【暫く】と【漸く】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「暫く」(読み方:しばらく)と「漸く」(読み方:ようやく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「暫く」と「漸く」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。




「暫く」と「漸く」の違い

「暫く」と「漸く」の意味の違い

「暫く」と「漸く」の違いを分かりやすく言うと、「暫く」とはすぐではないが時間があまりかからないこと、「漸く」とは長い間待ち望んでいた事態が遂に実現することという違いです。

「暫く」と「漸く」の使い方の違い

一つ目の「暫く」を使った分かりやすい例としては、「社長は席を外しているので暫くお待ちください」「高校時代の友人に暫く会っていません」「雨が降っていたが暫くすると空が晴れてきた」「彼女には暫く会ってないです」などがあります。

二つ目の「漸く」を使った分かりやすい例としては、「長く続いた話が漸く終わった」「壊れていたエアコンが漸く直った」「暫く暑さも落ち着いてきました」「彼女は漸く結婚した」などがあります。

「暫く」と「漸く」の使い分け方

「暫く」と「漸く」は漢字が似ているのでとても間違えやすい言葉ですが、意味が違うので間違えないように注意しましょう。

「暫く」はすぐではないが時間があまりかからないこと、時間的にある程度続くこと、一時的であることを意味している言葉で、「漸く」は長い間待ち望んでいた事態が遂に実現することや苦労した結果目標が達成できることを意味している言葉になります。

「暫く」と「漸く」の英語表記の違い

「暫く」を英語にすると「for a while」「for some time」となり、例えば上記の「彼女には暫く会ってないです」を英語にすると「I haven’t seen her for a while」となります。

一方、「漸く」を英語にすると「finally」「at last」となり、例えば上記の「彼女は漸く結婚した」を英語にすると「She finally got married」となります。

「暫く」の意味

「暫く」とは

「暫く」とは、すぐではないが時間があまりかからないことを意味しています。その他も、時間的にある程度続くことや一時的であることの意味も持っています。

表現方法は「暫くの間」「暫くすると」

「暫くの間」「暫くすると」などが、「暫く」を使った一般的な言い回しになります。

「暫く」の使い方

「会長は外出中なので暫くお待ちください」「体調が良くないので暫くお休みをいただけないでしょうか」などの文中で使われている「暫く」は、「すぐではないが時間があまりかからないこと」の意味で使われています。

一方、「暫くは日本に滞在することにしました」「その件については暫く放っておくことにする」などの文中で使われている「暫く」は、「時間的にある程度続くことや一時的であること」の意味で使われています。

「暫く」は複数の意味を持つ言葉ですが、どの意味でも使われています。また、ビジネスシーンと日常生活の両方で使えるとても便利な言葉です。

「暫く」とはどのくらいの時間か

「暫く」はどのくらいの時間だろうと思う人がいると思いますが、明確な期間は決まっていません。

例えば電話越しに暫くお待ちくださいと言われた場合は5分前後ですし、商品が届くまで暫くお待ちくださいと言われれば1週間以内になります。また、友達と会って暫くぶりだねと話した場合は数か月の期間になります。

上記のようにどれくらいの期間なのかは、状況によって使い分けると覚えておきましょう。

「暫く」の類語

「暫く」の類語・類義語としては、暫くの間のことを意味する「一時」、少しの間のことを意味する「暫時」、僅かな時間のことを意味する「寸刻」、暫くの間のことを意味する「少時」などがあります。

「漸く」の意味

「漸く」とは

「漸く」とは、長い間待ち望んでいた事態が遂に実現することを意味しています。その他にも、苦労した結果目標が達成できることの意味持っています。

「漸く」の使い方

「漸く」を使った分かりやすい例としては、「長く続いてた戦争が漸く終わりを迎えようとしている」「ずっと書き続けていた卒業論文が漸く終わりました」「明日の準備がやっと終わったので漸く家に帰ることができる」などがあります。

「漸く」は、出来事に対してそれが実現するまでにとても長い時間をかけたり、苦労していたりする場合に使う言葉です。また、「漸く」は主に話し言葉として使われています。

「漸く」の成り立ち

「漸く」の「漸」という漢字は「ぜん」と読み、元々、水の流れを斬って徐々に導くという意味で使われていたのですが、この意味が転じて、次第にという意味で使われるようになりました。

