【フィジカル】と【メンタル】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

反対の意味を持つ「フィジカル」と「メンタル」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「フィジカル」と「メンタル」という言葉はどちらも人間の状態に関わるという共通点がありますが、この二つの言葉は対義語・反対語であるため、意味は大きく違います。




フィジカルとメンタルの違い

フィジカルとメンタルの意味の違い

フィジカルとメンタルの違いを分かりやすく言うと、フィジカルとは直接見たり手で触れたり出来ることを意味していて、メンタルが直接見えず手で触れることも出来ないことを意味しているという違いです。

フィジカルとメンタルの定義の違い

辞書的な定義では、フィジカルは物理的・肉体的・身体的という意味で、メンタルは精神的・心理的という意味で、両者は対義語・反対語の関係にあります。ただし特にフィジカルは分野によって様々な意味で使われて、メンタル以外の言葉が対義語・反対語の場合もあります

フィジカルとメンタルのスポーツ分野での違い

フィジカルとメンタルが反対の意味でよく使われる分野はスポーツです。「フィジカル/メンタルトレーニング」や「あの選手はフィジカルは強いけどメンタルが課題」などのような表現をすることがあります。

フィジカルとはスポーツの場合は肉体のことで、身体能力そのものを指す言葉です。フィジカルの中にテクニックがどれほど入るかはその時々の状況や話者の意識によって様々ですが、基本的には切り離して考えられています。

もう一つのメンタルはスポーツの場合では精神的・心理的な強さの度合を意味します。メンタルとフィジカルは言葉の意味としては対義語・反対語ですが、選手にとってはどちらの要素も重要で、歯車のようにかみ合うことが重要だと考えられています。

フィジカルとメンタルの医療分野での違い

医療の分野でもフィジカルとメンタルという言葉は対のように使われています。

「メンタルセラピー」「メンタルヘルス」「メンタルクリニック」などの言葉は今では一般的な言葉になっています。メンタルクリニックは「精神科」や「心療内科」という言葉でもよく知られています。

医療の分野でメンタルという言葉がよく使われるのは一般によく知られていますが、フィジカルの方はどのように使われているのかあまり馴染みがありません。フィジカルという言葉は「フィジカルアセスメント」という言葉で使われています。

フィジカルアセスメントとは、簡単に言うと健康診断のことです。身体(フィジカル)を診査して評価(アセスメント)することから、「フィジカルアセスメント」と呼ばれます。

健康診断という言葉はイベントのように響きますが、そこで行われる評価ないし査定という技術的な観点から見た場合に、専門用語のフィジカルアセスメントと呼ばれることがあります。

この他にも、特にフィジカルは様々な分野で用いられていますが、その中でも対義語・反対語がメンタルではないものを紹介します。

フィジカルとメンタルの音楽映像分野での違い

音楽や映像の業界では、CDやレコード、DVDやBlu-rayなどの手で触れることの出来る媒体に対して「フィジカル」という言葉を用いることがあります。物理媒体を「フィジカルメディア」、その売り上げのことを「フィジカルセールス」と呼びます。

フィジカルメディアの需要は減少し、フィジカルセールスの減少は止まらない、というのがこの業界の近年の傾向です。そしてこの分野でのフィジカルの対義語・反対語はストリーミングやダウンロードです。物理vs電子という対比になっています。

フィジカルとメンタルの出版業界での違い

出版業界では、電子書籍ないしe-bookが生み出されたことによって、紙の本のことを「フィジカルブック」と呼びことがあります。これも物理vs電子の対比です。

さらに電子メールとそのメールアドレスは現代人なら多くの人が持っているものです。アドレスは「住所」という意味です。これらが一般的になったことから、郵便物や宅配便の宛先となる現実の世界の住所は特に「フィジカルアドレス」と呼ばれるようになっています。

これも電子vs物理の対比になっています。「フィジカルアドレス」を直訳すると「物理アドレス」で、日常語の日本語としては違和感がありますが、物理の意味のフィジカルは「現実」や「実際」を連想させることを知っておくと、違和感が幾分かは軽減されます。

あるいはヴァーチャルワールド、仮想世界という言葉も一般的に認知されるようになって久しい言葉ですが、それと反対の現実世界のことを「フィジカルワールド」「リアルワールド」などと呼ぶことがあります。

