似た意味を持つ「やぶさかではない」と「まんざらでもない」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「やぶさかではない」と「まんざらでもない」という言葉は、どちらも肯定的な意味を持っているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「やぶさかではない」と「まんざらでもない」の違い
「やぶさかではない」と「まんざらでもない」の意味の違い
「やぶさかではない」と「まんざらでもない」の違いを分かりやすく言うと、「やぶさかではない」とは喜んですること、「まんざらでもない」とは必ずしも悪くないことという違いです。
「やぶさかではない」と「まんざらでもない」の使い方の違い
一つ目の「やぶさかではない」を使った分かりやすい例としては、「部下の働きを認めることはやぶさかではない」「彼の指示に従うのはやぶさかではない」「あなたの仕事を手伝うのはやぶさかではない」「社長の頼みであればやぶさかではありません」などがあります。
二つ目の「まんざらでもない」を使った分かりやすい例としては、「彼は女の子からデートに誘われてまんざらでもない様子だった」「高校時代の成績はまんざらでもない」「彼は褒められてまんざらでもない顔つきをしている」「この料理はまんざらでもない」などがあります。
「やぶさかではない」と「まんざらでもない」の使い分け方
「やぶさかではない」と「まんざらでもない」はどちらも肯定的な意味を持つ言葉ですが、使い方と意味が少し異なっています。
「やぶさかではない」は「喜んで〇〇をする」「〇〇する努力を惜しまないなど」という意味で、「〇〇をする」というニュアンスで使います。
それに対して、「まんざらでもない」は「全くダメなわけではない」「必ずしも悪くない」「かなり良い」という意味で、「〇〇をする」というニュアンスは含まれていません。
「やぶさかではない」と「まんざらでもない」の英語表記の違い
「やぶさかではない」を英語にすると「I guess I have to do it」「I might want to」「I’d love to」となり、例えば上記の「あなたの仕事を手伝うのはやぶさかではない」を英語にすると「I’d love to help your job」となります。
一方、「まんざらでもない」を英語にすると「not so bad 」「not bad at all」「better than I thought」となり、例えば上記の「この料理はまんざらでもない」を英語にすると「This food is not bad at all」となります。
「やぶさかではない」の意味
「やぶさかではない」とは
「やぶさかではない」とは、喜んですることを意味しています。
「やぶさかではない」の使い方
「やぶさかではない」を使った分かりやすい例としては、「この提案を受け入れることはやぶさかではない」「山田様のご依頼であればやぶさかではありません」「彼女の働きを認めることはやぶさかではない」「あなたに協力することはやぶさかではない」などがあります。
「やぶさかではない」は、「喜んで〇〇をする」や「〇〇する努力を惜しまない」など、肯定的な意味を持つ言葉です。そのため、プラスのイメージで使います。
しかし、現代では「仕方なくする」という間違った意味で使われていることが多いです。平成25年度に行われた国語に関する世論調査では、正しい使い方である「喜んでする」で使う人が33.8%、間違った使い方である「仕方なくする」で使う人が43.7%となっています。
このように、「やぶさかではない」は間違った使い方をしている人の方が多いです。これを機に「やぶさかではない」は「喜んでする」という正しい使い方を覚えるようにしましょう。
「やぶさかではない」は日常シーンではあまり使われず、主にビジネスシーンで使う言葉になります。また、目上の人に対しても問題なく使うことができます。
「やぶさかではない」の由来
「やぶさかではない」は、平安時代の物惜しみするという意味の「やふさがる」が語源になっています。鎌倉時代に「やふさがる」が「やふさか」という言葉になり、それがさらに変化し、現代では「やぶさか」という言葉になりました。
「やぶさかではない」の漢字表記
「やぶさかではない」を漢字で表すと「吝かではない」となります。
「やぶさかではない」の類語
「やぶさかではない」の類語・類義語としては、自ら積極的にすることを意味する「進んでする」、進んで気持ちよく受け入れることを意味する「喜んでする」などがあります。
「やぶさかではない」を漢字にした「吝かではない」の吝の字を使った別の言葉としては、けちな人を軽蔑して言う言葉を意味する「吝虫」(読み方:しわむし)、けちな人を意味する「吝ん坊」(読み方:しわんぼう)、けちな男を意味する「吝嗇漢」(読み方:りんしょくかん)などがあります。
「まんざらでもない」の意味
「まんざらでもない」とは
「まんざらでもない」とは、必ずしも悪くないことを意味しています。
「まんざらでもない」の使い方
「まんざらでもない」を使った分かりやすい例としては、「彼女は告白されてまんざらでもない様子だった」「彼と連絡先を交換できたのでまんざらでもないだろう」「彼女は文句も言いつつももまんざらでもない感じでした」などがあります。
「まんざらでもない」は、必ずしも悪くない、全くだめというわけではない、かなり良いといった肯定的な意味を持つ言葉になります。そのため、プラスのイメージで使います。
「まんざらでもない」の漢字表記
「まんざらでもない」を漢字で表すと「満更でもない」になります。「満更」という漢字に意味があるわけではなくてただの当て字です。
表現方法は「まんざらでもない感じ」「まんざらでもない様子」「まんざらでもない顔」
「まんざらでもない感じ」「まんざらでもない様子」「まんざらでもない顔」「まんざらでもない気持ち」などは、「まんざらでもない」を使った一般的な表現方法になります。
「まんざらでもない」の類語
「まんざらでもない」の類語・類義語としては、どちらかと言えば良いことを意味する「悪くない」があります。
「まんざらでもない」を漢字にした「満更でもない」の満の字を使った別の言葉としては、心が満ち足りて喜ぶことを意味する「満悦」、十分に楽しむことを意味する「満喫」、心にかかって不平不満のないことを意味する「満足」などがあります。
「やぶさかではない」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、喜んですることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にように、肯定的な意味で使う言葉になります。
「まんざらでもない」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、必ずしも悪くないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、必ずも悪くないことやかなり良いという肯定的な意味で使う言葉になります。
「やぶさかではない」と「まんざらでもない」どちらを使うか迷った場合は、喜んですることを表現したい場合には「やぶさかではない」を、必ずしも悪くないことを表現したい場合には「まんざらでもない」を使うようにしましょう。