この次第にという意味がさらに転じて、長い間待ち望んでいた事態が遂に実現することとなったのが「漸く」の語源になります。

「漸く」の類語

「漸く」の類語・類義語としては、長い時間ののちに最終的にある結果に達することを意味する「ついに」、長い時間や労力を費やして実現することを意味する「やっと」、あれこれ工夫や努力をすることを意味する「何とか」、物事が最終的にそうなることを意味する「とうとう」などがあります。

「暫く」の例文

1.もう暫くすると彼女が遊びに来るので、部屋掃除を急いでやらなければならない。
2.担当の者がただいま席を外してるので、もう暫くお待ちください。
3.隣の席の子が暫く学校を休んでいるので、何かあったのではないかと心配しています。
4.この寒さは暫く続くと思うので、防寒対策をしっかりすることにしました。
5.新型コロナウイルスの影響により、サッカーのリーグ戦が暫く中断されることになりました。
6.父親は、夜中に突然身支度をして暫くしたら戻ると言ったまま行方不明となってしまったが、すでに20年も経っている今もわたしは諦めず探し続けている。
7.大好きなバラエティー番組を見ていると画面が突然「暫くお待ちください」となってしまい、腹が立ったわたしはテレビ局に苦情の電話をした。
8.わたしはもともと京都の生まれだが、中学生の時千葉に暫くの間住んでいたので、千葉を第二の故郷のように思っている。
9.同僚がある日を境に暫く会社に来なかったので、どうしたのだろうと思っていたのだが、体調不良で病院に入院していたことをあとから知った。
10.公園を歩いていると、近所のおばあさんが桜の木を見て、もう暫くすると桜の花が咲く頃だねと感慨深げな調子でわたしに話しかけてきた。
11.街中で、きれいな女性に「暫くね!」と声をかけられたが、誰かと思えば高校時代の同級生で、すごく垢抜けてしまってびっくりしてしまった。

この言葉がよく使われる場面としては、すぐではないが時間があまりかからないことを表現したい時などが挙げられます。その他も、時間的にある程度続くことや一時的であることを表現したい時にも使います。

例文1と例文2はすぐではないが時間があまりかからないことの意味で使っており、例文3と例文4は時間的にある程度続くことの意味で使っています。また、例文5は一時的であることの意味で使っています。

「漸く」の例文

1.幾度となく道を間違えたが、漸く目的地に辿りつくことができました。
2.今年のJリーグは新型コロナウイルスによりイレギュラーなシーズンだったが、漸く全日程を終了しました。
3.忙しかった仕事が落ち着いたので、今話題の漫画を漸く見ることができる。
4.事件発生から5年の時を経て、漸く犯人を逮捕することができました。
5.待ち望んでゲームが漸く発売されるので、有休を取ってたくさんプレイするつもりです。
6.中国の長編小説である水滸伝を通勤途中に少しづつ読みはじめてから約3年が経つが、漸くおわりが見えてきたと言ったところだ。
7.わたしは長年独身貴族を貫いてきたが、昨年結婚して独り立ちすることで漸く両親を安心させることができてホッとしている。
8.20キロほど歩いて漸くたどり着いた場所は、寂れた食堂だったが、腹の空いていたわたしたちからすればそこはオアシス同然であった。
9.わたしたちは何年、何十年も前の光が、漸く地球にたどり着いて、その星を見ることができていることをほとんど意識していない。
10.夏休みの宿題は全然終わらずに、2学期も半ばを過ぎて漸く提出することできたが、先生からはもちろん大目玉を食らうことになりました。
11.わたしは、大人の人たちが初恋の人とは会わないほうがいいという言葉の意味を自分が大人になって漸く気がついたのだった。

この言葉がよく使われる場面としては、長い間待ち望んでいた事態が遂に実現することを表現したい時などが挙げられます。その他にも、苦労した結果目標が達成できることを表現したい時にも使います。

例文1や例文2は苦労した結果目標が達成できることの意味で使っており、例文3から例文5は長い間待ち望んでいた事態が遂に実現することの意味で使っています。

「暫く」と「漸く」どちらの言葉を使うか迷った場合、すぐではないが時間があまりかからないことを表現したい時は「暫く」を、長い間待ち望んでいた事態が遂に実現することを表現したい時は「漸く」を使うようにしましょう。

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