似た意味を持つ「戦戦慄慄」(読み方:せんせんりつりつ)と「戦々恐々」(読み方:せんせんきょうきょう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「戦戦慄慄」と「戦々恐々」という言葉は、どちらも恐怖におびえている様子を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
戦戦慄慄と戦々恐々の違い
戦戦慄慄と戦々恐々の意味の違い
戦戦慄慄と戦々恐々の違いを分かりやすく言うと、戦戦慄慄とは恐怖でびくびくしている様子を表し、戦々恐々とは恐怖でびくびくしている様子だけなく、恐れつつしむ様子も表すという違いです。
戦戦慄慄と戦々恐々の使い方の違い
一つ目の戦戦慄慄を使った分かりやすい例としては、「住民を戦戦慄慄させる火山が発生した」「首都直下地震が起こらないかと戦戦慄慄としている」「ホラー映画を観た後も戦戦慄慄としていました」「誰もが戦戦慄慄するような凶悪事件です」がなどがあります。
二つ目の戦々恐々を使った分かりやすい例としては、「崖の上で戦々恐々として立っていた」「花粉症の季節となり戦々恐々の毎日です」「安定しないマーケットに投資家たちは戦々恐々です」「新監督の就任に選手たちは戦々恐々となっている」などがあります。
戦戦慄慄と戦々恐々の使い分け方
戦戦慄慄と戦々恐々という言葉は、どちらも恐怖感や不安感などから、ひどく恐れるさまや体が震えるさまを表します。上記の例文にある「住民を戦戦慄慄させる火山」「崖の上で戦々恐々として立つ」の戦戦慄慄と戦々恐々は、この意味で使われているため、互いに置き換えて使うことが出来ます。
さらに、戦々恐々という言葉は、恐れつつしむさまの意味も持っています。上記の「新監督に選手たちは戦々恐々となる」とは、選手たちが単なる恐怖からびくびくしているのではなく、監督を恐れつつしんでいる様子を表します。この戦々恐々は、戦戦慄慄に置き換えることは出来ません。
戦戦慄慄と戦々恐々を比べると、戦々恐々の方が広い意味を持ち、汎用性のある言葉だと言えるでしょう。
戦戦慄慄と戦々恐々の英語表記の違い
戦戦慄慄を英語にすると「shudder」「trepidation」「shivering」となり、例えば上記の「戦戦慄慄させる」を英語にすると「make somebody shudder」となります。
一方、戦々恐々を英語にすると「in fear and trembling」「filled with trepidation」となり、例えば上記の「戦々恐々として立つ」を英語にすると「stand there in fear and trembling」となります。
戦戦慄慄の意味
戦戦慄慄とは
戦戦慄慄とは、恐怖で体が震えてびくびくする様子を意味しています。
戦戦慄慄の読み方
戦戦慄慄の読み方は「せんせんりつりつ」です。誤って「せんせんくりくり」などと読まないようにしましょう。
戦戦慄慄の使い方
戦戦慄慄を使った分かりやすい例としては、「余震の可能性に住民は戦戦慄慄している」「戦地の被害に戦戦慄慄としました」「英語のテストの点数が悪くて、戦戦慄慄と帰宅しました」などがあります。
その他にも、「全米が戦戦慄慄した殺人事件だ」「この地で戦戦慄慄の猟奇事件がありました」「親に怒られるのではないかと戦戦慄慄していた」「戦戦慄慄するような悪夢をみた」「何事にも敏感になり戦戦慄慄としてしまう」などがあります。
戦戦慄慄とは、ある物事に対して恐れを抱き、震えるような様子や態度を意味する四字熟語です。人々を恐怖に陥れる事件や、身震いするほどの悪い事態が起きた時などに、ひどく恐れてびくびくしているさまを表すマイナスイメージの言葉です。「戦々慄々」とも書きます。
戦戦慄慄の語源