フィジカルの意味

フィジカルとは

フィジカルとは、肉体的・物理的、あるいは五感を使って直接感じることが出来ることを意味しています。

フィジカルの対義語

この言葉の対義語・反対語は通常はメンタルと考えられています。しかしこの言葉は様々な分野で使われて、分野によってそれぞれの対義語・反対語は微妙に異なります。

フィジカルの類語

フィジカルの類語・類義語としては、空間・時間・重量など数量に置き換えられる条件を意味する「物理的」、精神よりも物質を表すことを意味する「物質的」、空間的な大きさを意味する「物体的」などがあります。

表現方法は「フィジカルが強い」「フィジカルが課題」「フィジカルな関係」

「フィジカルが強い」「フィジカルが課題」「フィジカルな関係」などが、フィリジカルを使った一般的な言い回しです。

フィジカルという言葉が主に使われる対象としては、スポーツ、医療、音楽・映像、出版、住所、世界などが挙げられます。

スポーツ分野でのフィジカルの使い方

スポーツではフィジカルはメンタルと対比的に用いられます。「フィジカルが強い」「フィジカルが課題」などのように用いられ、筋力や瞬発力など、純粋な身体能力の度合を意味するためにフィジカルという言葉が用いられます。

フィジカルとメンタルは対義語・反対語ですが、この考え方では肉体・身体と精神が別個に存在しているようなイメージをもたらすことから、スポーツに限らず、パフォーマンスとマインドという言葉を使う流れも存在します。

マインドは目に見えない活力のことで、パフォーマンスはそれに支えられた実際の作業や結果を意味する言葉です。

パフォーマンスは単なる肉体・身体の意味ではなく、プレーやその結果という広い意味を持ちます。フィジカルはテクニックと切り離して考えられる傾向がありますが、パフォーマンスはフィジカルもテクニックも、さらにはメンタルも含む広い概念です。

医療分野でのフィジカルの使い方

医療の分野では、ほとんど健康診断と同じことを意味する専門用語の「フィジカルアセスメント」が使われます。フィジカルとは身体のことで、アセスメントは評価や査定という意味です。医療の分野では、フィジカルの対義語はメンタルと考えることが出来ます。

音楽映像分野でのフィジカルの使い方

音楽・映像では、物理媒体のことを「フィジカルメディア」、その売り上げのことを「フィジカルセールス」と呼び、対義語・反対語はストリーミングやダウンロードになります。

出版業界でのフィジカルの使い方

出版業界では電子書籍ないしe-bookの登場により、従来の紙の本のことを「フィジカルブック」と呼ぶこともあります。また住所では電子メールとメールアドレスの普及によって、現実に住んでいる家の住所を「フィジカルアドレス」と呼ぶこともあります。

これらの使い方ではフィジカルの対義語・反対語は電子つまりエレクトロニックです。

またヴァーチャルワールドないし仮想世界の対義語・反対語は、リアルワールドないし現実世界ですが、「フィジカルワールド」と呼ばれることもあります。リアルとフィジカルは類義語の関係にあるからです。ここでは物理vs仮想の対比になっています。

メンタルの意味

メンタルとは

メンタルとは、精神的・心理的、あるいは直接感じ取ることが出来ないことを意味しています。

メンタルの類語

メンタルの類語・類義語としては、心の働きを意味する「心理的」、物事の内部を意味する「内面的」、精神の働きを意味する「精神的」などがあります。

表現方法は「メンタルが弱い」「メンタルが強い」「鋼のメンタル」

「メンタルが弱い」「メンタルが強い」「鋼のメンタル」などが、メンタルを使った一般的な言い回しです。

フィジカルは一般認知度がないだけで多くの分野で使われる言葉ですが、メンタルはそれよりは少なく、主にスポーツや医療の分野で使われる言葉です。

スポーツ分野でのメンタルの使い方

スポーツの分野ではメンタルはフィジカルの対義語・反対語か、あるいはそれと双璧をなす要素と見なされています。

例えば「メンタルトレーニング」や「メンタルエクササイズ」などの言葉で使われています。二つの言葉は同義語ですが、一般的にトレーニングはスポーツのために身体能力を高めることで、エクササイズは健康のために身体能力を高めたり維持したりすることです。

