似た意味を持つ「甚だ」(読み方:はなはだ)と「大変」(読み方:たいへん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「甚だ」と「大変」という言葉は、どちらも程度が甚だしいことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「甚だ」と「大変」の違い
「甚だ」と「大変」の意味の違い
「甚だ」と「大変」の違いを分かりやすく言うと、「甚だ」とはマイナスのイメージで使う言葉、「大変」とはプラスとマイナスのイメージどちらでも使える言葉という違いです。
「甚だ」と「大変」の使い方の違い
一つ目の「甚だ」を使った分かりやすい例としては、「ご返事が遅くなり甚だ申し訳ございません」「何のお返事もいただいておらず甚だ遺憾に思います」「甚だ略儀ではございますが詳細は後ほどご連絡いたします」などがあります。
二つ目の「大変」を使った分かりやすい例としては、「一流大学に入学するのは大変です」「大変失礼いたしました」「仕事が忙しくて大変です」「浅草は大変有名な街です」「彼女の援助の申し出は大変喜ばれた」などがあります。
「甚だ」と「大変」の使い分け方
「甚だ」と「大変」はどちらも同じ意味を持つ言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「甚だ」はとても堅い表現で、マイナスな感情を表現したい時に使う言葉になります。一方、「大変」は日常会話でも使われる言葉で、マイナスな感情だけではなく、プラスな事柄に対しても使うことが可能です。
したがって、「甚だ」はマイナスなイメージで使うのが一般的なのに対して、「大変」はプラスとマイナスどちらのイメージでも使えるというのが違いになります。
また、「大変」は物事が重大であることや苦労などが並々でないことの意味も持っているというのも違いの一つです。
「甚だ」と「大変」の英語表記の違い
「甚だ」も「大変」も英語にすると「very」「greatly」「excessively」「terrible」となり、例えば上記の「彼女の援助の申し出は大変喜ばれた」を英語にすると「Her offer of help was very much appreciated」となります。
「甚だ」の意味
「甚だ」とは
「甚だ」とは、普通の程度をはるかに超えていることを意味しています。
表現方法は「甚だ疑問」「甚だ恐縮」「甚だ不安」「甚だ遺憾」
「甚だ疑問」「甚だ恐縮」「甚だ不安」「甚だ遺憾」「甚だ僭越ではございますが」などが、「甚だ」を使った一般的な言い回しになります。
「甚だ」の使い方
「甚だ」を使った分かりやすい例としては、「今日は甚だ不愉快な出来事がありました」「挨拶も出来ないとは甚だ失礼な人だ」「この計画が成功するか甚だ疑問です」「甚だ残念ながら今回の採用は見送らせていただきます」などがあります。
「甚だ」は「とても」「大変」「非常に」などを堅く丁寧にした表現で、「甚だ遺憾である」「甚だ疑問である」などのように、マイナスな事柄と一緒に使うのが一般的です。
ただし、あくまで一般的なだけなので、プラスな事柄と一緒に使うこともあります。
「甚だ」を別の漢字で表記すると「太だ」とすることができますがあまり一般的ではありません。余程の理由がない限り「甚だ」の方を使うようにしましょう。
「甚だ」の類語
「甚だ」の類語・類義語としては、並の程度でないことを意味する「非常に」、物事の程度が甚だしいことを意味する「大いに」、普通の程度をはるかに超えていることを意味する「すこぶる」などがあります。
「大変」の意味
「大変」とは
「大変」とは、程度が甚だしいことを意味しています。その他にも、物事が重大であることや苦労などが並々でないことの意味も持っています。
表現方法は「大変恐縮ですが」「大変助かりました」「大変です」
「大変恐縮ですが」「大変助かりました」「大変です」「大変申し訳ございません」などが、「大変」を使った一般的な言い回しになります。
「大変」の使い方
「彼の話は大変面白い」「師匠には大変お世話になりました」「今日は大変な暑さだ」などの文中で使われている「大変」は、「程度が甚だしいこと」の意味で使われています。
一方、「大型地震により大変な被害を受ける」「毎日の暮らしが大変です」などの文中で使われている「大変」は、「物事が重大であることや苦労などが並々でないこと」の意味で使われています。
「大変」は口語として広く一般に浸透している言葉です。そのため、日常生活とビジネスシーンどちらにおいても使われています。
「大変」の程度が甚だしいことの意味は副詞となっており、プラスのイメージとマイナスのイメージどちらでも使えるというのが特徴になります。
また、物事が重大であることや苦労などが並々でないことの意味は「大変な」「大変だ」「大変に」などの形で、形容動詞として使われていることが多いです。
「大変」の類語
「大変」の類語・類義語としては、程度が甚だしいことを意味する「とても」、この上ないくらいに程度が甚だしいことを意味する「極めて」、程度が甚だしいことを意味する「極」などがあります。
「甚だ」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、普通の程度をはるかに超えていることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「甚だ」は基本的にマイナスな事柄に使う言葉です。
「大変」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、程度が甚だしいことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、物事が重大であることや苦労などが並々でないことを表現したい時にも使います。
例文1と例文2の「大変」は程度が甚だしいこと、例文3の「大変」は物事が重大であること、例文4と例文5の「大変」は苦労などが並々でないことの意味で使っています。
「甚だ」と「大変」はどちらも程度が甚だしいことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、マイナスなイメージで使うのが「甚だ」、プラスとマイナスどちらのイメージでも使えるのが「大変」とおきましょう。