戦戦慄慄という言葉の語源は、「戦慄」という熟語に由来します。戦慄とは、体が恐怖のために無意識的に小刻みに動くことであり、戦戦慄慄は「戦慄」を二つ重ねた強調表現になります。古くからある四字熟語であり、前漢の思想書「淮南子」に「戦戦慄慄として日に一日を慎め」と記されています。
ちなみに、「戦慄」は「戦慄く」と送り仮名が付く場合は、「わななく」と読み方が変化します。意味にも違いがあり、恐怖だけでなく寒さによる震えや、声や音が震えることも表します。
戦戦慄慄の対義語
戦戦慄慄の対義語・反対語としては、落ち着いていてどんなことにも動じないさまを意味する「泰然自若」、大事にあっても顔色一つ変えず平然と落ち着いている様子を意味する「神色自若」、度量が大きくこだわらない性格を意味する「磊磊落落」などがあります。
戦戦慄慄の類語
戦戦慄慄の類語・類義語としては、恐怖や緊張などのために震えることを意味する「わななき」、恐れや不安の念でぞっとすることを意味する「寒心」、人を震えあがらせることを意味する「震撼」、心が乱れ何がなんだか分からなくなってしまう状態を意味する「心慌意乱」などがあります。
戦々恐々の意味
戦々恐々とは
戦々恐々とは、恐れてびくびくしているさまを意味しています。
戦々恐々の使い方
戦々恐々を使った分かりやすい例としては、「私の職場は戦々恐々としています」「生徒たちは英語のテストに戦々恐々としている」「コロナに感染していないか戦々恐々の日々です」「感染症に戦々恐々しながら外出しています」などがあります。
その他にも、「戦々恐々とする事態は避けたいものです」「世界中が戦々恐々としながらビジネス活動を維持している」「資源エネルギー価格の上昇に市場は戦々恐々としている」「戦々恐々とした雰囲気は苦手です」などがあります。
戦々恐々とは、恐れつつしむ様子、恐れてびくびくする様子を意味する四字熟語です。状況や物事に対して恐怖心や不安感を抱き、おそろしさに震えている様子を表すマイナスイメージを伴う言葉です。本来は「戦戦兢兢」と書きますが、現代では「戦戦恐恐」「戦々恐々」と書くことが一般的です。
戦々恐々の語源
戦々恐々という言葉の語源は、中国の古書「詩経」に由来します。「戦戦兢兢 如臨深淵 如履薄氷」と記されており、「薄く張った氷上を歩くように、深い溝淵をのぞき込むように、慎重に謙虚に行動すること」を意味する君主を諫める言葉とされています。
戦々恐々の対義語
戦々恐々の対義語・反対語としては、ゆったりと落ち着き払ったさまを意味する「余裕綽綽」、物事に驚き恐れたりせず平静なさまを意味する「意気自如」、度量が広く大胆で小事にこだわらないことを意味する「豪放磊落」などがあります。
戦々恐々の類語
戦々恐々の類語・類義語としては、絶えずおびえてびくびくしているさまを意味する「跼天蹐地」、大いにあわてることや非常にうろたえることを意味する「周章狼狽」、気が小さくびくびくしているさまを意味する「小心翼々」などがあります。
戦戦慄慄の例文
この言葉がよく使われる場面としては、びくびくして震えおののくさま、恐れをなして震えるさまを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、戦戦慄慄という言葉は、ネガティブな状態を表現する時に用いられています。
戦々恐々の例文
この言葉がよく使われる場面としては、恐れつつしむさま、恐れてびくびくするさまを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2にある「戦々恐々」は、近づきがたいものとしてかしこまり、びくびくしている様子を表しています。例文3から例文5の「戦々恐々」は、よくないことが起こるのではないかと危ぶみ、不安になっている様子を表現しています。
戦戦慄慄と戦々恐々という言葉は、どちらも「恐怖を感じて、びくびくしているさま」を意味します。さらに、「戦々恐々」には恐れ慎むさまの意味もあることを覚えておきましょう。