上記の例の「事実上の婚姻関係」とは、いわゆる「事実婚」のことであり、法律上の婚姻をせずに社会的に夫婦と同一の生活を送っていることを意味します。夫婦別姓を貫きたい、結婚制度に疑問を持つなどの理由から選択されることがあります。

事実上の対義語

事実上の対義語・反対語としては、表向きの理由や口実を意味する「名目」、法律に関係するさまや法律の立場にたつさまを意味する「法的」などがあります。

事実上の類語

事実上の類語・類義語としては、物事のあるがままの状態を意味する「実際」、偽りや見せかけでなく実際にそうであることを意味する「本当」、ある事が想像や理屈ではなく事実であるさまを意味する「現に」などがあります。

事実上の事の字を使った別の言葉としては、物事の状態や成り行きを意味する「事態」、物事がある状態に至るまでの理由や状態を意味する「事情」、 さまざまな事柄や物を意味する「事物」などがあります。

実質の意味

実質とは

実質とは、実際に事物に備わっている内容や性質を意味しています。

その他にも、臓器の本来の生理機能を営む組織の意味も持っています。

表現方法は「実質的に」「実質同じ」「実質無料」

「実質的に」「実質同じ」「実質無料」などが、実質を使った一般的な言い回しです。

実質の使い方

「実質賃金は前年同月比2%減である」「実質経済成長率は前月調査より下方修正された」「実質が伴わない名ばかりのリーダーだ」「スマホ代は実質無料になるキャンペーンだ」などの文中で使われている実質は、「実際に事物に備わっている内容や性質」の意味で使われています。

一方、「感覚器の実質臓器のひとつに眼球がある」「膵臓などの実質臓器の病気を扱う病院だ」「深層実質の一部と内皮層を移植する手術を受ける」などの文中で使われている実質は、「臓器の本来の生理機能を営む組織」の意味で使われています。

実質の語源

実質という言葉は、上記の例にあるように二つの意味を持ちますが、一般には「実際に備わっている性質や内容」の意味で使われています。実質の「実」はそらごとでない本当の事柄を意味し、「質」はものを成り立たせている中身を表します。

「実質賃金」の意味

実質という言葉を使った日本語には「実質賃金」があります。労働者が賃金として受け取る貨幣額を意味する「名目賃金」に対して使われ、名目賃金を消費者物価指数で割った賃金を意味します。実際上の購買力に換算したときの賃金であり、労働者の生活実態を把握するために使わる概念です。

実質の対義語

実質の対義語・反対語としては、物事が存在するときに表に現れている形を意味する「形式」、臓器で実質以外の部分を意味する「間質」などがあります。

実質の類語

実質の類語・類義語としては、実際の状態や本当のありさまを意味する「実態」、物事の実際の事情や情況を意味する「実情」、そのものの本当の姿を意味する「実体」などがあります。

実質の質の字を使った別の言葉としては、水の性質や化学的成分を意味する「水質」、生命や精神に対立する存在としての物を意味する「物質」、物事の根本的な性質や要素を意味する「本質」などがあります。

事実上の例文

1.事実上の婚姻関係を「事実婚」または「内縁」というが、事実婚は自発的な理由から、内縁はワケあって婚姻届けを出さないというニュアンスがある。
2.優勝候補のチーム同士が準決勝で戦うことになり、これが事実上の決勝戦だと言えよう。
3.債務者の資産状況や支払い能力等から見て、その全額が回収できない場合は事実上の貸倒れに該当する。
4.処分その他公権力の行使には、公権力の行使に当たる事実上の行為も含まれる。
5.国民的アイドルグループが今年いっぱいで活動を休止すると宣言しており、事実上の解散になるのではと心配されている。
6.愛読していた雑誌が休刊になることを知ったが、昨今の出版不況から事実上の廃刊ということだろう。
7.彼らは事実上夫婦ではあるが、お互いのメリットの為に結婚した所謂ビジネス夫婦である。
8.二人は結婚届けを出していないが、事実上婚姻関係であるので、裁判にも影響するであろう。
9.その企業は売上が落ち込み、新製品も一切発表されることなく、事実上の完全撤退となった。
10.準決勝では強豪同士がぶつかりあったので、その試合が事実上の決勝戦のようなものだった。

この言葉がよく使われる場面としては、実際にはそうであること、現実の状態を表現したい時などが挙げられます。

例文2にあるように、トーナメントの決勝戦以外の試合で、優勝候補同士が当たる試合のことを事実上の決勝戦と表現をされることがあります。例文4にある「事実上の行為」とは、行政法上、それ自体としては法的効果を発生させない行為を意味し、行政指導や通達などを指す言葉です。

実質の例文

1.実質公債費比率とは自治体の収入に対する負債返済の割合のことであり、自治体の経済力の指標となるものだ。
2.住宅ローンを選ぶ時には、手数料や保証料などを考慮した実質金利を算出して比較した方がよい。
3.新しい定款認証制度では「実質的支配者となるべき者の申告書」の作成が追加された。
4.こちらの実質年率は、新車購入のみに適用され中古車購入の場合には適用されません。
5.雇用形態別の実質賃金の推移を確認したうえで、旧政権の経済政策を評価すべきだ。
6.時々食べに行っていた回転ずしのネタやシャリが明らかに以前より小さくなり、これは実質値上げなのではと感じた。
7.離婚届を出していないだけで、20年別居して連絡も取り合わないのだから、それは実質離婚と言えるだろう。
8.我々は環境問題に対して、形式的でなく実質的な解決策を提案する必要があるのだ。
9.あの企業は社長が変わったが、実質的な権限を持つのは会長であるので、今後も経営方針は変わらないであろう。
10.スマホ代が実質無料になるキャンペーンだが、お金はギフト券でキャッシュバックされるようだ。

この言葉がよく使われる場面としては、実際に事物に備わっている内容や性質を表現したい時などが挙げられます。

例文2にある「実質金利」とは、物価上昇率を考慮した実質的な金利のことです。例文3にある「実質的支配者」とは、法人の事業経営を実質的に支配することが可能な個人又は国等を意味します。例文4の「実質年率」とは、借入金額に諸費用を加算して計算した実質上の金利のことです。

事実上と実質という言葉は、形式や名目は別にして実際にそうであることを表す言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、現実の状態を表現したい時は「事実上」を、事物の中身や本質を表現したい時は「実質」を使うようにしましょう。

言葉の使い方の例文
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