似た意味を持つ「活性化」(読み方:かっせいか)と「活発化」(読み方:かっぱつか)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「活性化」と「活発化」という言葉は、どちらも活動が盛んになることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
活性化と活発化の違い
活性化と活発化の意味の違い
活性化と活発化の違いを分かりやすく言うと、活性化とは意図的に盛り上げる事柄に使われ、活発化とは客観的に勢いが増している事柄に使われるという違いです。
活性化と活発化の使い方の違い
一つ目の活性化を使った分かりやすい例としては、「活性化エネルギーと温度の関係式を求める」「タンパク質が体内で活性化する」「活性化関数について説明します」「地域活性化事業に貢献する」「地域経済の活性化を支援する」などがあります。
二つ目の活発化を使った分かりやすい例としては、「梅雨前線が活発化している」「内陸地震の活発化がみられる」「巷ではランドセル商戦が活発化している」「相場はかつてないほど活発化している」などがあります。
活性化と活発化の使い分け方
活性化と活発化という言葉は、どちらも物事の活動が盛んになることを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
活性化とは、化学分野に由来する言葉であり、「タンパク質が体内で活性化する」のように、ある機能が活発になることを表します。また、「地域経済の活性化」のように、意図的に物事の活動を盛んにさせる時にも用いられる言葉です。
活発化とは、「梅雨前線が活発化している」のように、活動的になっている自然現象に対して使われることが多い言葉です。また、「ランドセル商戦が活発化している」のように、自然現象ではなくとも、客観的にみて勢いが増している現象を表すこともあります。
つまり、活性化という言葉は、化学反応や意図的に盛り上げる事柄に使われ、活発化という言葉は、自然現象や客観的にみて勢いが増している事柄に使われる、という違いがあります。
活性化と活発化の英語表記の違い
活性化も活発化も英語にすると「activation」となり、例えば上記の「活性化エネルギー」を英語にすると「activation energy」となります。
活性化の意味
活性化とは
活性化とは、特定の機能が活発になること、反応性が高まることを意味しています。
その他にも、組織などの活動を活発にすることの意味も持っています。
表現方法は「活性化させる」「活性化を促す」「活性化を図る」
「活性化させる」「活性化を促す」「活性化を図る」などが、活性化を使った一般的な言い回しです。
活性化の使い方
「酵素はどのように活性化しているか」「活性化エネルギーの求め方を習った」「活性化エネルギーの単位は何ですか」「活性化クラスターの入手方法を調べる」などの文中で使われている活性化は、「特定の機能が活発になること」の意味で使われています。
一方、「地域社会の活性化のための支援です」「消費や需要の活性化を図る」「地域活性化政策を検討する」「地域間の交流を活性化する取組だ」「金融市場を活性化させる」などの文中で使われている活性化は、「組織などの活動を活発にすること」の意味で使われています。
活性化という言葉は、上記の例文のように二つの意味があります。一つは、主に化学分野において、物質のもつ機能が活発になるという化学反応に使われています。もう一つは、一般的に使われ、物事の活動が盛んになることや、組織などの活動を活発にすることを意味します。
「活性化エネルギー」の意味
活性化を用いた日本語には「活性化エネルギー」があります。活性化エネルギーとは、化学反応を進行させるために必要なエネルギーであり、反応速度の温度変化から求められるものです。酵素などの触媒は、このエネルギーを小さくするので低い温度で反応を進めることができます。
「活性化ビタミンD」は誤り
活性化を用いた誤った言い回しには「活性化ビタミンD」があります。正しくは「活性型ビタミンD」であり、腸管からのカルシウムの吸収を高め、骨の石灰化を促進する働きをもつ栄養素です。
活性化の対義語
活性化の対義語・反対語としては、実質的な意味を失い形式だけが残ることを意味する「形骸化」、組織などの力が衰えることを意味する「弱体化」などがあります。
活性化の類語
活性化の類語・類義語としては、元気よく動くさまや活発なさまを意味する「活動的」、促進することや機能の有効化を意味する「アクティベーション」などがあります。
活発化の意味
活発化とは
活発化とは、行動や活動などが生き生きとして盛んなることを意味しています。
表現方法は「活発化する」「活発化させる」「活発化を図る」
「活発化する」「活発化させる」「活発化を図る」などが、活発化を使った一般的な言い回しです。
活発化の使い方
活発化を使った分かりやすい例としては、「各地で火山活動が活発化している」「梅雨前線が活発化している」「英語活動を活発化させる」「地方での芸能オーディションが活発化する」「国際交流が活発化する」などがあります。
その他にも、「富士山の火山活動が活発化してきた」「社内コミュニケーションの活発化を図る」「英語の授業が活発化する」「株式市場で買い戻しが活発化する」「活発化した雨雲にご注意下さい」などがあります。
活発化という言葉の「活発」とは、元気で勢いのよいさまを意味し、行動や活動などが生き生きとして盛んなさまを表します。性質が別のものになることを表す「化」と結びつき、活発化とは活動的で盛んな雰囲気が出てくるさまを表現する言葉です。
「火山活動が活発化している」の意味
上記の例文にある「火山活動が活発化している」とは、活火山の地下にあるマグマやガスが上昇してきたり、噴火や溶岩の流出、火山性地震などの活動の勢いが増している状況を意味します。
活発化の対義語
活発化の対義語・反対語としては、落ち着いて静かになることを意味する「沈静」、勢いや活力が衰え弱まることを意味する「衰退」などがあります。
活発化の類語
活発化の類語・類義語としては、物質の機能や作用を活発化することを意味する「賦活」、物事を進んでするさまを意味する「積極的」、活気があってにぎやかなことを意味する「殷賑」などがあります。
活性化の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物質のもつ機能が活発になること、物事の活動が盛んになることを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3にある活性化は、物質のもつ機能が活発になることの意味で使われています。「脳の活性化」とは、記憶力や集中力などの脳が本来持っている能力が発揮できる状態を表します。例文4や例文5にある活性化は、物事や組織の活動が盛んになることの意味で使われています。
活発化の例文
この言葉がよく使われる場面としては、勢いが増して活発になることを表現したい時などが挙げられます。
活発化という言葉は、例文1や例文2のように、ある自然現象の勢いが増している状況を表す時によく使われています。例文3の「活発化させる」とは、活気付けて勢いをつけようとする様子を表します。
活性化と活発化という言葉は、どちらも物事の活動が盛んになることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、化学反応や意図的に盛り上げる様子を表現したい時は「活性化」を、自然現象や客観的に盛り上がっている様子を表現したい時は「活発化」を使うようにしましょう。