【捉われる】と【囚われる】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

同じ「とらわれる」という読み方の「捉われる」と「囚われる」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「捉われる」と「囚われる」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。




「捉われる」と「囚われる」の違い

「捉われる」と「囚われる」の意味の違い

「捉われる」と「囚われる」の違いを分かりやすく言うと、「捉われる」は精神的に拘束されている場合に使う、「囚われる」は肉体的と精神的に拘束されている場合に使うという違いです。

「捉われる」と「囚われる」の使い方の違い

一つ目の「捉われる」を使った分かりやすい例としては、「感情に捉われて物事を判断すべきではありません」「真の礼儀は形式に捉われるべきではありません」「彼は恐怖に捉われることになるだろう」などがあります。

二つ目の「囚われる」を使った分かりやすい例としては、「過去に囚われるばかりで進歩はないだろう」「目先にことに囚われるのは良くないです」「先入観い囚われることで彼女のことを誤解してしまいました」などがあります。

「捉われる」と「囚われる」の使い分け方

「捉われる」と「囚われる」はどちらも固定した価値観や考え方などに拘束されることを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。

「捉われる」は固定した価値観や考え方などに拘束されることを意味しており、精神的に拘束されている場合に使います。

一方、「囚われる」は固定した価値観や考え方などに拘束されることの意味の他に、取り押さえられて逃げることができなくなることの意味も持っており、肉体的に拘束と精神的に拘束のどちらでも使うことができるというのが違いです。

「捉われる」と「囚われる」の英語表記の違い

「捉われる」も「囚われる」も英語にすると「be captured」「bound by」「Don’t let」となり、例えば上記の「感情に捉われて物事を判断すべきではありません」を英語にすると「Don’t let sentiment interfere with judgment」となります。

「捉われる」の意味

「捉われる」とは

「捉われる」とは、固定した価値観や考え方などに拘束されることを意味しています。

表現方法は「固定観念に捉われる」「先入観に捉われる」「常識に捉われる」

「固定観念に捉われる」「先入観に捉われる」「常識に捉われる」などが、「捉われる」を使った一般的な言い回しになります。

「捉われる」の使い方

「捉われる」を使った分かりやすい例としては、「不安に捉われることは誰にでもあることです」「目先のことに捉われるのは良くないだろう」「彼女は先入観に捉われている」「過去に捉われるのは無意味だと思う」などがあります。

「捉われる」は固定した価値観や考え方などに拘束されることを意味しており、精神的に拘束されている場合に使う言葉です。そのため、肉体的に拘束されている場合は同音の言葉である「捕らわれる」か「囚われる」を使うようにしましょう。

「捉われる」は常用漢字ではない

「捉われる」を使う上で注意しなければならないのは、「捉われる」は常用漢字ではないので、公的な文章においてはひらがなで記載するという点です。

常用漢字とは、現代の国語を書き表す場合の漢字使用の目安として、内閣告示の常用漢字表で示された日本語の漢字のことです。現行の常用漢字表は、2010年11月30日に平成22年内閣告示第2号として告示され、2136字で成り立っています。

常用漢字はあくまで漢字使用の目安であって制限ではないので、常用漢字以外は使えないというわけではありません。ただし、公用文や新聞などでは常用漢字を使用するのが好ましいとされています。

「捉われる」の類語

「捉われる」の類語・類義語としては、そのことだけを深く考えて悩むことを意味する「思い詰める」、制限を加えて思想の自由を奪うことを意味する「束縛される」などがあります。

「囚われる」の意味

「囚われる」とは

「囚われる」とは、固定した価値観や考え方などに拘束されることを意味しています。その他にも、取り押さえられて逃げることができなくなることの意味も持っています。

表現方法は「考えに囚われる」「過去に囚われる」「思考に囚われる」

「考えに囚われる」「過去に囚われる」「思考に囚われる」などが、「囚われる」を使った一般的な言い回しになります。

「囚われる」の使い方

「原始的な価値観に囚われる人にはなりたくありません」「過去に囚われていては前に進むことはできません」などの文中で使われている「囚われる」は、「固定した価値観や考え方などに拘束されること」の意味で使われています。

