似た意味を持つ「配分」(読み方:はいぶん)と「分配」(読み方:ぶんぱい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「配分」と「分配」という言葉は、どちらも「分けて配ること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
配分と分配の違い
配分と分配の意味の違い
配分と分配の違いを分かりやすく言うと、配分とは割合を考えることにフォーカスした言葉、分配とは分けて配ることにフォーカスした言葉という違いです。
配分と分配の使い方の違い
一つ目の配分を使った分かりやすい例としては、「国立大への運営費交付金の配分方法は検討中です」「収益配分の方法や割合などを決定する」「水産庁は漁獲枠について都道府県ごとの追加配分を示した」などがあります。
二つ目の分配を使った分かりやすい例としては、「毎月分配型ファンドに興味があります」「4K放送対応の2分配器を用意する」「熱力学的量は分配関数から全て求められます」「つみたてNISA枠の分配金は非課税で受け取れます」などがあります。
配分と分配の使い分け方
配分と分配という言葉は、前後の漢字が入れ替わった熟語であり、どちらも何かをそれぞれに分けて配ることを表しますが、意味や使い方には違いがあります。
配分とは、割り当てて配ることを意味し、割合を考えて分けて配ることを表す言葉です。「時間配分」「人数配分」のような使い方で、限られた時間や人数などを適切に割り当てる行為を指します。単に分けることではなく、割合を考慮することに重点を置いた表現です。
分配とは、分けて配ることを意味し、全体の量をいくつかに分けて配ることを表します。それぞれに配る行為に重点を置いた表現であり、「分配器」とはアンテナが受信した信号を、複数のテレビやチューナーなどに等しい強度で分ける機器のことです。
つまり、配分とは割合を考えることにフォーカスしており、分配とは分けて配ることにフォーカスした表現です。二つの言葉は似ていますが、意味は異なるので区別して使うようにしましょう。
配分と分配の英語表記の違い
配分も分配も英語にすると「allocation」「distribution」となり、例えば上記の「配分方法」を英語にすると「allocation methods」となります。
配分の意味
配分とは
配分とは、割り当てて配ること、分配を意味しています。
配分の使い方
配分を使った分かりやすい例としては、「英語のテストでは時間配分に注意してください」「ワクチンの公平配分の仕組みを定めるべきです」「配分性注意障害のリハビリ方法について調べています」などがあります。
その他にも、「アリストテレスは配分的正義を説きました」「今年の春闘では賃上げの配分に変化が見られた」「シルバー人材センターの配分金は雑所得になります」「配分金収入は一定額の特別控除が認められています」などがあります。
配分の「配」は訓読みで「くばる」と読み、物を適当な量に分けて各々に行き渡るようにすることを表し、「分」は訓読みで「わける」と読み、一つにまとまっているものをいくつかの部分にすることを表す漢字です。配分とは、それぞれに分けて配ることを意味します。
表現方法は「配分的正義」
配分を用いた日本語には「配分的正義」があります。配分的正義とは、アリストテレスに由来する考え方で、スコラ学に定着した正義の分類の一つです。交換的正義に対置し、ある共同体の権威者によって、利益と負担とが各成員の業績や能力に比例して配分されることを要求する正義のことです。
配分の対義語
配分の対義語・反対語としては、配当や配給などを受けることを意味する「受配」、自分ひとりだけのものにすることを意味する「独占」などがあります。
配分の類語
配分の類語・類義語としては、品物などを一定の割合でめいめいに配ることを意味する「配給」、財産を一定の範囲の人に一定の基準に従って分配することを意味する「配当」、手に入れた物を半分ずつに分けることを意味する「山分け」などがあります。
分配の意味
分配とは
分配とは、分けて配ること、配分を意味しています。
その他にも、「地主に地代、資本家に利潤、労働者に賃金というように、生産に関与した者の間に所得が分けられること」の意味も持っています。
分配の使い方
「テレビ端子と分配器の入力端子をケーブルで繋ぐ」「数学の分配法則についてわかりやすく教えてもらった」「ローチケの分配方法を確認する」などの文中で使われている分配は、「分けて配ること」の意味で使われています。
一方、「投資信託の分配金はファンドの資産から支払われます」「分配可能額を超えた配当は禁止されています」「分配金と配当金の違いは何ですか」などの文中で使われている分配は、「資本家に利潤というように、生産に関与した者の間に所得が分けられること」の意味で使われています。
分配とは、上記の例文にあるように複数の意味を持ち、それぞれの意味で用いられているため、文脈により意味を捉える必要があります。分配の「分」は全体をいくつかに別々にすること、「配」は全体をいくつかに分けてそれぞれにあてがうことを表します。
表現方法は「分配金」
分配を用いた日本語には「分配金」があります。分配金とは、投資信託の運用で得られた収益を、口数に応じて決算ごとに投資家に分配するお金を意味します。分配金には、利益の一部を還元する「普通分配金」と、元本の一部を払い戻す「特別分配金(元本払戻金)」があります。
分配の対義語
分配の対義語・反対語としては、ひとりだけで所有することを意味する「占有」、自分または自分たちだけのものにすることを意味する「ひとり占め」などがあります。
分配の類語
分配の類語・類義語としては、基準となる数量に比例して物を分けることを意味する「案分」、分けて与えることを意味する「分与」、金銭などを半分ずつに分けることを意味する「折半」、等しい分量に分けることを意味する「等分」などがあります。
配分の例文
この言葉がよく使われる場面としては、分割して配ること、配り分けることを表現したい時などが挙げられます。
例文4にある「一括比例配分方式」とは、仕入控除税額の計算方法の一つであり、仕入税額の合計額に課税売上割合を乗じて仕入税額控除を計算する方式のことです。
分配の例文
この言葉がよく使われる場面としては、分けて配ること、経済学で生産活動に参加した個々人に生産物の価値額が帰属・所得される過程を表現したい時などが挙げられます。
例文3および例文4にある「所得分配」とは、生産の成果が社会の各構成員に対してどのように分けられるかを示す経済学上の概念です。富の再分配とも呼ばれ、所得の格差を埋める機能があります。
配分と分配という言葉は、どちらも「分けて配ること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、割合を考えて分けて配ることを表現したい時は「配分」を、全体を分けて配ることを表現したい時は「分配」を使うようにしましょう。