また「あの選手はメンタルが強い」や「鋼のメンタル」と言うこともあります。メンタルもフィジカル同様、強靭さの程度が問題になります。

またスポーツの分野からは逸れますが、同じようにメンタルを強靭さの観点から見ている言葉として、ネットスラングの「豆腐メンタル」があります。豆腐が柔らかくもろいことから、打たれ弱く、すぐにへこたれる気質を表す言葉として使われています。

医療分野でのメンタルの使い方

医療の分野でもメンタルはフィジカルの対義語・反対語ですが、反対であるという意識はあまりありません。

例えば「メンタルヘルス」は精神的健康、精神衛生のことで、「メンタルクリニック」は精神科や心療内科のことで、「メンタルセラピー」は心理療法のことで、「メンタルケア」は精神のケアのことです。ケアは奥深く、日本語に移すことは難しい言葉です。

フィジカルの例文

1.今年の目標としてフィジカルの強化を掲げた。
2.フィジカルコンディションを高めるために、専門書を読み漁った。
3.プロゲーマーがゲームの世界で生きていくためには、フィジカルの強さも重要だという。
4.あの選手は日本の中ではダントツのフィジカルモンスターだ。
5.サッカーとラグビーとバスケではフィジカルの使い方が全然違うから、競技に見合ったトレーニングが必要だ。
6.運動が苦手で吹奏楽部に入ったのに楽器の演奏にはフィジカルの強さが重要だと、マラソンと柔軟体操を毎朝やらされた。
7.彼はフィジカルの強さを武器に、日本代表の有力選手として次のワールドカップに出場予定だ。
8.フルマラソンに出場するといったものの、まずはフィジカル面をどうにかしないといけないな。
9.他校よりリードしていた我が校のフィジカル面の強さは、今や見る影もなくなってしまいました。
10.男はフィジカルコーチとして世界各地のクラブチームを渡り歩いており、実績も十分にあります。

この言葉がよく使われる場面としては、肉体や肉体能力を表現したい時などが挙げられます。フィジカルはスポーツの分野でよく使われる言葉です。元々の英語は形容詞ですが、日本語ではフィジカルで名詞の肉体を指すことも多いです。

例文1の「フィジカルを鍛える」は筋力や瞬発力や持久力、動体視力など、総合的な肉体能力を向上させるという意味です。この場合にフィジカルはほとんど名詞のように使われています。例文5も同様です。

なお例文5のフィジカルモンスターという言葉は、ネットスラングで、身体能力が飛びぬけていることをモンスターという言葉を使って表したものです。

メンタルの例文

1.試験の時にいつもお腹が痛くなるから、メンタルを鍛える必要がある。
2.強いメンタルを手に入れたいと思ったので、最初に「メンタル 強くする方法」で検索した。
3.弱すぎるメンタルには何か理由があると思い、ネットのメンタル診断をやってみた。
4.あのときは辛いことの連続でメンタル崩壊寸前だった。
5.生後20ヵ月までの赤ちゃんには、何度もメンタルリープと呼ばれる、知性や精神、感覚が飛躍的に向上するタイミングがあるという。
6.こちらも気を遣っているつもりだがいきなり会社を辞めてしまうとか、今の若い子はメンタルが弱いので接し方が難しいと父が悩んでいた。
7.彼女に必要なのは練習ではなくて、メンタルの弱さを克服するためのアプローチではないだろうか。
8.軍の特殊部隊は、軍隊の中でも特に強靭なメンタルを持っていなければ入れないエリートの中のエリートなのだ。
9.私は演奏が好きだったが豆腐メンタルなので、ブラック部活で有名な吹奏楽部に入る勇気はありませんでした。
10.週末見に行った映画はメンタルが削られる内容で、気持ちがどんよりする週末となってしまった。

この言葉がよく使われる場面としては、精神力を表現したい時などが挙げられます。フィジカル同様、メンタルも英語では形容詞ですが、カタカナ語としては名詞として扱われています。

例えば例文1の「メンタルを鍛える」や例文2と3の「強い/弱いメンタル」は、名詞としてメンタルを使っています。また例文4のメンタル崩壊は少し比喩的な表現ですが、精神的に大打撃を食らい、立ち直れないような状況を指しています。

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