一方、「戦場で敵に捕虜として囚われる」「敵国に囚われるのだけはなんとしても避けよう」などの文中で使われている「囚われる」は、「取り押さえられて逃げることができなくなること」の意味で使われています。

「囚われる」は固定した価値観や考え方などに拘束されることの意味の他に、取り押さえられて逃げることができなくなることの意味を持つ言葉です。

そのため、精神的に拘束されている場合と、肉体的に拘束されている場合のどちらでも使うことができます。

「囚われる」は常用漢字ではない

「囚われる」を使う上で注意しなければならないのは、「囚われる」は常用漢字ではないので、公的な文章においては使えないという点です。

もし、公的な文章で使いたいのであれば、ひらがなの「とらわれる」か常用漢字である「捕らわれる」の方を使うようにしましょう。

「囚われる」の類語

「囚われる」の類語・類義語としては、捕まえられることを意味する「捕まる」、ある環境や状況の中に深く入り込むことを意味する「のめり込む」、 思想や行動などの自由を制限されるを意味する「拘束される」などがあります。

「捉われる」の例文

1.過去の因習に捉われていては、人として成長することはできないだろう。
2.一つの思考に捉われるのは危険なので、視野を広く持った方がいいだろう。
3.目先の利益に捉われるよりも、もっと将来を考えた方がいいだろう。
4.彼はグループという枠に捉われることなく、幅広いジャンルで活躍しています。
5.お祭り騒ぎしていると、ふっと寂しい気持ちに捉われるには、なぜなのだろうか。
6.入社の際に先入観や古い常識に捉われることなく活躍してほしいと言われたが、中高年ばかりの部署では結局自分が合わせるしかない。
7.規則に捉われてばかりいるせいで、なぜその規則ができたのかという原点を忘れてしまっている。
8.新入社員の田中さんは、先輩社員の仕事のやり方に捉われすぎて、自分なりの創意工夫を加えることができずにいました。
9.企業コンサルタントは、企業が成長するためには、過去の成功体験に捉われず、常に新しいチャレンジを続けることが重要だと講演で強調しました。
10.彼は一時的な感情に捉われず、冷静な判断をすることができるので、上司からも一目置かれている。

この言葉がよく使われる場面としては、固定した価値観や考え方などに拘束されることを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「捉われる」は精神的に拘束されている場合に使う言葉です。

「囚われる」の例文

1.先入観に囚われてしまい、すっかり彼女のことを誤解していました。
2.固定観念に囚われると、それ以上成長することはできないと思いますよ。
3.彼は過去の亡霊に囚われているので、何を言っても無駄だろう。
4.敵に囚われた人々を助けにいくために、救出部隊が組まれました。
5.彼はこのまま囚われるような人物ではないので、きっと脱出するだろう。
6.常識に囚われることなく、などとよく言うが、常識から外れ過ぎると異端とされる。匙加減が難しい。
7.私はかねてから男は働き、女は家を守らなければならないという固定観念に囚われていたが、自分の考え方が間違っていることに気づいた。
8.幼い頃に体験したトラウマから、恐怖に囚われていた。人前に出るのが怖く、新しいことに挑戦することもできなかった。
9.個人の成長を妨げるのは、誰かのせいではなく自己評価に囚われて自分自身を過小評価してしまうことです。
10.ジャーナリストとして真実を見極めるためには、偏見や先入観に囚われず、客観的な視点を持つことが重要です。

この言葉がよく使われる場面としては、固定した価値観や考え方などに拘束されることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、取り押さえられて逃げることができなくなることを表現したい時にも使います。

例文1から例文3の「囚われる」は固定した価値観や考え方などに拘束されること、例文4と例文5の「囚われる」は取り押さえられて逃げることができなくなることの意味で使っています。

「捉われる」と「囚われる」はどちらも固定した価値観や考え方などに拘束されることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、精神的に拘束されている場合に使うのが「捉われる」、肉体的と精神的に拘束されている場合に使うのが「囚われる」と覚えておきましょう。

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